「受信報告書」って、な〜に?

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 ■ 好意で送られてくるベリカードが楽しみでした

 「受信報告書」とは、文字通り放送局へ、その放送番組を 「受信しましたよ」と 「報告」するためのレポートの事です。

 放送局では、自局の番組内容の感想や、また放送電波の技術的な伝播状況把握のため、一般のリスナーからのこうした報告書を求めています。 たいていはキチンとした 「受信報告書」には、そのお礼として好意で 「受信確認証 (ベリカード (Verifiecation Card)/ もしくはQSLカード)」を発行してくれ、多くのBCLはお気に入りの放送局への応援の意味の他、このベリカード欲しさにも、せっせと報告書を書き送っていたものでした。

 もっともBCLブーム、ベリカード収集ブームの過熱につれ、「ベリカードくれ」式の報告書が蔓延してしまった時期もありました。 なかには本当に放送を聴取して作成したものなのか首を傾げざるを得ないような内容のものも多かったと聞きます。 結果、小規模の放送局では、元々ベリカード制作費用が乏しかった事も手伝って、「受信報告書は送らないで下さい」、「ベリカードは発行しません」との苦渋の決定を行ったところもあります (IRC3枚同封の事…みたいな、お金で買って下さい的なトコもありましたね… (^-^;)

 当たり前の話ですが、放送番組を受信し楽しんだ時点で、すでに僕たちリスナー側は、放送局から一方的に楽しみを享受している訳です。 報告書は見返りを求めず、あくまでも 「応援」のつもりで、相手の為になるものにするよう務めるべきでしょうね。

 ■ 受信報告書の書き方

    最低限記入しなくてはならない項目は、以下の通りです。

・ 放送局名 (受信した放送局の名前です)
・ 受信年月日
・ 受信時刻・時間 (放送を聴いた時刻です。 原則GMTで表記します。 なお時間の長さは、最低でも30分、出来れば1時間くらいは聴いてから報告するのが常識的なセンでしょう。 局によっては、「ベリカード」発行条件として、何分以上の聴取を義務づけているケースもあります)
・ 受信周波数 (MHz、kHz、波長でも可です)
・ 番組内容 (その放送を確かに聴取した証拠になるものです。 ニュース項目や流れた音楽の曲名、担当アナウンサー名などを出来るだけ詳しく書きます)
・ 感想 (番組内容に対する感想や要望、また放送時間や使用周波数に対する要望や提案などです)
・ 受信状態 (電波の状況の項目です。 一般的には世界中の放送局の多くが採用している 「SINPOコード」 ↓ 下記参照 を使いますが、必ずしも全ての局で通用するコードではないので、箇条書きででも、おおよその印象や状況説明 (混信ならどの局のものか等) は、付け加えたいものです)
・ 受信装置 (ラジオとアンテナです。 ラジオは機種名 (製品名)を書いても良いのですが、出来るなら 「'78年日本製/ 2IC/ 6石ラジオ」のように、相手の技術者が見て性能の予想がはかれるような表現を付け加えるとベストです。 アンテナも、内蔵ロッドアンテナならその長さを、外部アンテナなら形状とサイズを (逆L字型15メートル等)を併せて記述するようにしましょう。 また受信場所 (平地の高い建物のない住宅街で、コンクリートマンションの4Fです…とか)の説明や、物理的な影響はともかく、こちらの天候なども記入すれば完璧でしょう)
・ 受信者名と
  住所
 (自分の名前と住所です。 出来れば職業や年齢、趣味などもあった方が良いでしょう)
・ その他 (返信用切手 (IRC等)や宛名カード (リターンアドレスを書いた紙片)などを同封すると喜ばれます。 とくに返信用切手 (IRC)は、「同封しなくてよい」と局側でアナウンスしていない限り、なるたけ同封するのが望ましいでしょう)
 こうして箇条書きにすると、何やら難しく面倒な感じがしますが、書き慣れるとそれ程大変なものでもありません (まぁ、やっぱり時間は掛かりますけどね… (^-^;)。 各項目を表のようにした、受信報告用紙のようなものを自作して、それに記入するような感じにすれば、書き漏らしやミスもなくて良いでしょう。 現在ならパソコンもプリンタも普及しているので、手軽に作れると思いますよ。

 ところで内容以前のたいへんなハードルに、“言葉”…の問題があります。 国内放送や、海外の局でも日本語放送を行っている場合ならたいてい日本語でOKですが、やはり基本的には、その国の公用語で作成するのがマナーでしょう。

