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補足/ 日本における標準的な各学校・学年の年齢一覧

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何歳で何年生か、進路が違うとよくわからない…

何歳だと何年生?進路で変わったり… 実は結構フクザツ (三瀬多賀り子)
何歳だと何年生?進路で変わったり… 実は結構フクザツ
三瀬多賀り子

 日本における標準的な各 学校・学年の年齢の一覧と大雑把な説明です。

 子供の年齢と通っている学校での学年には大きな関係があります。 日本では入学・卒業条件に年齢があり、ごく一部の例外 (留年や休学による特別対応や海外学校からの編入、成績優秀者の飛び級、出生年月日不詳の際のみなし対応など) やインターナショナルスクール (後述します) を除き、各年度 (4月1日から翌年3月31日まで) の間に達する年齢によって区分がされています。

 例えば小学校なら、その年度内に満7歳に達する人が1年生として年度始まりの4月1日に入学し、特別な事情がない限り6年後となる満12歳の6年生まで就学し、その年度の末に卒業してそのまま次年度の頭に中学校へと入学することとなります。 中学から高校、高校から大学も年数は違えど、仕組みはおおむね同じです。

 義務教育は小学6年・中学3年の計9年間が標準的で、その後高校で3年間が一般的ですが、高専 (高等専門学校) のように5年間とか、定時制高校、通信制高校のように通常4年間で卒業といったケースもあります (定時制・通信制の場合は単位が修得できれば最短3年間でも可)。 日本の場合、高校への進学はほぼ全入を果たしており、ここまではおおむね同じ年齢なら同じ道を歩むことが多いでしょう。

 一方大学受験・進学あたりから、同じ年齢でも進路によって様々な学校・学年をそれぞれ迎えることになります。 日本では約半数が大学に入りますが、大学にも色々と種類がありますし、それ以外にも専門学校をはじめ数多くの選択肢があります。 大学を卒業、もしくは大卒と同等の学力があると認められれば大学院へ進むこともありますし、防衛大や海上保安大学校といった一般の大学とは異なりながら他の高等教育と同等の学位授与がされる省庁大学校もあります。 もちろん中学や高校を卒業してそのまま社会に出る人もいます。

 創作の キャラ設定 を練る際に、登場人物が何歳で何をしているのかを把握するのは時として困難を伴います。 古い時代は学校制度も現代と異なりよくわからないのは当然として、現代にあっても多数を占める進学コースからすこし外れた人を扱う場合、自分の歩んだコースと違うと 「何が何やら」 になりがちです。 例えば医大とか高専から大学への編入や専攻科への進学などは、そのルートを歩んだ友人でもいなければ、一般的には何歳で何をしているかさっぱり分からないでしょう。 教育法の改正や受験制度の変更なども含め、しっかり考証を行い ディテール に間違いがないか詰めるのも 作品 の形式的なクオリティを上げる良い方法でしょう。

 また中央官庁を目指す優秀な学生の場合、国家公務員T種試験 (現/ 国家公務員総合職/ いわゆるキャリア組) の時代には大学3年の時点で合格して大学は中退、そのまま省庁に入るなんて人もいました。 同級生よりも1年度早く入省することでリードするわけですね。 単位を取得していても最終学歴はあくまで高卒や大学中退になりますが、それほど優秀な学生は引く手あまたで、中退こそが超エリートの証みたいな場合もあります。 日本の役所は年功序列がかなり徹底していますし、年次でリードするのは同学年内での出世競争でもかなり有利でしょう。 その後国費留学生として海外の有名大学で専門教育を受け大卒や院卒となる場合もあります。 これはひと昔前の法学部学生と司法試験の関係にも似ています。

 また 戦前 の日本での超エリート校に陸軍や海軍の兵学校 (士官学校) がありますが、一般の大学とは違うことだらけで全体を把握するのは結構大変です (戦後は制度がまるで変わりました)。

年齢区分による名称変更

 年齢や通っている学校によって名称自体が変わることもあります。 一般に0歳から1歳未満までは乳児、1歳から小学校入学前の5〜6歳までは幼児で、幼稚園は1年生を年少、2年生を年中、3年生を年長と呼ぶこともあります。 これらはまとめて未就学や未就学児と呼びます。

