マルチ能力なのか、単なる器用貧乏か… 「多能」
「多能」 とは、様々な分野で能力があること、多方面にわたる才能や特技、技術、ノウハウを持つマルチな能力のことです。 一般に 有能 と呼ばれる能力だと理解され、マルチスキルやフルスタック、多才と呼ぶこともあります。 一方で、何でも一通り無難・器用にこなすけれど、何かひとつ飛びぬけた能力を持つわけではないとの意味で使われること (器用貧乏) もあります。 近い 概念 に前述した有能の他、異能 があります。 対義語は単能です。
人や機械類の能力や スペック で使われる言葉で、例えば多能工と云えば一人で様々な業務や作業を行える職人や作業者、あるいは複数の技術・技能を指します。 多能機は一台で様々な作業や加工ができる工作機械、多機能機などを指します。
マルチ・クロスオーバーな才能を発揮する活動者
同人 や おたく・腐女子 に近いところでは、イラスト や マンガ などを制作する 絵描き であると同時に 字書き をしていたり、音楽活動や動画の制作、配信者 として面白トークも同時に行うなど、様々な ジャンル で幅広く活動している人を指すこともあります。 これらの人たちは肩書をひとつに絞ることが難しく、かといって マルチクリエイター といった名称にも気取った感じや陳腐な感じがして抵抗がある場合は表現者とか、あまり気取った感じがしない 活動者 を自称することもあります。
また分業が前提の アニメ 制作などで、コンピュータ技術や各種ツール類の発達により、たった一人で複数の役割を果たすスタッフを多能と呼ぶこともあります。 例えば 作画 監督やリードデザイナーとして キャラデザ や原画の一部を担当するだけでなく、中割りや着色や背景、画面効果 (エフェクト) などを含めた動画作成そのものを、作品やシーンごとに一人で作ってしまえるような人材や 環境 ですね。
個々人の人としての能力にもよるのでしょうが、一般的に何か一つの分野を極めた人と比べると、様々な分野に手を出す人はどうしても前述した器用貧乏になりがちです。 もちろんそれぞれの分野に精通し、実務経験もあってドメイン知識やコアなノウハウを豊富に持っていて 「何をやらせても一流」 という人もいないではありませんが、そうした人でもその中で突出した1分野でのみ、外部からは評価されがちでしょう。
多能な人は起業時のスタートアップ業務に向いているとされます。 人手も予算も乏しい中で、何でも一人でこなせる人は得難い人材です。 しかしそのビジネスが大きくなり、専門性の高い人材やそれを雇用できる資金に目途がつくと、ある意味で真っ先にお払い箱になりがちな存在でもあります。 ビジネスとしてのフェーズが個人や少人数の戦いから大規模なチーム戦に変わってしまうからです。 そこで政治力を発揮して居座り続けるような性格の人だと、色々な新しい分野に興味関心が向くような行動は取れないのかも知れません。
頼りになり、また愛すべき存在であり、友人にそんな人がいたら大切にしたいものです。