同人用語の基礎知識

うま萎え

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絵が上手すぎて逆に萎える… 「うま萎え」

 「うま萎え」 とは、主に エロマンガ などにおいて、作者絵師 があまりに上手すぎて逆に 萎え てしまうとの意味の言葉です。 対義語は 「ちょうど良い下手さ」 あたりでしょうか (後述します)。

 技巧に走って妙に小ぎれいにまとまった絵と粗削りな迫力のある絵とを比べて、前者を 「ただキレイなだけの絵だ」「迫力がない」 などと否定的に見る意見はしばしば聞かれます。 本来ならマンガの絵は上手いにこしたことはありませんが、洗練されるに従って、作者本来の 「味」 や 「その 作家 らしさ」 が失われてしまい、量産型 のきれいなだけの絵柄に至って失望するケースは多いでしょう。

 これらは長期連載される 商業 のマンガ作品などでもしばしば耳にする意見ですし、「ヘタウマ」 で売っていた作家の絵が上達すると尖った部分や面白さを結果的に失うケースも多いでしょう。 とりわけ裸体・濡れ場が中心となるエロ漫画は一般に作画コストが高くなりがちですし (裸体なので服でデッサンをごまかせず、2体以上の人物の絡みが必要、さらに全身像やそれに近い構図が求められるなど)、よほど絵の才能があって若くして開花するかあるいは性欲が強くなければ、ベテラン となり絵が十分に上手くなる頃には年齢的に性的な感情が減衰しがちという部分もあるかもしれません。

 エロマンガ特有の作画コストと構図の問題は他にもあります。 一般に絵があまりうまくない人は、描きやすい一方で技術や工夫をあまり必要としない正面から見たような奥行きの乏しい平面的な構図をとりがちです。 しかしこうした平面的な構図は、逆に見ている側からも 絡んで いる キャラ の身体の位置関係が非常に理解しやすく、エロい 妄想 を妨げない分かりやすさ、いわゆる 「抜き絵・抜きコマ」 としての単純明快さがあります (正面観照性が高い)。 描きやすいポーズは、分かりやすいポーズでもあります。

 また絵があまりうまくない人はやたらと大ゴマを使う、書き込み が少なくスッキリしすぎている、キャラの顔やバストアップを描きたがる傾向もあり、これらも一般には手抜きにも見えるものですが、何よりそのキャラが好きで同人誌を手に取った ファン にとっては、むしろ ポジティブ に感じられる要素でしょう。 凝った構図で細かく描き込まれた背景、バラエティに富んだ絡み役の男の姿などは、むしろ 「邪魔」 なだけです。

「上手い絵が見たいんじゃない、エロい絵が見たいんだ」

 しばしば絵の上手い作家さんは、凝った構図、アクロバティックなポーズや遠近感・コントラストのあり過ぎる 「難しい絵」 を描きがちですし (これは技巧の見せびらかしにも見える)、即物的な オナニー のための 「おかず」 としてエロマンガや 18禁同人誌 を求める層からすると、「上手い絵が見たいんじゃない、エロい絵が見たいんだ」 みたいな反応もされがちです。

 もちろん本当に絵が上手い作家さんは、上手くてエロい絵を描けるのでしょうが (線画だけで胸の柔らかさが伝わってくるような絵を描ける作家はすごいと思います)、ただ単に 「オカズが欲しい」 という 読者 にとっては、中途半端な上手さや技巧は邪魔に感じ、あえて正面顔や正面ポーズばかり描いているような未熟な作家の本を好んで手にすることも多いようです。 もちろん、キャラの可愛さが自分好みなのは大前提ですけれど。

 あまりに下手すぎても困ってしまいますが、技術が全く追いついていないけれど、ひたすら自分の描きたいものを描くような下手だけど情熱のある作家さんは、なんだかんだ人気があったりするのも面白いところです。 ここで具体的な サークル の名前などは挙げませんが、絵の上手さ的にはそこらの 底辺 あたりと大差ない (あたしが偉そうに云えることではありませんが) のに、 とはいかずとも 中堅 どころを超える人気を得ているサークルさんはけっこういます。 筆者も二桁年単位で追っている大好きなサークルさんはそういったところが結構多かったりします。 これは逆に云えば、絵以外の要素 (キャラの魅力、物語の構成力、作品 テーマ) が、飛びぬけて優れている証左でもあります。

 カラーイラストの場合も、凝った塗りよりザックリとして手抜きにも見える アニメ塗り が好きな人もかなりいます。 このあたりは ジャンル にもよりますが、「娯楽作品か芸術作品か」 みたいな切り口による評価の違いとか、食べ物のB級グルメが好きな感覚と近い部分もあるかも知れません。

「ちょうど良い下手さ」「上手さ」 があるのかも…

 男性が女性の容姿を 露悪的 に評価する表現に 「ちょうど良いブス」 という言い方があります。 あまりに美人過ぎると却って萎えてしまう、高根の花過ぎて現実味がない、教室に何人かいるような身近な感じのほどほどが良い、こういうのでいいんだよ こういうので というような意味の言葉です。 これはこれで相手に対して大変失礼な話ではありますが、絵の場合も 「ちょうど良い下手さ」 あるいは 「上手さ」 があるのかも知れません。 そしてそれは狙って描けるようなものではない、ある作家のある瞬間の煌めきのようなものなのかもしれません。

 一般のマンガもエロマンガも、それぞれに難しさがあります。 ひと昔前までは、エロは一般のマンガより一段下みたいな評価がされがちでしたし、それなのにビジネス的にはエロがあった方がそこそこお金が回るような現実もあり、とくに強い自負を持って健全系の作品を描いている人の中には、「エロなんか誰でも描ける」「エロさえ出せば売れる」 みたいな云い方をする人もいないではない状況もありました。 しかし同人 (というか非商業系のインディーズ作品) の世界が広がり、無数の作品が生み出されるようになってくると、ジャンルや健全・エロといった部分よりも作家の個性や技術、作品 (や、そこに登場するキャラ) そのものが持つ魅力が支持されたり評価されるようになってきています。

 性に対する強い興味や関心が人間から消えることがない以上、こうしたせめぎ合いは今後も続いていくのでしょう。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2005年2月5日)
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