ホルスト (Holst)
組曲 「惑星」(THE PLANETS,Op.32)


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■ もう一つのテーマソング…? 組曲「惑星」
■ 内気な思索家の生んだ遥かな楽曲
■ 組曲 「惑星」 (全7曲) 作品 32 番
■ お奨めCD
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■ 引用転載について
 組曲 「惑星」(THE PLANETS,Op.32)
 ■ もう一つのテーマソング…? 組曲「惑星」
 ある程度以上の期間に渡って運営している “セーラームーン関係” のパソ通会議室などでは、ほぼ必ずと云って良い程あるクラシック名曲の名が、一度は話題にのぼっているようです。

 それこそここで採り上げるホルスト作の組曲 「惑星」 なのですが、クラシックファンには極めて有名な曲でありながら、一般にはまだまだ浸透していない曲のようですね。 それは、最近でこそTVCF (確かトヨタかどこかの車のCFだと記憶していますが…)にその一部が使われていたりしますが、1934年に世を去った作曲者ホルストが、編曲・抜粋はおろか、演奏の際の細かい楽器編成まで一切の変更を許さなかった為に (その後も遺族や著作権法によって遺志は守られ続けた)、クラシックファンしか聴き耳を立てないようなコンサートやFM放送、レコードのみでずっと紹介された曲だったからなんだと思います。

 でありながらほぼ確実にパソ通会議室の話題にのぼるあたり、さすがセラムンファンってところですが(笑)、ここでは、似たような趣味をお持ちの方がいらっしゃる事を期待して、またもし聴いた事のない方がいらしたらぜひこれを機会に…と期待して、その 「惑星」についてちょっと書いてみようと思います。
 
(ちなみにクラシック曲と云えば、ダークキングダムのテーマ曲関係で、バッハの平均律クラヴィーア曲 トッカータとフーガニ短調あたりも一度は話題になるみたいですね(笑)。
 
 僕が初めてこの曲を聴いたのは中学生の頃でしたが、実はクラシックでありながらオーケストラ演奏のものではなく、シンセサイザー演奏によるものでした。 レコード店でジャケットに不思議な宇宙船の絵 (エアブラシで描かれていました) を印刷したLPレコードを見つけ興味を持ったのが最初で、それは富田勲のシンセ版 (1977年発売) だったのですが、聴いてみて、それまで知っていた “音楽”とあまりに違うのにビックリしました。

 それはシンセ演奏の斬新さ故だった訳ですが、もちろん組曲 「惑星」そのものが持つ、ロマンティックな旋律の美しさにも魅了されました。 小遣いに不自由する子供時代のこととて、その他の 「惑星」 レコードを買い漁るような事は出来ませんでしたけれど、今でも新しいCDがあると、つい手に取ってしまいます。

 現在クラシック音楽の鑑賞は、僕の “似合わない” 趣味の一つになっていますが(笑)、それはこの 組曲 「惑星」との出会いが、一つのキッカケになっています (あと手塚作品 「リボンの騎士」 のBGMと、「東京こどもクラブ」 のレコードのすり込みも強烈でしたけど (^-^;)。 その意味でも、この 組曲 「惑星」 は、僕にとって手放しがたい大切な音楽作品になっていますね。
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 作曲者

 ■ 内気な思索家の生んだ遥かな楽曲
 作曲者ホルスト (GUSTAV HOLST)は、1874年9月21日、イギリスのチェルトナムの音楽一家に生まれました。

 12歳で作曲の勉強を始めましたが、近視で喘息を持つ虚弱な子供として成長し、また作曲家を目指す本人の意思とは裏腹にピアニストとして大成させたいと願う父との葛藤もあり、内気で思索を巡らす繊細な性格になって行きました。 17歳で学校を卒業した時、患っていた右腕の腱鞘炎が悪化、父もピアニストへの夢を断念して、作曲の勉強を許しました。 すぐさまロンドン王立音楽院に入学、後にホルストと20世紀イギリス音楽を代表するヴォーン・ウィリアムズら才能溢れる知人らとの交流を通し、その作曲術を磨いてゆきました。

 音楽院を出てから暫くは経済的にも不遇の時代が続きましたが、1903年、ダリッチの女学校非常勤顧問 (後に常勤)、また2年後にはハマースミスのセント・ポール女学校の音楽科主任 (終生この職に就いた。また母校王立音楽院の教授も兼任した)に採用されてからは生活も安定し、作曲に専念。 「セント・ポール組曲」 「イエスの賛歌」など今日に残る名曲の数々を書き上げ、1914年から1917年までの4年を費やした大作・組曲 「惑星」は、ついに1918年に全曲初演されました (公開初演はその数週間後で5曲のみ。 ホルスト自身による初演は1920年)

