同人用語の基礎知識

バイアス

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知らず知らずのうちに偏りや先入観が生じる 「バイアス」

 「バイアス」(bias) あるいは 「認知バイアス」 とは、偏りや先入観、偏見を意味する言葉です。 人間が物事を評価したり判断する際に、無意識の思い込みや経験によって得た知識などによって考え方が一方向に偏ってしまう状態を指します。 英語をそのまま使ったカタカナ語ですが、日本においてはもっぱら災害時の 認知 に対する思い込みを語る中で大手メディアなどで盛んに用いられよく使われるようになっています。 それ以前はベクトル (角度や偏向) が使われたり、人や何らかの 属性 に対する偏見については、差別とか色眼鏡といった言葉が使われることもあります。

 日本でもよく知られているバイアスと云えば、前述した災害時に起こりやすくなる 「正常性バイアス」 があります。 自分に都合の悪い異常事態や身に危険が及ぶ緊急性のある非常事態が起きた際に、心理的なストレスからそれを受け止めることができずに 「まだ大丈夫」「そんなに大げさに騒ぐことでもない」 などと過小評価して心の平穏を保とうとする心理的作用のことです。

 また 「確証バイアス」 もあります。 無意識に自分の都合の良い話、考えに合う情報ばかりを集めてしまい反対の意見を軽視したり無視してしまうことです。 「生存バイアス」 と呼ばれるものは、情報を集める時に何らかの選択圧を経て生き残った人からの意見のみが過大評価されがちになる偏りのことです。 さらに似たような傾向のバイアスを持つ人が集うとそれが強化されてしまうこともあります (エコーチェンバー)。

 この他、相手の学歴や羽振りの良さ、優れた ルックス といった好ましく目立つ部分に引っ張られてその人全体を過大評価してしまうことは 「ハロー効果」、多くの人が選んだり使っていたり考えているものが優れていて良いものに見える、それが正しいと思い込んでしまうことは 「バンドワゴン効果」 と呼びます。 何度も同じ情報を耳にすることですっかり信じ込んでしまうことは 「二度聞き効果」、異性に対する偏見は 「ジェンダーバイアス」 です。 これらを含め人の意識にバイアスがかかることを指して 「認知バイアス」 あるいは 「認知の歪み」 と呼ぶこともあります。 色々ありますが、いずれも本人は意識することなく情報を歪めてしまう点は同じです。

バイアスの存在を知っていても、ついつい陥る偏り

 人は耳障りの良い話や都合の良い話、あるいは信じたいと思う話をつい耳を傾け、信じてしまうものです。 過大なストレスから心を守る必要が生じたら、ストレスを遠ざけたいと思うのは生物としての 生存戦略 としてもある意味当然でもあるのでしょう。 こうした感覚は誰でも持っていて、ただ大きさがちょっと違うだけです。 また過去の経験から教訓を引き出しその後の行動原理にするのも道理に叶っています。 こちらもそれで上手くいくこともあれば、硬直して身に害を及ぼすこともあります。

 問題は、意図的・意識的に耳をふさぐのならともかく、それが無意識に起こり、本人がそれに気づかないことです。 行き過ぎてしまうと現実との齟齬をきたして緊急時に適切な対応ができなくなりますし、社会通念上許されないほど歪んでしまうと他人を傷つけたり自分の評価を下げる結果となるかも知れません。

 極端なバイアスを防いだり少しでも軽減するためには、まずは 「自分には偏った考え方があるかもしれない」 と気づき、視野を広く持って自分とは異なる意見にも耳を傾ける 「癖」 をつけることが大切です。 とはいえこれはかなり大変です。 それくらい無意識下のバイアスは強烈だし本人には分からないことだからです。

 防災訓練を繰り返すのは、緊急時に身体が勝手に動くようにある意味で異なる身体的なバイアスを身に着ける事でもありますし、防災マニュアルはあらかじめ想定される状況に対してその都度の個々人の判断を求めずに安全を最重視したやるべき決まり事を 共有 することです。 バイアスの排除や軽減は意識的にどうこうできるものでもないので、このように仕組みやルールや習慣づけである程度 縛ら ないと、改善は難しいかもしれません。

 自分の考えが偏ってるなと思えるなら、興味対象外や自分とは異なる立場で書かれた本などを月に何冊と自分にノルマを課して無理矢理読むのも考え方に多様性が出て良いかもしれません。 ひと昔前はテレビや新聞、一般向けの雑誌などがその役割を担っていましたが (それはそれで大手メディアによるバイアスもありますが)、ネット の時代となると個人のバイアスに基づく情報の選択によってより一層強化される一方でしょう。 大変ですが、バイアスを減らす努力はあってよいと思います。

 逆に云うと、他人に向かって 「自分にはバイアスなどない」「フラットで中立公正だ」 などと胸を張って真顔で吹聴する人は、バイアスが極端に強い人か、あるいはおよそ信頼に値しない嘘つきかも知れません。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2011年10月10日)
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