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ドラゴンボール現象

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ある意味人気作品の宿命なのか…ドラゴンボール化

 ドラゴンボール現象とは、マンガ などの登場人物の 「強さ」 のインフレのことです。

 または アニメ の物語が連載中の原作に追いついてしまい、エピソードの引き伸ばしをしている状態、さらには人気が出たために無理やり原作の連載を続ける状態などを、こう呼ぶ場合もあります。 語源はもちろん、週刊少年ジャンプ(集英社) に連載され、アニメや ゲーム も大ヒットした鳥山明原作の同名マンガ 「ドラゴンボール」 に由来します。

かつての強敵がザコ敵に…パワーのインフレ

ドラゴンボール第一巻初版本
ドラゴンボール第一巻初版本
鳥山明/ 集英社/ 1985年

 強さのインフレ、パワーインフレーション、パワーエスカレーションに関して云えば、ドラゴンボール以前の作品にも当てはまるものがたくさんあります。

 一時期人気のあったガキ大将学園ものなどの場合は、最後には 主人公 の何倍もの身長がある巨人のような敵番長が お約束 のように出ていましたし、バトル漫画、スポーツ漫画に限らず、多くの漫画が困難に打ち勝つこと、自分より強いものと戦って成長することを作品の テーマ としている以上、これはやむを得ない点もあります。 大きな強敵と戦った後に、小さく弱い敵と戦う訳にはいきませんから。

 もちろん映画や演劇のように全体の枠があらかじめ決まっていて、最初から完結したストーリーとして筋書きを練り、全体をバランスよく考えられていればそんなことはないのでしょう。 しかしマンガの連載は人気がある限り続くのが当たり前になっていましたので (しかもいつまで続くか、いつ打ち切られるか分からない)、作者 も不本意なストーリー展開になっているケースもままありました。

 例えばドラゴンボールにおけるフリーザ様。 「私の戦闘力は53万です」 で 読者 を奈落の底に突き落とし、フリーザ自身にも第1形態、第2形態と進化があり、最終形態となった後にもさらに100%フルパワーという底知れぬおまけもつき、宇宙の帝王フリーザとの最強タイトルを与えられて登場。 主人公 悟空 と文字通り壮絶な死闘を繰り広げましたが、敗北後は体の一部をメカ化にしてさらにパワーアップしたものの、悟空どころかベジータの息子であるトランクスに、瞬殺 されています。 「強さ」 の作品内での基準が変わってしまったのです。

強さのインフレ以外にも、様々な意味が…

 一般的にはこうした 「強さのインフレ」 を指し示す場合に良く使われる 「ドラゴンボール現象」 ですが、前述した通りインフレが起こる原因が 「人気があるがゆえの無理やりな連載継続」 ですので、こうした連載継続状況を指し示す場合にもよく使われます。 多くの場合、ストーリーは迷走を重ねることもあり、否定的な意味で使われるケースが大半です。

 一方、アニメのストーリーが原作に追いついてしまって、足踏みのための引き伸ばしをすることもドラゴンボール現象と呼びます。 パンチ一発繰り出すのに何分、敵一人やっつけるのに何話使うんだよ…みたいな感じでしょうか。 場合によっては野球中継や特別番組などによってアニメがお休みして一息つける場合もありますが、武闘や何かの試合をストーリーの軸、テーマにした作品の場合、原作の歩みは極めて遅くなり、現場 もどうにも辛かったんだろうなという気はします。

 ちなみにそれ以前では、スポーツマンガ (とりわけ人気の野球マンガ) などでこうした引き伸ばしが結構ありましたので、「巨人の星現象」 とか、「ドカベン現象」「タッチ現象」 などと呼ぶ人もいたようです。 バッターボックス一回、わずか数分のスリーアウトに数話使うケースも珍しいことではありませんでした。

 なおギャグや学園ものの作品などで見かける 「季節や月日は流れるけれど年は流れず、登場 キャラクター の年齢が何年間もずっと変わらない」 という独特な時間の流れ方を、俗に サザエさん時空 (サザエさん効果、サザエさん方式) などと呼ぶ場合もあります。

付録 「ドラゴンボール」 とは

 ドラゴンボールの連載が始まったのは 1984年の少年ジャンプ 第51号から。 以降、10年後の1995年 25号までの間に全519話が連載され、絶大な人気を得ました。 連載当初の評判は芳しくなかったものの、ファンタジックな 世界観 と、後に武術や武闘を全面に押し出したスリリングな展開に発展、鳥山の天性の の上手さなどもあり、前作であり大ヒットした 「Dr.スランプ」 をもはるかに凌駕する人気となりました。

 なお単行本の発行部数は1億2,600万部を超え、大判の完全版やフルカラーのフィルムコミック、さらに海外で発売された各国語版などを合わせると、「正規のもの」 だけで3億部を軽く超える作品となっています。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2003年3月20日)
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