意味や定義で混乱、「ペドフィリア」
「ペドフィリア」(Pedophilia) とは、子供 (Child/ 一般に第二次性徴期前・思春期前の13歳以下の幼児・小児) を性の対象とする異常性欲 (性嗜好障害) のことです。 ペドフィリアの性向を持つ者は 「ペドファイル」 や 「ペドフィル」 と呼びます。 またそれら全体を略して 「ペド」(Pedo) と呼ぶ場合もあります (誤字で ペドフェリア とも)。
本来は米国精神医学会 (American Psychiatric Association/ APA) の診断・統計マニュアル 「DSM-IV-TR」 において定義された精神医学上の疾患分類における小児性愛 (Pedophilia) を指し、日本においてはおおむねこの意味でのみ使われますが、欧米などではそこから 拡散 して、「過度の子供好き」「小児愛」 そのものを広く指す日常語としても使われています。
また児童性嗜好障害のあるなしに関わらず、「子供しか相手にできない愚か者」 や、さらに 「くそったれ」「人でなし」「ろくでなし」 といった意味の単なる罵倒語として、「ペド野郎」 などという言い回しを使う場合もあります。
米国精神医学会 (APA) の診断・統計マニュアル 「DSM-IV-TR」 において定義
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| American Psychiatric Association 公式サイト | 
いわゆる 児童ポルノ などもそうですが、欧米と日本とで、同じような言葉でも意味や定義が大きく異なっているケースがあるのが、こうした言葉の難しさです。
日本には オタク用語 や 同人用語 として少女・少年偏愛症をあらわす ロリコン や ショタコン などがありますが、この言葉が オタク や 同人 といったサブカルチャーの世界を離れ、1990年代からは一般でも広く使われているため (しかも児童に対する性行為を実際に犯す場合にもしばしば使う)、厳密な言葉の使い分けができていない状態です (そもそもペドフィリア自体も、日本はもちろん、欧米でも定義が割れたり、時代によって意味が変わっている状況です)。
本来ペドフィリアは、複数の13歳以下の幼児・小児に対して継続的に強い性的衝動を覚え、それによって著しい精神的苦痛や、日常生活に支障をきたす対人障害が引き起こされたり、あるいは実際に複数の13歳以下の幼児・小児に対して継続的な性的関係を持つものを指します。
なぜ 「複数」 の13歳以下の幼児・小児になっているのかというと、対象が1人だけの場合は、年齢に関係なく 「たまたまその相手が好きなだけ」「たまたま性的関係を結べる状態にあったのがその相手だけだった」 のケースもあり、13歳以下の幼児・小児のみに 限定 して性嗜好しているとは判断できないからです。
いわゆる性的な児童虐待事件では、家庭内で父親による実娘・義娘などへの暴行事件などが割合として非常に多いものですが、これも 「子供が好きだからやった」 のか、それとも 「家庭内で自分のいいなりにできる相手がたまたま子供だった」 のかで、憎むべき犯罪行為自体は全く同じでも、その内容に大きな違いがあるでしょう。 これはその事件をきちんと解決し、新たな犯罪行為を呼ばないためにも、原因を正確にわける必要があります。
また女児に強い性的興味を抱く人物が成年のケースと、対象者と同年代、あるいは少し上の世代のケースでも、判断は大きく異なります。 例えば複数の12歳の女児に25歳や30歳の男性が強い性向を持っていればペドフィリアの可能性が極めて高いでしょうが、同じ12歳の男児が複数のクラスメイトに性的な興味を持っていても、それを異常性欲 (性嗜好障害) とまでは呼べないだろうとの考えは、精神医学以前に、ごく一般的なものでしょう。
ロリコンとペドファイル、どっちが 「正しい」 の?
こうした犯罪は 「ペドフィリア犯罪」 とか、日本では 「ロリコン犯罪」 などと呼ばれるケースもありますが (両方合わせた 「ロリペド」 といった言い回しも)、それぞれフィールドの違う場所から出てきた 「似たような言葉」 の転用でもあるため、どちらが正しいとか間違ってるなどと、答えがでるものでもないのでしょう。
ただ同人やオタクの世界では、マンガ や アニメ、ライトノベル、ゲーム などに登場する架空の キャラクター や U-15アイドル、お菓子系 を含め、趣味・嗜好として 「かわいいから好きだ」 との状態をロリコンやショタコン、あるいは アリコン、ハイコン (年齢によって区分される) とし、現実の女児に対する性的犯罪者、児童性虐待者のみをペドフィリア (欧米でいうチャイルド・マレスター (Child Molester) と呼び分けるケースが多いものです。
いわゆる 「ロリコンとペドとは違う」 という訳ですね。
アニメの女の子をかわいいと思うのと、現実の児童を力ずくで乱暴するのとでは大きな隔たりがあるのは事実で、「同一視されたくない」 との強い意識から出ている言葉ですが、こういった違いは一般の人には理解されにくいものですし、意図的に混同させて 児童ポルノ法 の規制強化に結びつける人たちの存在もあり、どのような言葉をどう使うかも含め、難しい問題でしょう。 また実際にロリコンの中にもごく少数のペドファイルがいるのは事実でしょうし。
ただ、「気に食わない上司を頭の中でぶん殴って」 も 「好きなアイドル歌手と頭の中でセックスして」 も、それで傷害罪や暴行罪に問われることもなければ、暴力性向が著しく高い異常者とは普通云われないでしょう。 もちろん頭の中で何を考えても罪には問われません。
この問題は最終的には 「現実の児童の人権の問題」 になりますから、やぶにらみのレッテル貼りや感情論に任せた魔女狩りをするのではなく、きちんとした言葉の使い分けと、冷静で客観的な事態の把握と対応が求められると云えます。
難しい児童の定義、ペドフィリアの定義
なお欧米における 「児童」 とは、幼児・小児 (13歳以下) を指すのに対し、日本の児童は18歳以下を指すので、この点でも定義が混乱しますが、ことペドフィリア犯罪を指して精神医学者などが呼ぶ場合は、日本でも欧米と同じように13歳以下の幼児・小児に対するものに限定されるケースが多くなっています。
例えば 援助交際 (児童買春) などのような未成年の高校生 (15歳〜17歳) に対する性犯罪は 「児童性犯罪」 ではあるけれど、「ペドフィリア犯罪」 としては取り扱わない場合がほとんどです。 児童性犯罪であるということは、精神医学的には障害があるということですから、本来であれば援助交際で高校生に対して性行為を行ったものには精神鑑定を含めメンタルな部分の対応はすべきでしょう。
なぜなら性犯罪のうちでも 痴漢 とペドフィリア犯罪は一般に再犯率が高いとされ、刑法上の責任を追求する以外にも、きちんとした精神的ケアを行わないとまた次の犯罪を起こす可能性があるからです (ただし一般に再犯率が高いとされる性犯罪については、単なる再犯 (性犯罪以外の窃盗なども含むもの) と同種再犯率 (薬物乱用などのように同じ罪を何度も犯すもの) とでまた違うので、個別・精密に見る必要があります)。
しかし現状、女子高生などと淫行に至ったケースでこうしたケアが行われるケースは極めて稀です。 現場 では、13歳以下と18歳以下の犯罪とでは、「性質が違う」 というのを把握しているのかも知れません。 であるなら、13歳以下も18歳以下も同じ扱いで法規制せよとの児童ポルノ法のやり方は、不誠実な対応と言わざるを得ません (犯罪者の側だけでなく、被害児童の精神的ケアなども行われていません)。
現実をしっかりと見た対応が必要と云えるでしょう。
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