 学校教育法では満6歳時の学年から満12歳の学年の終わりまでを学齢児童、小学校または特別支援学校の小学部課程終了の学年から満15歳の学年の終わりまでを学齢生徒と呼び、さらに小学校に在籍するものは児童、中学校、高校、中等教育学校の前期・後期課程に在籍するものは生徒、大学 (短期大学、大学院を含む)、高等専門学校、専修学校 (専門課程) に在籍するものを学生と呼びます。 その他、小学生を学童と呼んだり、大学・大学院の学生を学部生 (卒業時に学士を得るもの) や院生 (卒業時に修士・博士を得るもの) と呼ぶこともあります。

 ただし児童福祉法では18歳未満は全て児童ですし、もしくは小学生から18歳までは少年になりますし、労働基準法では18歳未満は年少者、15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでは児童になります。 少年法では20歳未満は少年、青少年インターネット規制法 では18歳未満は青少年、民法では20歳未満は未成年、男性満18歳女性満16歳は婚姻適齢と呼びます (2022年4月の改正により民法では全て満18歳に変更、それ以上は成人)。 刑法なら14歳で刑事責任年齢です。

 公的な言葉がそうですから、とくに児童といった呼び方や、一般でよく使われる高校生の学生呼び、専門学校生の生徒や学生呼びなどは、多少法令と異なっていても俗語表現としては誤用だとまでは云えないかもしれません。 あくまで法令や法令に準じた呼称を用いる放送や出版における基準・規範としての呼び方に過ぎません。 とはいえ高校生の身分証明書の呼び方は教育法の通りおおむね 生徒手帳や生徒証、生徒の自主活動組織も 生徒会 で、学生証とか学生会とは原則呼びません。 逆の学生もしかりで創作物でこれらの言葉を使う際は、このあたりのディテールも考える必要があるでしょう。

早生まれと遅生まれでは、最大約1年もの差が付いたり

 年度内は同じ学年・同級生として扱われますが、その年度内でもっとも早く生まれた人 (4月1日) と遅く生まれた人 (3月31日) とでは、当然ながら実質約1年間もの差が生じます。 中高年者にとっては1年程度の差はほとんど無視できる (個人差の方が圧倒的に大きい) のでしょうが、保育園や幼稚園、小学校低学年といった10歳未満の児童の場合、1年間で生じる体格や知能の成長差は、しばしば個人差でどうにかできる範囲を超えるほど大きなものとなります。

 自己肯定感は子供の頃に褒められたり評価される、周囲の友人らとの相対的優位性などによって育まれることが多いですし、私立一貫校への受験でも親子ともども何かと早生まれは有利となるでしょう。 逆に遅生まれは不利となります。 ギリギリの場合出生日を調整するなんて話もありますが、親の遺伝や 環境 といった要因の次くらいに人生や精神的なあれこれに影響を与えうるのがこの早生まれ・遅生まれかもしれません。

学校種別と学年・年齢一覧一覧

学校種別・学年など在学者年齢
保育園1年生0歳 〜 1歳
2年生1歳 〜 2歳
3年生2歳 〜 3歳
4年生幼稚園1年生/ 年少3歳 〜 4歳
5年生2年生/ 年中4歳 〜 5歳
6年生3年生/ 年長5歳 〜 6歳
小学校
(小学)
1年生/ 低学年6歳 〜 7歳
2年生/ 低学年7歳 〜 8歳
3年生/ 中学年8歳 〜 9歳
4年生/ 中学年9歳 〜 10歳
5年生/ 高学年10歳 〜 11歳
6年生/ 高学年11歳 〜 12歳
中学校
(中学)
1年生12歳 〜 13歳
2年生13歳 〜 14歳
3年生14歳 〜 15歳
高等学校
(高校)
定時制・通信制は
4年間まで在籍可
1年生高等専修学校1年生高等専門学校
(高専)
卒業後大学の
3年次に編入可
1年生15歳 〜 16歳
2年生2年生2年生16歳 〜 17歳
3年生3年生3年生17歳 〜 18歳
4年制大学
(4大・大学)
昼間・夜間・通信
ともに最短4年間
医科大学・医学部は
最短6年間
1年生短期大学
(短大)
1年生専門学校
(専門)
2年〜4年程度
1年生4年生18歳 〜 19歳
2年生2年生2年生5年生19歳 〜 20歳
3年生3年生20歳 〜 21歳
4年生4年生21歳 〜 22歳
大学・大学院
区分制博士課程
(標準) は3年間
一貫制博士課程は5年間
6年制学部卒は4年間
修士課程1年22歳 〜 23歳
修士課程2年23歳 〜 24歳
博士課程1年24歳 〜 25歳
博士課程2年25歳 〜 26歳
博士課程3年26歳 〜 27歳

