同人用語の基礎知識

字読み

トップ 同人用語 項目一覧 字読み

単なる本好き・読書好きから文字フェチまで… 「字読み」

 「字読み」 とは、文字を読むことです。 いわゆる本好きや読書好き、活字中毒と同じ意味で使われることもあれば、単に目で文字を追うことが楽しい、字を読んでいると落ち着くといったある種の 癖 や特性に近い扱いをされることもあります (後述します)。 おたく や 腐女子 にはこうした人は少なくないようで、「あ、そんな傾向自分にもあるかも」 みたいなあるある話でちょくちょく出てくるものではあります。

 対概念となるのは字を書くのが好きな 字書き で、これは 同人 の世界では 絵 を描くのが好きな 絵描き と対比する言葉としてよく用いられます。 ちなみに自分で字 (小説や 二次創作 としての SS、あるいは マンガ など) を書かずに人の書いたものを読む人のことは 読み専 と呼びます。 これに近い言葉に 同人誌 をもっぱら買ってばかりの人を 買い専 と呼びます。

 この他に一般的な使い方のひとつとして、漢字やアルファベットなどを特定のルールに従って読むことを 「〇〇字読み」 や 「〇〇読み」 と表現することもあります。 例えば AUTO を英語読みのオートではなくローマ字読みのアウトで読む ネットスラング みたいな使い方ですね。 漢字なども同音異義語との混同を防いだり おバカ な ネタ として、あえて一般的な読み方とは異なった読み方や 誤読 っぽい読み方をすることがあります。 既出を がいしゅつ と読んだりなどです。 これらはネットスラングの他、一部の専門用語は 業界読み と呼ばれることもあります。

活字を見ているだけで心が落ち着く…

 一般に読書や本が好きな人は、行為そのものより本から得られる面白さ、知識を吸収する体験が好きという場合が多いでしょう。 面白い本を読めば想像力が刺激されて楽しいし、新しい知識が得られれば知的な興奮だって得られます。 好きな 作家 や ジャンル ができれば、それを追ってさらに本を買って読むこと (作家買い・ジャンル買い) だってするでしょう。 娯楽としての 物語 や教養としての知識や情報を得る方法はテレビや映画など様々ありますが、文字で 摂取 するのが自分には合っているという感覚です。 逆に云えば面白くない本、すでに知っている内容ばかりの本であれば退屈したり読むのをやめて別の本を手に取ることもあります。

 一方で一部の字読みは、もうほとんど内容などはどうでも良く、ただひたすら文字を目で追うことが楽しい、快感を覚えるみたいな状態になっているケースも含みます。 例えばもう何十回も読み返していてほとんど内容を一字一句暗記しているような本を常に傍らに置き、ついつい手にとってはまた読んでしまうなどが典型的な字読みの パターン です。 逆に小さな子供などにありがちなケースで、字を目で追っているけれどまだ読むことができずに内容も頭に入らないけど、しかしそれをひたすら繰り返すみたいな状態もあります。

 文字には抽象的な意味の他に形状という視覚的な情報もあり、書画同源というように文字そのものにも 絵画 のような造形美や力強さがあります。 漢字などの象形文字由来の文字はなおさらです。 文字だけが書かれた掛け軸や文字と絵がバランスよく 配置 された詩画一如は独特の趣がありますし、落款と印章とが織りなす構造美もあります。 また一定のリズムで文字を読む→内容を把握して頭に入れるの繰り返しが心地よくて癒される、リラックスできるという部分もあります。

 これについては文字にある種の フェティッシュ な魅力を感じているとか、何らかの精神的な特性や場合によっては困難によって文字から快感や充足感を覚える傾向があるなど、人によって理由は様々です。 とはいえ外から見ていると一般的な本好きや読書好きとの区別がつけづらいですし、純粋な本好きや読書好きとここでいうフェチ的な字読みの特徴を併せ持つ人も多いので、本人ですら何が自分を字読みに走らせているのか分からないことがあります。

 ちなみに 筆者 はこの傾向がかなり強くて、子供の頃から新聞とか百科事典とか図書館の本とか片っ端から読んでいたし、しまいには雑誌や新聞の折り込み広告とかファミコンなどの ゲーム のマニュアル小冊子を延々読み続けたりもしていました。 子供の頃は記憶力もあるので雑学の知識はそれなりについたと思いますが、それが人生で役に立ったことはあまりなく、何でそこまでして文字に目を向けていたかわかりません。 まだ ネット もゲームもなく娯楽に乏しい時代だったこともあるのでしょうし、単に本とか文字が好きなこともありますが、たぶん何らかの癖や特性なのかも知れません。

