同人用語の基礎知識

特集 | 児童ポルノを巡る日本と世界

それって本当に、子供を守るための規制ですか?
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「子どもポルノ」 って、なに?

日本ユニセフ協会の 「なくそう!子どもポルノ」 署名サイト
日本ユニセフ協会の 「なくそ
う!子どもポルノ」 署名サイト

 日本ユニセフ協会の要請により、日本では 1998年に法案提出され、翌 1999年に可決成立した法律、児童買春・児童ポルノ処罰法 (児ポ法)。

 以来この法律は3年ごとの見直しが図られていますが、2007年から2008年にかけ、次の改正に向けた議論が活発になっているようです。 日本ユニセフ協会サイトでは 「なくそう! 子どもポルノ」 と題して署名活動を開始、大手ネット企業も運動に賛同しているようです。

 法律の文言や署名の呼びかけだけを見ると、とても分かりやすい法律、運動です。 児童が買春 (売春) したり、その様子を撮影した児童のポルノを売りさばくのをやめましょう…子どもポルノを根絶しましょうという法律、運動です。 「児童の人権」 のためなんですから、あって当たり前。 規制強化も当然に思えます。

正しいはずの法律なのに、こんなに反対が多いのはなぜかしら…? これに反対するような人間は犯罪者か、人権意識の低い人間だけだろう…と思わせるだけの 「インパクトのある名称」 です。

 それにも関わらず、市民から規制強化反対の声が改正議論のたびに巻き起こります。 マスコミを通じてその声が聞こえてくることは少なく、多くは インターネット などで、ごく普通の生活を送っている一般の人たちの 「草の根の声」 として聞こえてきます。

 この問題について詳しく事情を知らない人にとっては、「子供の人権を守ることに反対する人間が、何でこんなにたくさんいるんだろう?」 と、ちょっと不思議に思えるかも知れません。

「言葉」 に独自の意味を持たせて錯誤を狙う?

 この問題を難しくしているのは、そこで使われる 「言葉」 が、とても分かりにくいことに起因します。 例えば 「児童」。 「児童って、子供のことでしょ? どこが難しいの?」 と思われるかも知れませんが、では 「児童」 とはいったい 「何歳から何歳まで」 のことなのでしょうか。

 児童と子供と幼児と小児、青少年と未成年と若者とチャイルドとティーンエイジャーと十代と18歳未満、小学生と中学生と高校生と学童と生徒と学生。 これらはどこが違ってどこが同じなのか。 何となくはわかっても、具体的に理由までつけて即答できる方はとても少ないと思います。 まして法律・条例用語、政治・行政用語としての定義や正確な意味などは、知ってる人などほとんどいないでしょう。

 「児童ポルノ」 と 「子どもポルノ」 は同じなんでしょうか、それとも違うのでしょうか? (実は全く違います)。 同じ 「準児童ポルノ」 という名前ですが、欧米の 「準児童ポルノ」 と日本の 「準児童ポルノ」 とは同じでしょうか (これも全く違います)。 厳密な法律とはいえ、多少の運用上の弾力性を持たせるために定義をあいまいにする場合があっても良いとは思いますが、「数字」 ではっきりと明示できるはずの年齢ですら、はなはだ 「あいまい」 です。

「子ども」 と 「児童」「ポルノ」 と 「裸体」 って、同じもの?

 それでは 「ポルノ」 と云う言葉はどうでしょうか。 日本の場合には 猥褻 (わいせつ) という言葉もありますが、ポルノと猥褻の違いが分かる人がどのくらいいるでしょうか? 準ポルノや擬似ポルノ、バーチャルポルノ、サイバーポルノ、創作物ポルノの違いはどうでしょうか? さらに 「ポルノ」 と 有害図書 の違いはどうでしょうか? 児童ポルノ と 「児童向けポルノ」 はどうでしょうか。

 「児童の定義」 で迷っているところに、次は 「ポルノ」 の定義で迷ってしまいます。 しかも規制賛成派からは、彼らが拠り所としている海外基準からもかけ離れた 準児童ポルノ とか 擬似児童ポルノ子どもポルノみなしポルノ漫画児童ポルノ という似たような言葉、分かるような分からないような専門用語、言葉が次々と出てきます。

 さらにこれらを取り締まる法律が 「児ポ法」 だけでなく、例えば 青少年健全育成条例 だったり 児童福祉法 や 児童虐待防止法 だったり、青少年社会環境対策基本法 (青環法) だったり 青少年インターネット規制法 だったり 迷惑防止条例 だったりもします。 似たような言葉のオンパレードで、もう完全にお手上げです。 いきおい 「ムード」「言葉の 雰囲気」 だけで、内容や善悪を判断するようになってしまいます。

 要するに子供の人権を守るんだから細かい定義はどうでもいいだろ!
 反対してるやつは、どうせロリコンの犯罪者なんだろ!

