「あさみかわいいよあさみ」 から 「能登かわいいよ能登」
「○○かわいいよ○○」 とは、特定の人物 (タレントや声優)、及び マンガ や アニメ、ゲーム の キャラ などを 「可愛い」 と賛美する意味の言葉です。 もっぱら ネット の 書き込み で利用される成句で、面白みのある ネットスラング の一種としてよく使われています。
「○○」 の所にはその人物やキャラの名前 (もっぱら苗字ではなくファーストネーム) が入りますが、「かわいい」 を挟んで前後で連呼して出てくるのが、ちょっと偏執っぽさもあって面白い感じです。
「あさみかわいいよあさみ」 がモー娘。関連掲示板でブレイク
言葉の成り立ちとしては、ハロー!プロジェクトの女性アイドルグループ 「カントリー娘。」 に2000年に加入した 「あさみ」 さんが、明石家さんまさんのテレビ番組に出演した時のエピソードに端を発します。
番組の中で、以前に会ったこともあるのに明石家さんまに名前を忘れられ、あさみさんはしょんぼり。 気を使ったさんまが 「名前を忘れたのではなく、以前会ったとき、あの可愛い子って形で覚えたから、あの可愛い子としか覚えてなかった」 と言い訳。
その後その番組中で何度も何度も 「あさみかわいいよあさみ」 と フォロー しつつ名前を覚えたことをアピールするため繰り返したところ、2ちゃんねる のモーニング娘。関連の 掲示板 や、実況系 (テレビ番組を見ながら書きこむ) の掲示板で話題に。
声優 能登麻美子さんバージョンが登場、クローズアップされることに
その後このフレーズは、他のタレントなどにバリエーションを増やしながら徐々に浸透して行きましたが、さらにそれから暫くして、声優の 能登麻美子さんのバージョン 「能登かわいいよ能登」 で2004年にブレイク。 こちらの使い方は、能登さんの熱心な ファン が使い始めた訳ではなく、当初は能登さんの アンチ による揶揄や嫌がらせ、ある種の褒め殺しのような扱いのものでした。
よく使われていた場所は、能登さん関連の スレッド や能登さんが出演していたアニメ番組 (中でも当時放映されていた 「マリア様がみてる」 や 「北へ。 〜Diamond Dust Drops〜」 など) の関連掲示板などでしたが、とりわけ実況系の掲示板では能登さん演じる藤堂志摩子や朝比奈京子、桃園桃子などのキャラクターが登場するたびに 「能登かわいいよ能登」 が炸裂。 アンチによる揶揄だからか、あまりに執拗かつ膨大に書きこまれたこともあり、そのまま一気に定着。
その様子をみた事情をよく知らない他の声優ファンなどにも、「面白い言い回しだ」 と意識され、真似して書きこむ人が増え、あちこちに伝播。 これは、能登麻美子さんが人気のある声優であると同時に、数多くの人気 作品 に出演していて、まるで違う ジャンル の人たちにも言葉だけが連鎖して広まったことが大きかったようです。 それと共に当初の揶揄の ニュアンス は薄れ、ファンによる賛美や賞賛にもそのままの意味で使われるように。 さらにその後は、能登さんを離れ、あらゆる声優やキャラにも、当てはめて使われるようになりました。
「現代用語の基礎知識 2008」 へ収録されるなど、一般でも話題に
おたく な人たちが使う、こうした 萌え を伝える言葉には、俺の嫁 や 世界一 かわいいよっ!! 、可愛いすぎて生きるのが辛い など様々なものがありますが、使いやすさ、微妙なニュアンスの面白さから、「○○かわいいよ○○」 は 「嫁」 と並んで2000年代もっとも使われた言葉の一つだったと云って良いでしょう。
なおこの 「能登かわいいよ能登」 は、その後 2007年11月になって 「現代用語の基礎知識 2008」 への収録が発表され、一般ニュース扱いされると共に、一気にネットで検索数が増大。 この言葉がもっとも流行した 2004年〜2005年からずいぶんとブランクのある時期の収録でしたが、これにより再ブレイクもしています。
ちなみにこのニュースを受け、TBSラジオ 「こちら山中デスクです」 に録音インタビューの形で出演した能登麻美子さんは、「全然知りませんで、そんな言葉があったとは本人としても本当に驚きで、とてもありがたいことだとは思うのですが、なんか、ビックリしているのが正直なところです」 と、少々引き気味? な コメント をしています。
ちなみの蛇足で、能登半島は何の関係もありません。