東南アジアにおける児童買春(売春)による外国人逮捕者の国籍とその数 (2007年)
2007 ASEAN CHILD-SEX TOURISM REVIEW
2007 ASEAN CHILD-SEX TOURISM REVIEW |
2007年8月に、2006年の東南アジア各国における外国籍旅行者数と児童買春(18歳未満の児童の買春) による外国人逮捕者の国籍と人数、現状解説の統計が、「2007 ASEAN CHILD-SEX TOURISM REVIEW」 というレポートにまとめられました。
中心となってレポートを作成したのは 「Child Wise」 というオーストラリアの児童人権団体で (サイトは こちら)、レポートは主に 「Regional Taskforce」 という資料と、他の統計資料とを編集した内容となっています。 pdf で配布された統計資料は こちら です。
2007年から2009年にかけて、アメリカの駐日大使シーファー氏や、中国人タレントのアグネス・チャン氏、スウェーデンのシルビア王妃はじめ、日本ユニセフ協会が 「日本が児童ポルノの中心地となっている」 として推進した 児童ポルノ法 の 単純所持禁止 の法改正や、同協会が推薦している 2008年公開のタイを舞台とした児童人身売買や渡航移植の問題点などを描いた日本映画 「闇の子供たち」(監督/ 阪本順治/ 原作/ 梁石日) について、もっとも時期的に近く、また他ならぬ児童人権団体側から出された客観的なデータとなるかと思われます。
東南アジア9ヶ国の統計を見てみると…
調査対象国は ASEAN (アセアン/ 東南アジア諸国連合/ Association of South-East Asian Nations) 加盟10ヶ国のうち、ブルネイを除いたインドネシア、フィリピン、タイ、マレーシア、シンガポール、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムの計9ヶ国。 うち、カンボジア、フィリピン、タイに関しては、実際の逮捕者数とその国籍を数字で具体的に列挙しています。
日本人が大勢旅行やビジネスで訪れている東南アジア諸国ですが、いったいどのくらい日本の児童売春 (買春) ツアーが酷くて、現地の児童人権侵害に深刻な影響を与えているのか、児童人権団体側の資料を使い具体的な数字で見てみようと思います。
なお 「2007 ASEAN CHILD-SEX TOURISM REVIEW」 は、各種データをそのまま引用しているため、英語表記による国号がバラバラだったり、一部データは国ではなく地域名で分類されているなど、数字データの表記に統一性がありません (例えば US、USA、America が混在している、あるいは中国だけでカウントしていたり、特別行政区の香港やマカオを中国とは別としていたりなど)。 こちらのページの日本語表記では、これらを統一しています。
カンボジア/ CAMBODIA 外国人旅行者数と児童買春逮捕者
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インドネシア/ INDONESIA 外国人旅行者数
国籍別旅行者数 | ||
1位 | シンガポール/ Singapore | 1,164,082 |
2位 | マレーシア/ Malaysia | 699,124 |
3位 | 日本/ Japan | 432,989 |
4位 | 韓国/ South Korea | 298,228 |
5位 | 台湾/ Taiwan | 226,611 |
6位 | オーストラリア/ Australia | 208,205 |
7位 | アメリカ/ USA | 129,152 |
8位 | イギリス/ United Kingdom | 137,655 |
9位 | ドイツ/ Germany | 106,916 |
10位 | オランダ/ Netherlands | 93,147 |
ラオス/ LAO PDR 外国人旅行者数
国籍別旅行者数 | ||
1位 | タイ/ Thailand | 675,845 |
2位 | ベトナム/ Vietnam | 190,442 |
3位 | 中国/ China | 50,317 |
4位 | アメリカ/ USA | 46,029 |
5位 | フランス/ France | 32,453 |
6位 | イギリス/ UK | 31,684 |
7位 | 日本/ Japan | 23,147 |
8位 | オーストラリア/ Australia | 22,021 |
9位 | ドイツ/ Germany | 18,004 |
10位 | カナダ/ Canada | 12,419 |
ミャンマー/ MYANMAR 外国人旅行者数
国籍別旅行者数 | ||
1位 | 中国/ China | 24,893 |
2位 | タイ/ Thailand | 30,400 |
3位 | 日本/ Japan | 18,945 |
4位 | 韓国/ Korea | 18,265 |
5位 | アメリカ/ America | 18,052 |
6位 | ドイツ/ Germany | 18,003 |
7位 | 台湾/ Taiwan | 15,827 |
8位 | フランス/ France | 15,498 |
9位 | シンガポール/ Singapore | 10,952 |
10位 | イタリア/ Italy | 10,774 |
フィリピン/ PHILIPPINES 外国人旅行者数と児童買春逮捕者
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タイ/ THAILAND 外国人旅行者数と児童買春逮捕者
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ベトナム/ VIETNAM 外国人旅行者数
国籍別旅行者数 | ||
1位 | 中国/ China | 516,286 |
2位 | 韓国/ South Korea | 421,741 |