 しかし仮に規制に反対しているのが犯罪者の側だったとしたら、その犯罪者の側が 「議論を混乱させて煙に巻く」 ために似たような言葉をたくさん使って誤魔化そうとするはずです。 ところが現実は逆で、規制賛成派がそれをやっているのです。 また ネット で反対の声をあげている無数の一般の人たち、あるいは一部の政治家や弁護士や大学教授、クリエーターらの全てが犯罪者とも思えません。

 どうして 「子供の人権のため」 に規制を進めようとする 「真面目で正しい人たち」 が、専門家ではない一般人が混乱するような紛らわしい言葉、似たような言葉を新しく作り出しては次々と持ち出して話を複雑化させて 「ムードで押し切ろう」 とするのでしょうか?

 なぜ正々堂々と、解りやすい言葉で、きちんと情報を開示しながら議論ができないのでしょうか?

誰も反対できない、「素晴らしい名称」 の裏に潜むもの

 「児童ポルノ禁止法」 という言葉は、とても強烈です。 反対する人間に対して 「じゃあ お前は児童ポルノに賛成なのか」 と反論したくなる名前です。 しかし法律などというものは、だいたいこういう 「反論しにくい名称」 になるものなんですね。

 例えば 「社会の安全、治安 を維持するための法律です」 と云われて反論するのは難しいですが、戦前は 「治安維持法」 という法律で、権力者の側が 「こいつらは反社会的だ」 とレッテルを貼ったら誰でも逮捕・拘束できる 「便利な法律」 として国民の自由を奪いました。

 当時は治安も今よりはずっと悪く、戦前とは云え導入には理由があった、それほど無茶な運用でもなかったという話もありますが、「変なことを喋ったり本に書いたりしたら、特高警察がやってきて思想犯・非国民として逮捕されてしまうかも」 という目に見えない圧力、息苦しさは 自主規制 という言論の萎縮を招いたであろう事は、想像に難くありません。 現在 「治安維持法」 に良い印象を持っている日本人はほとんどいないでしょうが、言葉や大義名分だけを見ると、とても魅力的な法律です。 また歴史的事実として、治安維持法の出発点が、「風紀を乱す不良わいせつ出版物」「エログロナンセンス」 の規制からというのは押さえておくべきでしょう。

 「児童ポルノ規制に反対なのか賛成なのか」 と云われても、「児童」 も 「ポルノ」 も定義があいまいでは、いったい何に賛成し、あるいは反対しているのか、当事者ですらわからなくなってしまいます。 「定義があいまいだとしても、社会通念上、あたりまえの認識に落ち着くだろ」 と云われても、それを保障するものはありません。 そもそも日本ユニセフ協会やその協力大使、アグネス・チャン氏は、「児童ポルノ」 ではなく、「子どもポルノの根絶」 を目指しています。

 本当に恐ろしいもの、本当に怖いものは、あからさまな恐怖ではなく、しばしば善意の微笑みを浮かべながら近づいてくるものですが、彼らの善意が後に権力者によって恣意的に利用される可能性はないのか、そもそもその 「善意」 とやらは本物なのか。 誰も保証などしてくれません。

 ここでは、この難しい、紛らわしい言葉たちを、ちょっと面倒かも知れませんが日本と世界の先進国との違いを含めて、大雑把に見比べ、また詳しく見てみましょう。 その上で、この規制や運動を、それぞれが自分なりに理解してみることが大切だと思います。

 まずは 「ポルノ」 の定義からです。

ポルノ (Porno/ Pornography)

 欧米の 「ポルノ」 の場合、実在の人間による男女もしくは同性が、性的行為 (セックス、アナルセックス、オーラルセックスなど) を行い、それを撮影・記録したもので、原則的に無修正です。 ちなみに語源はギリシア語の 「ポルネイア」 で、日本語に訳すと 「反社会的な不品行」「淫行」「姦淫」「情欲によって性器を弄ぶこと」 といった意味になります。 結婚して妻や夫とベッドを共にすることを淫行とは呼びませんから、この場合は未婚もしくは配偶者以外との性交渉と思って良いでしょう。 キリスト教の世界では、オナニー を含める場合もあります。