 まぁほとんどの局は英語放送を行っていて、従って “英語”で書けばたいてい通用しますが、僕がBCLを行っていた時は小学生で、それすらかなり辛かったです (今だって、英語なんてろくすっぽ書けませんし… (^-^;)。 また良く云われる事ですが、仏語圏では基本的に仏語しか通用しません (受け付けてくれません)。 仏語の報告書なんて数えるくらいしか作りませんでしたが、確かオセアニアの 「ラジオ・タヒチ」への報告は、うんうん云いながら作った記憶があります。 スペイン語やイタリア語ともなると、辞書を探す時点で苦労を強いられていました (そもそも報告書向きの放送用語なんて、載ってない場合が多いですし (^-^;)
 ■ SINPO コード
 SINPOコードとは、電波状態を数値化したもので、品質を5段階で評価するものです。 通信簿のそれと同様、5が最高です。 項目とその内容は、以下の通りです。
 /信号強度  電波の入感の強さです。
 /混信  他の放送局の電波がどの程度混ざり合っているかの度合いです。
 /雑音  ガリガリ・ザーザーとのノイズの度合いです。 自然現象の電波障害がほとんどですが、一部の国の放送局では、自国民に聴かせたくない放送に対し妨害電波 (ジャミング)を発している場合もあり、判別の難しい場合も少なくなく、混信との区分はちょっと複雑です。
 /伝播障害  遠方の放送局からの電波は、伝わってくる間に様々に変形する場合があります。 これを伝播障害と云い、音声 (電波)が波打ったように強くなったり弱くなったりするフェーディング現象が代表的です。 これらの影響の強弱の度合いです。
 /総合評価  全体的な印象です。 なお、この総合評価は、当然ながら他の項目と密接にからんでいて、一般的には、他の項目での最高値より上の評価にはならないとされています (例えば 「S」が 「3」なのに、「O」が 「4」にはなり得ない…と云う事です)。
 S / 信号強度  I / 混信  N / 雑音  P / 伝播障害  O / 総合評価
 Signal
 Strenght
 Interference  Noise  Propagation
 Disturbance
 Overall
 Rating
非常に強い 全くない 全くない 全くない 最良である
強い 少しある 少しある 少しある よい
普通 多少はある 多少はある 多少はある 普通
弱い 相当ある 相当ある 相当ある 悪い
微弱 非常にある 非常にある 非常にある 実用にならない
 上の表でだいたいおわかりになると思います。 書くときは、「SINPO=○○○○○」と云った感じで表記し、例えば 「SINPO=55555」であれば、最高の受信状態である事を示している訳です。 なお反対に 「SINPO=11111」ってのもありそうですが、この場合は 「まったく受信出来ない」状態ですから、受信報告書自体が成立しないと考えた方が良いでしょう… (^-^;)
 ■ 報告書の送付、そしてベリカードの到着…
 受信報告書の送付は、国際郵便のエアメールで行います (船便はやめましょう(笑)。 封筒の作り方は、普通のエアメール便の作り方と同じです。 なお切手は日本の物を貼りますが、記念切手のような美しく日本情緒に溢れているものは、避けた方が無難です (海外への郵便にはつい貼りたくなるんですが、国によっては郵便行政がいい加減なトコもあって、配達員が切手欲しさに手紙を盗むケースも多いようなんですよね… (^-^;)

 キチンとした受信報告書を送って数週間 (場合によっては数ヶ月)経つと、放送局から 「受信確認証 (ベリカード)」が送られてきます。 風景や民族行事、局舎やスタッフなどの美しい写真やイラストが印刷されたものが多いですが、予算のない局では、わら半紙のような紙に局スタッフがタイプ打ちしてくれた、心づくしのものもあります。 各放送局、各国それぞれに個性的なものばかりで、少しずつコレクションが増えて行くのは、とても楽しいものです。

 また海外の国際放送局では、他の国への友好親善を目的として放送を行っているところが当然ながら多く、ベリカードの他に様々なプレゼントを同封してくれる場合も良く見かけます。

 番組表や番組案内書はもちろんですが、ポストカードやカレンダー (壁に貼るような、13枚綴りの立派なものも見かけます)、ペナント、民芸品やバッヂ、キーホルダー、文房具類、記念切手などなど、当時はもちろん現在でも日本では手に入らないものばかりで、とても嬉しかった記憶があります。 常連ともなると、スタッフの手書きメッセージ入りの写真とか、珍しいレコードとかが同封されている事もありましたね (^-^)。 このへんは、ちょっと捨て難くて未だ押入の奥底に、大切に保管していたりします(笑)。

 ちなみにこれは余談ですが、プレゼントと云えば、社会・共産主義国の放送局からのものが凄かったですね。 対外宣伝の一環として国策規模で行われているんでしょう、ベリカードがプレゼントともども、小包でドカンと届く場合も少なくなかったです (^-^;)

 受信報告書のありよう、またベリカードに対する思いは様々です。 人によっては 「受信技術の達成証明 (受信の極めて難しい放送局のベリカードを入手したら、それ1枚で満足)」として捉える方もいますし、コレクターとして、一つの放送局のベリカードばかり、ずっと何十年も集め続けている方もいます。 ただ、一般の 「コレクション」の対象と異なるのは、「お金で買えない」、「自分以外の人が持っていてもあまり意味がない」ものだという点でしょうか。

 その 「ベリカード」入手の唯一の方法が、ここでご紹介した 「受信報告書」であり、そしてそれは、聴くだけの一方通行のコミュニケーションでつながっている 「放送局」と 「リスナー」が、互いに協力しあい、双方向でつながる為の方法でもある訳です。 これからBCLを始めて受信報告書を作るぞ〜って人がどれほどいるか不明ですが (んでそんな人がこのページを読む可能性はさらに不明ですが(笑)、もし何かの参考になれば幸せですっ (^-^)/
 
( うっ!/ 2000年1月28日)
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