画面の上から何かが落ちてくる… 「落ちもの」
「落ちもの」 とは、ものが落ちること、その状態から転じたあれこれを指す言葉です。 おたく や 腐女子 に近いところでは、ゲーム における落ちものと、物語 の形式、あるいは舞台関係のあれこれを指して使うことが多いかもしれません。
ゲーム (要電源) における落ちものは、画面の上から下へと何かが落下するタイプのゲームを指して使います。 代表的なのはコンピュータゲームの 「テトリス」(1984年) で、このテトリスを始祖とする似た形式のゲーム全般を 「落ちものパズル」 と呼びます (その他、落ちゲーなどとも)。
日本においては 「ぷよぷよ」(1991年) が、この ジャンル の代表作でしょう。 いずれもアクションパズルの名作として名高く、ルール自体はシンプルながら、パズル特有の思考力はもとより、高い反射神経や動体視力、正確な指さばき、さらに対戦型では冷静な判断力まで求められます。 プレイヤー の生物としての総合的な能力が試される、単純だけれど奥深い、これぞゲームと云って良い存在でしょう。 また見た目は 地味 で知的なゲームでありながら、連鎖でブロック (テトリミノやぷよ) を一気に消す視覚的・感覚的な爽快感があるのも魅力のひとつでしょう。
空から誰かが落ちてくる…汎用性の高い物語の定型として
マンガ や アニメ といった創作物の物語においては、降ってわいたように空から何かが突然落ちてくるような物語、とりわけそれが物語の発端になるような展開や 設定 のものを落ちものや落ちものストーリーと呼んだりします。
神話の時代から、空から降ってくるものは人間に幸福か災いかのどちらかを強いる存在として表現されますが、単に物語を類型化したパターンの一つ、あるいは 王道・定番 といった意味で使う一方、逆にワンパターンでありきたりな筋書きだとの揶揄の ニュアンス や意味もあります。 中でも人、あるいは神様でも 天使 でも悪魔でも宇宙人でもオバケでも何でもいいですが、その 作品 の 主人公 となるような キャラ が突然降ってきて、そのままその作品の主要なキャラの家に居座るようなパターンは 居候もの と呼んだりします。 わかりやすいのは 「オバケのQ太郎」 パターンですね。
アニメ 「天空の城ラピュタ」 のパズーとシータの出会い (C)1984 Studio Ghibli・H |
その他、美女や美少女が突然現れて出会うような物語 (ガール・ミーツ・ボーイ) の ヒロイン は 「落ちものヒロイン」 と呼んだりします。 アニメ 「天空の城ラピュタ」 で主人公パズーの目の前に突然空から降ってくるもう一人の主人公シータは、その代表格でしょう。
また作品ジャンルはまるで違いますが、「うる星やつら」 のラムあたりも、落ちものヒロイン (あるいは 押しかけ ヒロイン) の典型例と云えるかもしれません。 いずれも突然目の前に落ちてきた謎めいたヒロインとの出会いから全ての物語が始まり、作品の核心部分の多くをそのヒロインが持つ作品展開となります (ラムちゃんの場合は結果的にそうなったような要素が強いですが)。
舞台・演劇関係で落ちるものと云えば…
舞台や演劇関係で落ちものと云えば、落語のように話の最後に オチ がつく舞台芸を指す場合があります。 一方、舞台に降りてくる幕とか、演出で降る雪や桜の花びらといった紙吹雪はいかにも落ちものといった感じがしますが、それぞれは下ろすとか引く、閉じる、降らせると呼んで、落とすとか落ちると表現することはないようです。
ちなみに演劇の世界ではよく2日落ち (2落ち) という言葉が使われますが、これは初日を終えて出演者の緊張感が途切れ、2日目に気持ちが緩んで初日にはできたことができなくなったり、大きな失敗やたるんだ演技をしてしまうという状態を指して使います。 また出オチの場合は、出た瞬間にオチが来てしまうような状態、調子が良いのは最初だけといった意味の言葉となります。 楽屋落ちなら、楽屋の話 (そこから転じて楽屋でやるようなつまらない話) を指します。