みっともないし自分はしたくないけど、したいかも… 「バカップル」
「バカップル」 とは、バカ なカップル （couple/ 恋人同士） のこと、もっぱら公共の場、人目のある場でイチャイチャとして二人だけの世界に入っているようなカップル、自分たちのことだけを考える 自己中心的 なカップル、周囲への配慮を欠くどころか、まるで見せつけるかのように過剰な愛情表現をするカップルを指す言葉です。
ありがちなのは駅のそばの通路とかホームの壁際とか電車の中、あるいは人通りの多い往来や公園のベンチなどで、人目をはばからず身体を密着させたり、顔と顔を近づけて見つめ合いながらうっとりしているといった状態を指します。 とくに高校生くらいのカップルが 制服 のまま行ったり、若い男女での非常識な行為を指すケースが多いでしょう。 場合によっては過剰なスキンシップどころかハグをしながらキスをする、相手の身体をまさぐるようなカップルもいます。
中高生カップルでも手をつないで登下校するとか、公園などで隣に座って語り合うくらいなら甘酸っぱい 青春 の一コマでしょう。 ちょっとした仕草や態度に相手への愛情が隠しきれない場合などは、ラブラブカップルとしてむしろ好意的に見られることもあるでしょう。 一方でバカップルのように人目の多い場でのベタベタとひっついてプライベートな部分をさらけ出す態度に対しては人はしばしばイラつきを覚え、「はしたない」「みっともない」「見ているこちらの方が恥ずかしくなってくる」 と感じられ、おおむね評価は散々です。
言葉として直接の関係はないのでしょうが、我が子可愛さのあまり周囲が見えなくなったり独善的に振る舞う親を俗に親バカなどと呼びますし、人は自分の好きなものに直面すると視界が狭まりバカになり （というか幸せバカですね）、また周囲もそれが微笑ましくも憎々しい、バカっぽい振る舞いに見えるものなのでしょう。 使われ出したのはかなり昔なのですが、バカ＋カップルというダジャレで初見でも意味が分かりますし、使いやすくて便利な言葉でもあるためか、ネット の時代になっても前述した本来の意味の他、ラブラブなツーショット写真ばかり アップ するカップルの アカウント をバカップル垢と呼ぶなど使われ続けています。
1980年代の若者言葉のひとつとして
言葉自体は1980年代から存在し、1985年版の現代用語の基礎知識にも掲載されています。 発祥は不明ですが1980年代に女子中高生向け雑誌などで否定的な意味で紹介されたり使われるなどして広まり、1990年代にテレビ番組などでも取り上げられて定着しています。 とくに1995年頃にタレントの羽賀研二さんと梅宮アンナさんの熱愛の模様をワイドショーなどが 「バカップル」 などと評したため、一躍流行語となっています。 なお羽賀さんがアンナさんとの交際を認めてもらおうとアンナさんの両親である俳優の梅宮辰夫さん・クラウディアさん夫妻に対してインタビューで語った 「誠意」 から転じた 「誠意大将軍」 も、あわせてその年の流行語となっています。
人前でのハグやキスなどは欧米などでは一般的ですし （それでもあまりに極端な場合は日本同様に批判の対象ですが）、周囲に外国人が大勢いる 環境 だとそれほど違和感も覚えなかったりもしますが、日本人は奥手だったり人目を気にする人が多いですし、無関係な他人の行為でも気になる人が少なくないという部分はあるのでしょう。 中には 「映画の中のかっこいい欧米人ならともかく、日本人がやってもサマにならない」 みたいな意見もあって、それはそれでどうなんだよと思わないでもないですが、いずれにせよ TPO をわきまえない態度として批判されがちです。
もっとも人によってはその苛立ちの理由に嫉妬がある場合もあり、バカップルだと罵倒しながらも複雑な心境を抱える人がいそうな気がするのも面白い点です。 基本的にバカップルはどちらも楽しそうですし、まぁバカップルみたいに他人の目の前でいちゃつくことに嫉妬を覚える人も少ないのでしょうが、制服で彼氏・彼女とイチャイチャしたい、したかったみたいな人は少なくないでしょうし。 大人の場合はある種の 青春コンプ とも云えますが、「うちの息子・娘があんなことをしていたら耐えられない」 親もいるのでしょうから、「嫉妬だ」 と決めつけるのもおかしな話です。
なお 同人 の世界でやたらといちゃつくカップル （カップリング） はラブラブカップルの他、イチャラブカップルと呼ぶこともあります。 バカップルと称されることもありますが、創作物の中でのそれは微笑ましいものとして好意的に扱われることの方が圧倒的に多いでしょう。
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