 ところで日本では、無修正 (性器や性器の結合部分が見えるもの) は刑法により 「わいせつ物」 とされ、大人だろうが児童だろうが (あるいは だろうが) そもそも元から一切禁止 されています。 また性的行為 (セックス) そのものを実際に行っている作品も、原則としてNGです。

 もちろん 「生本番」 なんてのをうたっているアダルトビデオなどもありますが、正規の流通ルートを通った作品は自主規制団体である 「ビデ倫」 などによりモザイクなどの 「修正」 がされているので、本当に結合しているのかどうかは、建前上確認するすべがありません。 いわゆる 「裏ビデオ」 とか、ネットの 「無修正動画」 などは存在しますが、これらはあくまで 「違法」 であって、欧米のように合法的に存在が認められているわけではありません。

 ちなみに違法であるということは 「存在が認められないもの」 ということですので、例えば欧米のような ゾーニング (未成年者への提供の禁止) ができないという問題があります。 「ない」 のが建前なので、「ある」 のが前提の レイティング や販売規制ができないわけですね。

 ただし本当にセックスしたり無修正であっても、例えばカップルや夫婦などが、自らの性行為やパートナーを趣味としてビデオやカメラで撮影しても、それを外部に向けて公表したり商売として販売するなどしない限り、違法ではありません。 自分の部屋で自分や配偶者の性器をこっそりとデジカメで撮影して 画像 を保存していても、逮捕はされません。

準ポルノ・擬似ポルノ

 実在の人間による、ポルノに準じた性的表現がされたもの。 例えばセックスをしている演技や、フェラチオなどのオーラルセックス、あるいはそれらの演技、およびそれらの行為を撮影しモザイクや墨塗りなどで当該個所が見えなくなっているような作品などです。

 日本で販売までが合法とされているのは、ここからになります。 つまり日本は、欧米基準では 「ポルノ合法」 ではなく、「準ポルノ合法」「擬似ポルノ合法」 の国ということになります。 逆に云うと、これら準ポルノ・擬似ポルノが日本における 「ポルノ」 であって、本当にセックスをして無修正でそれを記録したようなものは、「ポルノ」 ではなく、「違法ポルノ」 と云うことになります。 つまりこの段階で、欧米がいう 「ポルノ」 と日本でいう 「ポルノ」 とが別物になっていて、同じ言葉でも意味が大きく食い違う訳です。

バーチャルポルノ・仮想ポルノ

 CG (コンピュータグラフィックス) による 「本物と見分けのつかないポルノ」 のことです。 また稀に絵を含む場合もありますが (イギリスなど)、その場合は実在の人間によるポルノ画像、動画を加工したものをそう呼ぶ場合が大半です。

 これは写真などをほんのわずかだけ、Photoshop などのグラフィックツールで加工して、「これは 「絵」 なんだから規制の範囲外だ」 とポルノ業者などが主張するのを防ぐためのもので、全てを紙の上で、あるいはパソコンの中の バーチャル (仮想) な場所で、空想によってデッサンから描き起こしたような日本風の マンガアニメ などの イラスト やゲーム キャラ などは含みません。

 大半のケースが電子データ化されて配布され、「ネットに漂う」 という意味を含め、「サイバーポルノ」 と呼ぶ場合もあります。

創作ポルノ

 実在の人間の性的行為を一切必要としない 「創作」 によるポルノのことで、マンガやイラスト、小説のセックス表現、アニメやゲームなどの動画、演技による音声データなどがこれに当たります。 これを制限している先進国はカナダ、スウェーデン、アメリカとなっていますが、アメリカでは表現の自由との兼ね合いでバーチャルポルノ (実物と見分けがつかないCGなどでのポルノ) の規制に違憲判決 (2002年4月16日) がでており、またその後再び似たような創作ポルノに対する規制が始まりましたが、憲法解釈を巡って係争中となっています (その後、違憲判決が再びでました)。

