データは情報端末からネットの雲の中へ… 「クラウド」
「クラウド」(Cloud) とは、言葉そのものは空に浮かぶ 「雲」 のことですが、ネット の世界では、もっぱら 「クラウドコンピューティング」(Cloud Computing) のことを指して使う言葉です。
クラウドコンピューティングとは、ソフトウェア (アプリ) のインストールや稼働、電子データの保存などを、それぞれのパソコンや携帯電話、スマートフォン、タブレットPC などの情報端末でその都度稼働・保存するのではなく、インターネット (Internet) を通じてネット上で稼働するサーバやストレージ上で稼働・保存する使い方やその技術、サービスのことです。 概念 や技術などはかねてから存在していましたが、2000年代後半から広く利用されるようになり、言葉としても広まっています。
情報端末ごとの面倒なデータの移し替え、バックアップが不必要に?
例えば外出中にスマートフォンで写真を撮影したとします。 通常その 画像 データは撮影したスマートフォン内部の画像フォルダなどに保存されるだけであり、別の端末やパソコンで利用したい場合は、その都度データを転送したり他の端末と同期したり、いちいち移し変える必要があります。
一方クラウドの場合は、ネット上にあるデータサーバやストレージに一度だけ アップロード したり、あるいは自動的に逐一転送され、ネットにつながっている異なる複数の情報端末からいつでも利用が可能となります。 個人が利用する場合のほか、グループウェアとして会社の同僚や仲間と共有ディスクを介してデータを 共有・シェア することもできますし、ひとつのソフトウェアを共同で使ったり、ネットを通じて時間も場所も問わずに、いつでも利用が可能となります。
こうした利便性の他、適切なセキュリティ管理を行うことで、紛失した モバイル 端末からデータが流出するのを防いだり、データ保全のための面倒なバックアップを各端末ごとに行わずクラウドコンピュータのみで済ませられる (既存のクラウドサービスを利用すれば、個人がデータのバックアップをしなくて済む) という利点もあります (ただしリスクも当然あります)。
なぜ 「雲」(Cloud) なのか
急速に広まるクラウドコンピューティングやそのサービスですが、特定のサービス名や固有名詞による用語ではなく、また厳密な概念や定義それ自体も固定している訳ではありません。
元々インターネットを図で表す際、もくもくとした雲で表すケースが以前からあり (インターネットそのものをクラウドと呼ぶ場合もあります)、そこにデータを置くのでクラウドと呼ばれるようになっただけなのですが、2010年前後に様々なクラウドコンピューティングサービスが立ち上がり話題となったことで、日本でも急速に認知度が高まっている用語と云えるでしょう。
もっとも言葉のみが先行して、実態が追いついていないとの話もあります。 例えばインターネットに接続したサーバはクラウドコンピューティングが叫ばれる前からありましたし、アップローダー や オンラインストレージサービスをはじめ、同じような物の呼び名を変えただけとの話もあります。 実際、使う側もサービスを提供する側も、それ以前のサービスと具体的に何がどう違うのか、明瞭に説明できないケースがほとんどでしょう。
いずれクラウドバブルは崩壊するのでしょうが、web2.0 と同様、いわゆる バズワード (単に多くの人の話題になる言葉、バズる ためのキーワード) のひとつとして、概念はともかく言葉は、イメージだけのブームですぐに収束してしまうのかも知れません。