 またこれは、おたく・腐女子に限らずある種の現代人につきものの傾向なのかもしれません。 例えばテレビ番組やネットの 動画サイト の 動画 などは、昔と比べて字幕やテロップだらけです。 言葉でしゃべっている内容を全てテロップで表示する動画もたくさんあります。 それを視聴している側は耳で声を聞き目で 画面 の絵や図を見ればいいのですが、テロップがあるとどうしても読んでしまう人も多いでしょう。 大小さまざまな文字が並んでいる状態がすっかり当たり前で、映像だけで文字がない映画やドラマ、アニメ の画面を見ると違和感を覚えるみたいな人までいます。 文字で読むのに慣れて、セリフがやたらと聞き取りにくいと感じる 視聴者 もいます。

 これも行き過ぎると、いわゆるゲシュタルト崩壊になるのでしょうが (同じ文字や図形などを延々と見続けているうちに、まとまりのある形 (ゲシュタルト) が崩れ全体としてのまとまりが分からなくなり、バラバラな部分や部品の集まりに見えて意味を喪失してしまう心理的な現象)、これも起こりやすい人とそうでない人がいるようです。 まぁゲシュタルト崩壊という響きに、何やら 中二病ネーミング っぽいかっこよさがあるのでことさらに使われがちなだけかも知れませんが。

音楽や映像にも類似の傾向が

 音楽なんかだと、音楽好きとは一線を画す同じような傾向を持つ人は結構います。 ひたすら切れ目なく音楽が鳴っていて欲しい、静寂や無音が我慢できない、音楽というより楽器の独特な音色や歪み、リズムが耳にひたすら心地よいみたいな人です。 ノイズを好んで聴く人もいます。 とりあえず家に帰ったらテレビをつける、シーンとするのが苦手みたいな人は昔からいますし、ここでいう字読みはそれの文字版みたいな感じなんでしょうか。

 ただし無音から不安や恐怖を感じたりそれが原因でパニックになるような精神的な困難 (無音恐怖症/ Sedatephobia) もありますが、字読みの場合は精神的な不安障害とはまた違うような気がします。 極限の無音状態にいると正常な人も短時間で我慢できなくなると云いますが、字読みは数時間文字を見なくても問題ありませんし、別にそこまで切羽詰まってはいないんですね。 字がないと不安を感じるほどではないけれど、あると安心できるみたいな。 ただ強弱の違いはあれども、似たような性質ではあるのかも知れません。 同様のものは映像にもありますね。 ひたすら同じパターンで連続で動く映像に中毒性があるとか。

 ちなみに筆者はテレビ番組などの映像の 作品 でも、ナレーターが落ち着いた口調で説明を延々とするような教養場組みたいなものが子供の頃から大好きでした (ナレ好き)。 小学生の頃に好きだったテレビ局は NHK、番組は教養系や報道番組ばかり見ていて、アニメや特撮は子供らしく見ていましたが、わちゃわちゃしたお笑い番組とかは一部を除いて本当に苦手でした。 アニメでも、ナレーションと会議がやたら多い 「銀河英雄伝説」 とかほんとに好きで。

 当時の自分はこれを大人っぽい知性への憧れや 「新しい知識が知りたい」 という知的欲求からくるものだと思っていて、前述した新聞や百科事典の読み込みと合わせて若干の自負すらもありましたが、べつにたいして頭も良くないので得た知識も右から左状態で、その後は落ち着いた声質での言葉に耳障りの良さを感じ、単に生理的にそれが好きなだけなのかなと若いころに思い至るようになっています。 今でいう 「イケボ 萌え」「ASMR」 みたいな感じなんですかね?

 こちらもわりと一般的にそうした傾向を持つ人は多いようで、例えば難しい哲学とか物理の話、歴史やら宇宙やらの複雑で遠大な話をとうとうと語るナレーションから深いリラックスが得られ、そのまま眠りにつくのが最高みたいな人は結構います。 そのような動画は睡眠導入動画みたいな呼び方がされることもあります。 とはいえ字読みとナレ好きの中間あたりに位置しそうな詩の朗読などは、興味を持つ人持たない人がわりと別れますし、人の感性? って不思議! って感じです。

Twitterこのエントリーをはてなブックマークに追加FacebookLINEGoogle+

関連する同人用語・オタ用語・ネット用語をチェック

(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2005年9月9日)
破線
トップページへページの先頭へ

トップ
 旧同人用語メイン
 同人用語辞典 収録語 項目一覧表
 同人おたく年表
 同人関連リンク
 付録・資料
サイトについて
書籍版について
リンク・引用・転載について
閲覧環境
サイトマップ
のんびりやってます
フッター