 スウェーデンでは刑法で 「児童ポルノ写真」 と取り締まり対象を明確にしています。 これをどう準児童ポルノ、バーチャルポルノを飛び越えて創作ポルノ規制として運用しているのか、詳細は不明です。 事件報道や裁判の内容から、恐らくは、「絵であってもモデルとなる被害者がいた場合は実写と同じ」「実写と見分けがつかないほど精巧に描かれた絵は実写に準じる」 という理屈になっているのだと思いますが、完全に頭の中で考えた創作ポルノと、模写や創作を装ったものとの区別がついていない印象です (日本製のアダルトコミック本や絵の所持で逮捕され有罪判決を受けた人がいましたが、2012年6月15日に最高裁で逆転無罪となっています)。

 なおこうした創作物に登場する 「キャラクター」 のことを、とくに 非実在青少年 と呼ぶ場合もあります。 2009年から2010年にかけ問題となっている東京都の 「青少年の健全な育成に関する条例改正案」 で登場した造語で、服装や所持品、舞台背景や容姿などから視覚的・聴覚的に 「未成年を想起」 させる創作上の架空のキャラクターを条例で新しく規制するための 「概念」 として登場しました。

 あまりのトンデモ概念だと強く批判され、この言葉は条例案から削除されましたが、その後 刑罰法規に触れる という表現で、創作物の性行為描写の規制を行おうとしています。

ヌード (Nude)・エロチカ (Erotica)

 「ヌード」 や 「エロチカ」 とは、実在の人間による性的行為を一切必要としない、裸体や半裸の写真、動画などのことです。 しばしば 「芸術かわいせつか」 などのテーマになる作品ですね。 半裸の場合、単に全裸でないというだけで、乳首や陰毛、性器などは 露出 している場合を指し、ポルノ解禁である欧米のほとんどの国で合法です。

 日本の場合、しばらく前までは乳首は合法、陰毛や性器はわいせつ物として、ポルノとしても違法とされていました。 これらは明文化された法律で個別に禁止されていたわけではなく、「いたずらに性欲を興奮または刺激せしめ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する」 というあいまいな基準を法律で設け、後はその時々の社会情勢や個別の事案ごとに裁判所が判断し、判例を積み重ねることでその基準を明確化してきました。

 しばらく前までは陰毛 (アンダーヘア) は禁止でしたが、現在は合法とされているようです。 性器の直接露出は医学用資料や一部教材などを除き、原則として禁止です。 なお 「ネイキッド」(Naked) と呼ぶ場合もあります。

という訳で、成年のポルノであっても、そもそも日本は違法なんですよね

 上記のポルノの大まかな定義を見ると、そもそも児童とか成年とか以前に、日本ではポルノ (性行為を撮影した無修正の動画や画像) そのものがすでに禁止されていると云うのがわかると思います。 現在児童ポルノ法で摘発される事案のおよそ 2/3 が買春 (援助交際/ 売春) によるもの、残りの 1/3 がそれらを撮影したと思われる動画や画像 (いわゆる援交モノとか呼ばれるものですね) の販売や販売目的の所持ですが、これらはすでに刑法第 175条(猥褻物頒布等) で禁止されています。

 それでは次に、児童や子供、Child などの言葉を調べてみましょう。

児童と準児童と子どもと未成年

 欧米の場合、「児童」(Child) とは一般的に 12歳程度までとされる場合が多いようです。 13歳から19歳までは 「ティーン」(Teen/ Teenager) と呼ばれます (Child 以下は Kid などとも)。 これはひとつには、男児の精巣の発育、女児の初潮を含めた第2次性徴 (陰毛の出現や乳房の発育) の発現が個人差はあるものの、10歳から14歳程度に集中していることと無縁ではありません。 やみくもに 12歳としている訳ではなく、生物学的な根拠があるわけですね。

 これは日本でも同じで、12歳 (小学生) 程度までを児童と呼び、それ以上は青少年とか少女、未成年などと呼んだりもします。 ただし8歳を少女と呼んでも間違いではありませんし、16歳であっても児童と呼ぶ場合もあります。 一方で、日本では女性は 16歳で結婚ができますので、婚姻届を出した時点で妻となった女性は、たとえ16歳・17歳であっても 「成年擬制」(みなし成人) となります。

 ところで欧米で児童ポルノ (Child Porno) と呼ぶ場合は、多くが 12歳程度までの年齢の子供を指す言葉なのに対し (実際に 12歳程度までの被害が集中しています (イギリスの団体の調査によると91%が12歳までの児童だったそうです)、日本の場合は被害が集中しているのが16歳程度以上 (女子高生などの買春が大半を占める) ということもあり、単に 「児童」「Child」 といった場合に得られる 「イメージ」 が、それぞれの国によってだいぶ違います。 なお日本におけるいわゆる幼児のポルノ被害者は全体のおよそ2%、小学生 (12歳程度まで) を含めても 11.1%程度と、それが90%を超える欧米とは 「事情が根本的に違う」 というのは強く認識すべきです。