3位 | アメリカ/ US | 385,654 |
4位 | 日本/ Japan | 383,896 |
5位 | 台湾/ Taiwan | 274,663 |
6位 | オーストラリア/ Australia | 172,519 |
7位 | カンボジア/ Cambodia | 154,956 |
8位 | フランス/ France | 132,304 |
9位 | タイ/ Thailand | 123,804 |
10位 | シンガポール/ Singapore | 104,947 |
マレーシア/ MALAYSIA 外国人旅行者数
国籍別旅行者数 | ||
1位 | シンガポール/ Singapore | 9,656,251 |
2位 | タイ/ Thailand | 1,891,921 |
3位 | インドネシア/ Indonesia | 1,217,024 |
4位 | ブルネイ/ Brunei | 784,446 |
5位 | 中国/ China | 439,294 |
6位 | 日本/ Japan | 354,213 |
7位 | インド/ India | 279,046 |
8位 | オーストラリア/ Australia | 277,215 |
9位 | イギリス/ United Kingdom | 252,035 |
10位 | フィリピン/ Philippines | 211,123 |
シンガポール/ SINGAPORE 外国人旅行者数
国籍別旅行者数 | ||
1位 | マレーシア/ Malaysia | 9,634,506 |
2位 | インドネシア/ Indonesia | 1,359,755 |
3位 | 中国/ China | 755,883 |
4位 | タイ/ Thailand | 650,559 |
5位 | 中国/ 香港/ Hong Kong | 573,330 |
6位 | オーストラリア/ Australia | 265,200 |
7位 | 台湾/ Taiwan | 166,179 |
8位 | アメリカ/ USA | 115,939 |
9位 | 日本/ Japan | 94,161 |
10位 | 中国/ マカオ/ Macau | 82,298 |
日本人の逮捕者は0人…? 一方アメリカ人は、逮捕者が公表された全ての国で存在
このデータ自体は、サンプル数があまりに少なくて、有意なデータとは云い難いものがあります。
さすがに年間の外国人逮捕者が1桁は少なすぎますし、仮に逮捕者がその数であっても、実際に違法行為を行っている外国人の数は、桁が2つ3つ上でしょう。
ただしこうした断片的なデータでも見えてくるものがあります。 それは日本人の逮捕者が、少なくともこのデータでは一人もいないこと。 一方で 「日本は児童人権侵害大国」 だと非難するアメリカ人は、逮捕者とその国籍を発表している全ての国で逮捕者が出ていることです。 また公表された3ヶ国のうちカンボジア、タイではアメリカ人旅行者より日本人旅行者の方が多く、フィリピンは元々アメリカの植民地だったこともありアメリカ人旅行者が日本人旅行者を上回っていますが、その数はごく近い差となっています。
日本はゼロなので、旅行者数あたりの逮捕者数を比べることもできませんが、実際の数字はこうなっています。
一体どんな統計や調査データを元に、「日本が児童人権侵害大国」 の結論になるのか
子供が安全に暮らせる国とは…? |
前述したとおり、このデータは数字が少なすぎて、このデータを持って 「日本人に児童買春する不届きものはいない」 などとは、とても云えない状態です。
また逮捕者数が多くても数人程度ですから、仮に10人くらいの日本人旅行者のグループが摘発されたら、いっぺんに前提条件がひっくり返る程度のものでしかありません。 ですので、このデータをことさらに取り上げて、日本は潔白だ、アメリカ人よ反省しろ、などというつもりは全くありません。
それより問題なのは、かねてから日本を児童ポルノ大国だ、児童人権侵害大国だと非難する人たち、とりわけ法規制まで推進している 日本ユニセフ協会などが、「どんな客観的データ、統計を根拠」 にして、そういう主張をしているのか、ますますわからなくなっている…という点でしょうか。
ネット 上の児童ポルノサイトの統計や、各国が発表している性犯罪の統計、児童買春の統計などを見ても、日本は先進国の中でも飛びぬけてそれらの犯罪行為が少ない (不謹慎な表現になりますが、ある意味で不健全なほど少ない) 国なのですが、なぜそれが、「日本は児童ポルノの中心地」「日本は児童人権侵害が日常化した異常な国」「だからどんどん懲役刑を課せられる規制法を作るべきだ」 だという結論になってしまうのでしょうか。
その根拠、裏づけとなる統計データがあるのなら、ぜひ教えていただきたいものです。 1998年の児童ポルノ法議論 (成立は翌1999年) や創作物規制の話がでるたび、筆者 はもちろん、規制に反対している大勢の人たちが必死で世界中から 「彼らの主張の基となるデータ」 を探していますが、「日本が児童ポルノ大国だ」 という彼らの主張を裏付けるデータは、この10年間でただの一度も見つかったことがありません。
アニメ や マンガ、ゲーム などの コンテンツ 産業の市場規模を、そのまま 「萌え=児童ポルノ」 と曲解して 「児童ポルノ市場が大きい異常な国」 と叩いているものや、いわゆる 「毎日新聞英語版 waiwai 変態報道記事」 のデタラメな数字を引用しているものは見つかりましたが、ひょっとしてあれで全部なのでしょうか?
今、日本ユニセフ協会やアメリカ人シーファー氏、中国人アグネス・チャン氏、スウェーデン人シルビア王妃が真っ先にするべきは、毎年数千から数万の子供たちが悲惨な被害者となっているアメリカやカナダ、中国、スウェーデンなどの失敗した醜いやり方を他人の国、日本に押し付け導入させることではなく、世界一子供が安全で幸せな生活を送っている国 「日本のやり方」 を、自分の恥ずかしい国、あるいは世界の多くの国に広めることではないでしょうか。