 この組曲 「惑星」の初演は大成功を収め、ホルストの名は一躍有名になりましたが、内気な性格で人付き合いの苦手であったホルストは、訪れる新聞記者やファンに戸惑い、「愛想の悪いヤツ」と非難される事も度々であったそうです。 1923年2月23日、過労により演奏中に指揮台から転落したホルストは脳しんとうを起こし、それが原因で不眠症にもなってしまい、世間から遠ざかり、より自分の世界に向かうようになったようです。

 晩年は度重なる病に苦しめられ入退院を繰り返しましたが、雄大な音楽を書く繊細な作曲家は作曲への意欲だけは強く持ち続け、そうした姿勢に共鳴した良き友に囲まれて、幸せな生活であったと云います。 1934年5月25日、ついに病没。 その遺骨はチチェスター大聖堂の北側側廊に埋葬され、その際合唱隊は、彼の作品である 「我、まことの愛の為に為せり」を美しく歌い上げ、その生涯と栄誉を称えました。
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 作品紹介

 ■ 組曲 「惑星」 (全7曲) 作品 32 番
 組曲 「惑星」は、全部で7つの曲から構成されています。 それぞれの曲には 「火星」 「金星」と云った惑星名が曲名として付けられていて、「地球」と 「冥王星」以外の太陽系の各惑星が採り上げられています。 僕たちが住んでいる 「地球」がないのはともかくとして、「冥王星」までないのは、ホルストがこの組曲を作ったのが 「冥王星」が発見される前の、1916年だったからです (冥王星は、米アリゾナ・ローウェル観測所のトンボーによって、1930年に発見されました)

 なお各曲には曲名の他、

「戦争の神」(火星)「平和の神」(金星)「翼のある使いの神」(水星)
「快楽の神」(木星)「老齢の神」(土星)「魔術の神」    (天王星)
「神秘の神」(海王星)


とのサブタイトルが付けられています。 実は表題よりこちらの方がより重要で、ホルスト自身が述べているようにこの作品は、いわゆる表題音楽のように各惑星を写実的に描写したものではなく、もちろんSF的な意図を持って作られた訳でもなく、各惑星に古代から与えられて来た神話的占星術的イメージを、音楽と云う形にしたものだと云えるでしょう。

 それだからこそ、作品の曲調自体がまるで今日のステレオ音響時代を見越したかのような先進的なものであったり、またオーケストラ全体の “ひとつの楽器としての物理的性能の高さ”を強く要求するようなダイナミックレンジの広さを持っていながら、聴き終えて感じるロマンチックな印象を、僕たちに与えてくれるのでしょう。

 聴きどころは、丁度作曲時期に勃発し作品に影響を与えていると云われている第一次世界大戦のイメージの濃い 「火星」の激しさ、そして 「木星」の重厚で雄大で愉悦感の溢れたところもさることながら、「土星」や 「海王星」の幻想的で神秘的な部分が、何よりポイントでしょう。

 (ちなみに実際に第一次大戦が勃発したのは 1914年で、その前に 「火星」の作曲には着手していたので、むしろ大戦前の緊張感や憂鬱さが投影されているのかも知れません。 そうしてみると、その 「火星」の直後の 「金星」の美しさは大きな救いと云え、こうした当時の世相は曲の内容そのものよりも、むしろ当時の聴衆や世間一般へのこの組曲が及ぼした影響の点で、大きい意味を持っていたのかも知れません)

 ちなみに筆者 (うっ!)は楽しげな雰囲気があって全体的な構成でも豪華さがあふれる 「木星」が好きですね。 一般的には、あるいは作曲者自身が述べているには、「土星」の評価が高いようですが、まだまだ若造なのか、やっぱり表面的に華やかな 「木星」の方に、目がいってしまいます (^-^;)

 ところで 「木星」ついでに、曲中に流れる賛美歌 (のメロディ) が、ダイアナ元皇太子妃の葬儀で演奏されたのは、当時結構話題になりましたね。 また 2004年12月17日発売の平原綾香さんが歌詞をつけて歌う J-POP としての 「Jupiter」 の大ヒットもあって、クラシックを知らない方にも非常に親しみのあるものとなっています。
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 お奨めCD
 ■ カラヤン指揮/ ベルリン・フィル/ (グラモフォン/ F00G27010)
 まだステレオ方式が誕生したばかりの頃に、この組曲 「惑星」 を録音、一大ブームを作ったのはカラヤンでしたが、このCDはその二度目の録音版です。

