同人用語の基礎知識

ギルティ

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なんと罪深い…これは間違いなく 「ギルティ」

 「ギルティ」(Guilty) とは、そのまんまですが英語で 「有罪」「罪」 といった意味の言葉です。 ただし おたく腐女子界隈 でことさらに 「ギルティ」 を使う場合は、様々な 元ネタ から派生した おたく用語ネットスラング としてのニュアンスを持っています (ギルティと名のつく 作品 は古典や音楽作品を含めて膨大な上、セリフやフレーズも数多くあるため、何がもっとも強い影響を与えたのかは不明です)。

 使い方もシンプルで、例えば ネット 掲示板 なら誰かの不祥事や問題発言などが話題となった時に、単に 「ギルティ」 とだけ レス をして 「問題がある」「言い逃れできない」「有罪確定」 だとの意思表示とします。 まだ判然としない場合は guilty or not guilty (ギルティ オア ノットギルティ/ 有罪か無罪か) です。 これは直接的な意味で使うだけでなく、リア厨 が使いがちな 痛い 言葉づかいを真似た面白さも含んでいます。

 いわゆる 中二病邪気眼 とは極めて相性が良く、とくにキリスト教などで使われる原罪 (キリスト教で人類が最初に犯した罪) とか贖罪 (キリストが磔刑によって人類の罪をあがなうこと)、ロシアの文豪フョードル・ドストエフスキーの 「罪と罰」 あたりの言い回しは様々にアレンジされて使われています。 ちなみに罪と罰を英語にすると一般的には crime and punishment (クライム アンド パニッシュメント) ですが、おたく的にはギルティ アンド パニッシュメントみたいな使われ方が多いようです。

 この他、裁きとか罪科とか刑罰とか罪禍とか、宗教がらみや裁判関係の言葉や漢字は厳格さゆえの大人っぽさというか、逆にそれら大人の世界や体制への反逆というか、思春期前後の自身の欲望に対する自省的で内向的な心理的奥行きの言語化というか、中二病が憧れるかっこよさがあります。

 ちなみに 正義 や公正、公明正大はジャスティス (justice) ですが、こちらもネット掲示板などでしばしばそのままの意味で用いられます。

対義語は 「イノセント」? それとも 「ノットギルティ」?

 なおギルティの対義語は 「イノセント」(Innocent/ 無罪) ですが、前述した 「ノットギルティ」(not guilty/ 有罪ではない) もよく使われます。 なぜ 「無罪」 ではなく 「有罪ではない」 という回りくどい言い方となっているのかと云えば、裁判などにおいて被告人やその代理人である弁護士などが 「無罪を証明」 する必要がなく、検察が被告人の有罪を証明する必要があるからです。 従って法廷のやり取りでは、検察側が主張する有罪の理由に反論し無効化することとなり、すなわち 「その理由や証拠では有罪とはいえない」 となるわけです。

 日本や欧米など民主的な先進国の裁判では、その行為が罪となる法律がすでにあり、かつ証拠に基づく有罪が立証されて宣告がされなければ無罪 (推定無罪) となりますから、あくまで 「無罪」 ではなく 「有罪ではない」 となるわけですね。 逆に云えば、裁判が公正に行われている場合、無罪は必ずしも行為を行ってはいないという認定にはならず、単に現在の法律とその証拠では罪と断定はできないだけでもあります。

 ちなみに推定無罪の直接的な対概念である 「推定有罪」は、まともな民主主義かつ罪刑法定主義の国では許されません。 日本ではこれを自明のものとして罪刑法定主義を明確に規定したものはありませんが、日本国憲法31条が、「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。」 と定め、実質的にそれを保障しています。

 現実の裁判などで、素人目に見ても (それはそれで危険ですが) 有罪に見える被告人が、裁判で無罪を勝ち取ることがしばしばあります。 これについて裁判官を責める意見がネットなどで噴出することがありますが、責められるべきは十分な証拠を集められなかった検察側であって、裁判官ではありません。 凶悪犯罪や性犯罪などで納得のいかないこともありますが、ろくな証拠もなく 「そうだろう」 で人に刑罰を与えるようなことはあってはなりません。

 ただまぁ、明らかにおかしな判決を繰り返すよくわからない裁判官もいるので、法に基づく公正な裁判と、感情に基づく魔女裁判や人民裁判の グラデーション の中で、上手いバランスが取れるような仕組みを考えたいものです。 とくに法律を作る側である政治家ら、いわゆる 上級国民 の犯罪行為では、裁判にすらならず検察側判断で不起訴となるケースもあります。 現在の仕組み以外の新しい仕組みが求められていると云えるでしょう。 それがいつまでも出来ないようなら、それこそいずれは暴力と悲劇を生むテロや革命を求める世の中になってしまいます。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2005年8月16日)
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