溜めて溜めて一気に放出はやっぱ気持ちいい! 「溜め」
「溜め」(タメ) とは、創作物などにおける 物語 の中では、何らかのゴール、結末に向かって感情を溜める行為や助走を指す言葉です。 スポーツなどで高くジャンプする前にいったん身体を屈めて力を溜めるような動作と同じです。
例えば勧善懲悪ものの場合、物語の前半部分は悪人が暴れて罪のない人々が被害に遭い苦しめられますが、その後 正義 の味方があらわれ成敗し、人々は救われます。 一般に溜めと呼ばれるのはこの前半部分であり、ここでできるだけ悪人を憎むべき存在として描ければ、その後の成敗で 感情移入 した物語の受け手は大いに留飲を下げられ、強いカタルシスを得て感動したりすっきりと楽しめるでしょう。
またこれは、キャラクター の成長物語などでも同様です。 頼りなく、あるいは未熟さゆえに乱暴な振る舞いで他人を傷つけたりするキャラが、少しずつ成長し最後に立派な存在になる。 前半の溜めが大きければ大きいほど、苦難を乗り越えた達成感とか人として成長した姿の美しさが際立ってくるものでしょう。 バネを縮める行為などと同様、タメが大きければ大きいほど、解放された時の心の動きも大きくなります。
とはいえ 「タメ」 が長すぎると見ていて辛い、イライラする…
理不尽系とかシュール系、日常系 など、一般的な物語の構成に当てはまらない作品もありますが、おおむね多くの作品はこの 「溜め (試練や苦難) → カタルシス (成功と感動)」 という構造を持っています。 これはスポーツの際のランナーズハイとかギャンブルにおける 脳汁 の溢れる瞬間とか、もっと 日常 にありふれたことで云えば仕事終わりや風呂上がりの冷えたビールなどと同様の、人間の 脳内 の報酬系そのものではあります。 苦難の後の成功や達成は誰だって気持ちがいいし感動だってするものでしょう。
とはいえ マンガ や アニメ、ゲーム といった娯楽が溢れ、いかに効率よく短い時間でこれらを 摂取 し楽しむかという タイパ の考え方が広がると、ずっと溜め続けるのにも限度があります。 また試練や苦悩などは見ていてストレスを覚えるものでもあり、リアルな生活が大変なのに娯楽のマンガやアニメでまでストレスを受けたくないという人も増えています。
俗に一話切りとか二話切り (連載や続き物の作品で、最初の数話がピンと来なかったらそのまま視聴をやめてしまうこと) をする人も増えている現在、どのくらいのボリュームで感情を溜めるかは、難しい問題になっているのかも知れません。 アニメで何話も 挫折回 が続くと、そこで離脱してしまう人も多いでしょう。
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