 カラヤンと云うと、一般的な評判とは裏腹に一部のクラシックファンには様々な理由により軽く見られてしまっているようですが (ん〜、僕もイマイチ好きでなかったりしますが… (^-^;) このCDでは、普段と異なりやや遅めのテンポを使い、またいかにもカラヤン風のハッキリとしたメリハリで、全7曲を堂々と演奏しています。 カラヤン向きともいえる迫力満点な 「火星」 や重厚で華やかな 「木星」 などが素晴らしい出来であるのはもちろんですが、それ以外の曲も、神秘的な雰囲気を良く引き出しています。
 ■ ホルスト=富田編/ シンセサイザー/ (BMG/ BVCC-2508)
 僕が組曲 「惑星」 を聴くキッカケにもなった、富田勲によるシンセサイザー演奏の組曲 「惑星」 です。 当時一世を風靡した富田シンセの一つの到達点とも云える作品で、まだ珍しかった “ドルビーサラウンド”を強烈に意識したこの録音は、幾度となく中学生だった僕を宇宙の彼方に放り投げてくれました(笑)(当時の我が家にはドルビーサラウンドなんてありませんでしたが… (^-^;)

 シンセと云うと、今ではどんなアマチュアバンドでも採り入れている程ポピュラーな存在であり、サンプリングやMIDIなどもごくありふれたモノになりましたが、いわゆる富田シンセは、この20世紀末に生まれた当時まだ初歩的だった新しい楽器を現在のような楽器としての当たり前の使い方ではなく、「新しい耳で感じる芸術」を紡ぐための筆として、文字通り自在に駆使しています。 それ故、現在聴き直しても (さすがに音色自体は一昔前のもの…な気がしますが)、また別の新しさを感じる作品に仕上がっているのだと思います。

 1991年に前後して 「ダフニスとクロエ」、「展覧会の絵」、「火の鳥」などの名作とともにシリーズでCD化され、再び気軽に聴けるようになったのは嬉しかったです (発売元:BMGビクター(株)/ 各2,500円)。


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 ホルスト関連ページへのリンク…
【山の作曲家 近藤浩平のページ】  良質なオトナの為のページ…といった雰囲気が素敵な場所です。 ホルストに関する専門的で突っ込んだ視点の評論や、音楽ほかに関する様々なエッセイ、山の写真などなど多彩なコンテンツを持っています。 管理者は近藤浩平さんで、「ホルスト」で検索中、この《ぱら☆あみ》Homepage に迷い込んでしまったフビン(?)な方でもあります… (^-^;)
◆ 音楽(クラシック/ その他)/ 登山/ ゲストブック/   
 この文章の引用・転載について…
 ありがたいことに、この ホルスト/ 惑星 関係の文章は、多くの方に見て頂いているようです。 本当にありがとうございます。 感想を送って下さる方もいらっしゃいますが、なかには、「学校や音楽教室の演奏会で惑星を取り上げるにあたって、これから作成するパンフレットの曲目・作曲者紹介文に、こちらの文章を使わせて欲しい」 との許諾メールを送って下さる方も何人かいらっしゃいました。

 もちろん引用やら転載は行って下さって結構なのですが、筆者がなかなかメール返信出来る状況になく、せっかくのお申し出に対し、反応出来ない…なんて事も、何度かありました (メル下さった方、ホントにごめんなさい)。 こんな文章でも、みなさんのお役に立つのなら…と云う事で、引用転載について、ちょっと書かせて貰います。

 引用・転載を希望されます方は、いちお、筆者宛にメールでご連絡下さい。 なるべく返信致しますが、送信後3日経っても返信が届かない場合は、「反対してません」 として許可されたと判断して頂いて結構です。 また引用元・転載元、筆者として、このページ、もしくは僕 (うっ!) を、必ずしも明記されなくても結構です。 学校のパンフに、セラムン同人サイトの名前をかかせるのもアレですし (^-^;)、僕のハンドルがハンドルですからねぇ…。 非営利のパンフレット類への引用・転載は、気兼ねなくご自由に行って下さって結構です。
 と云う訳で…
 あう〜、最初はあっさり紹介するつもりでしたが、随分と長い文章になってしまいました (^-^;)。 おつき合い下さいまして、ホントにありがとうございました。

 ちなみにお奨めCDやリンクの方は、実はまだお奨めしたいのがあったりするんで、そのうち加筆するかも知れません。 どかどか、また覗きに来てやって下さいね〜 (^-^)。
本文/ うっ!

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