省庁大学校や医学・法科は分かりづらい

 高等教育機関の例外的な存在として、省庁大学校と呼ばれる大学相当の教育機関があります。 有名なのは先述した防衛省の防衛大学校でしょう。 一般の大学と同様に学位認定があり4年制 (本科) で、卒業後は陸・海・空各自衛隊の幹部候補生学校へ入校し、さらに半年から1年間程度学びます。 なので実質的な修業期間はおよそ5年となります。 入校後は国家公務員となるため、入学試験も国家公務員試験と同等の扱いとなり、正式には採用試験と呼びます。

 防衛省にはこの他に一般の大学院に相当する理工学研究科と総合安全保障研究科があります。 また防衛医科大学校もあり、こちらは一般の医大や医学部同様に6年間通うこととなります (看護学科は4年)。 他の省庁でも国土交通省の海上保安庁に海上保安大学校、気象庁に気象大学校、農林水産省の水産庁に水産大学校、厚生労働省に職業能力開発総合大学校や国立看護大学校があります。 これらは国よって設立 運営 され、それぞれの分野で日本トップレベルの教育水準を持ちますが、文部科学省の管轄外 (教育基本法に基づくいわゆる一条校ではない) であり、一般の国立大学などとは異なる制度の元の教育機関となっています (なので大学ではなく大学校という名称になっています)。

 この他、学位認定がない大学校も警察大学校をはじめいくつかあり、学生が国家公務員扱いされるものもあれば、そうでないものなどそれぞれの学校ごとに違いがあります。 このあたりは自分が進路として検討したり選んだり、友人や縁者に学生や卒業生がいないと仕組みが分からないどころか存在すら知られていないことが多いでしょう。 2012年2月に 私が学長です の騒動で話題となった放送大学という特殊な大学もあります。

 また弁護士になるための法科大学院も大学卒業後に3年間の修業が必要です。 ただし特別選抜枠として用意された法曹コースを通ることで、大学の学部を3年で早期卒業して入学することもできます。 旧司法試験に近い予備試験ルートもあります。 どちらも司法試験の受験資格を得るために必要です。 弁護士は高学歴の象徴のようなイメージがありますし、同じく高学歴かつ高収入なイメージのある医者も、一般の大学と異なる6年間の修業があり、どちらも マンガアニメ といった創作物で扱われることも多いイメージです。

 そのキャラの優秀さや 天才 ぶりを表現するために 「最年少〇〇」 みたいな設定をつけるとして、最短何歳で卒業資格や免許を得られるかは国家資格の種類や時代によって結構違います。 このあたりを把握すると作品の リアリティライン も高まるでしょう。 まぁ創作物ではあるし、「特例で」「飛び級して」 を使えば何でもありではありますが。

インターナショナルスクールとなるとさらに異なる仕組みが

 これらとはまた全く異なる学校もあります。 代表的なのは、日本在住の外国籍の子供たちを対象に設立され、基本的に英語で授業が行われるインターナショナルスクール (国際学校) です。 近年では新設校を中心に日本人が通うことも増えてきました。 こちらは大きく分けてアメリカ式や国際バカロレア式 (IB) などで採用される小学校5年+中学校3年+高校4年の計12年間と、イギリス式と呼ばれる小学校6年+中学・高校5年の計11年間などがあります。 この他、大学予備課程として2年間 (A-Level) に進む場合もあります。

 いわゆる一条校ではないため教育カリキュラムや年度開始時期が日本のそれと異なっており、また各種学校の中で特別な指定校でなければ卒業資格が日本のそれと同等の扱いを受けない (日本の大学入学資格などが得られない) こともあります。 ちなみに各種学校は専門学校や自動車教習所なども含まれる広い区分です。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2005年2月21日/ 項目を分離しました)
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