 欧米人のいう 「児童ポルノ (Child Porno)」 と、日本で作られている児童ポルノとは、似て非なるものと考えるべきでしょう。 ただし日本人はおしなべて 「童顔」 なので、日本人の17歳女性のポルノが、欧米で小学生や中学生だと認識されているケースはかなり濃厚です。 ごく極端な例では、イギリスで、日本の20台後半 (ほぼ30歳) のグラビアアイドルの水着写真が児童ポルノとして挙げられたケースがあります。

 ところで欧米で 12歳までの児童の被害が極端に多いのは、個人差はあるにせよ欧米人の多くが第2次性徴を迎えるとほとんど成年と区別のつかない容姿になる点が理由として挙げられています。 児童虐待を行う性癖を持つ人にとって、見た目が大人とほとんど同じ姿になってしまっては意味がないのでしょう。 実際にアメリカ精神医学会で定義している精神疾患の分類と診断のマニュアル・手引書である 「DSM-IV」 では、小児性愛 (ペドフィリア) の判断基準として、13歳以下の複数の児童に性的興奮を覚えるものと規定しています。

 一方日本の場合は、元々が人種・民族的に童顔であったり女性の場合に乳房の発達が控えめであることが大きいのか、そこまでの低年齢を望む性癖を持つ人間が少ないからなのか、12歳以下の児童が性的被害に遭う確率や実数は、前述の通り欧米に比べはるかに低いのが現実です。

 また欧米では移民が、発展途上国では貧困などの問題があり、児童の人身売買や誘拐が頻発しているのは注目すべきポイントでしょう。 アメリカでは毎年数千人から数万人の児童が行方不明となっています (移民や不法滞在などで実数の把握が困難となっていますが、2000年代は年間2万3千人が行方不明とも)。 このあたりは、児童がたった1人でも行方不明になったら、それこそテレビや新聞などマスコミが大騒ぎする日本とは、根本的に違うといって良いと思います。

記号としての児童、未成年

 日本の場合、児童や未成年のイメージを喚起し象徴するような特有の 「記号」 があります。 例えば セーラー服 だったり ランドセル だったり、あるいは スクール水着 などがすぐに思いつきます。 欧米ではこれらの記号はあるのでしょうか?

 日本のように学生服が一般的でないこともあり、日本人から見るとそうした記号は存在しないように感じられますが、実際にはチアリーディング (日本でいう チアガール) のコスチュームなどが、それに相当するようです。 イギリスなどではタータンチェックのスカートにネクタイに白ブラウスとか、あるいはアニメチックなキャラクターのプリントされたTシャツなどが、ポルノにおける 「未成年の記号」 として使われているようです。

 ところで欧米ではこれらをポルノの衣装として使うことは禁止されているのでしょうか? 検索サイトで Teen Porno などでイメージ検索したら、いくらでも出てきます。 規制はされていないんですね。 日本ではどうなっているかと云うと、例えばアダルトビデオのパッケージにセーラー服を使うことは、ビデ倫の自主規制によって実質禁止となっていますし、アダルトゲームなどでも自主規制によって、ランドセルや幼稚園服などは現在は禁止となっています。

 実際はインディーズや自主流通モノと呼ばれるビデオも多数あり、それらにはセーラー服などを使ったものが多く存在しますが (ただしピンク色のセーラー服など、現実にはありえない色のものを使った自主規制も多い)、演じている女優は全て 18歳以上です。 稀に未成年の作品が出回る場合もありますが、その場合は当然、撮影者や監督、制作プロ、時には年齢を偽ってモデルとなった女性も含めて取り締まりの対象となります。

全てがあいまいの中で、しかし取り締まりと罰則だけは明文化

 こうして、関連するキーワードをひとつずつ詳しく見てみると、少なくとも日本における児童ポルノの状況と、海外、先進国や途上国を問わず、他国との状況があまりに違っていることに気がつかれると思います。 一例として、それぞれの特徴となるような 「児童ポルノ」 のモデルケースを考えてみましょう。

日本における児童ポルノのモデルケース 欧米など海外における Child Porno のモデルケース

15歳から17歳程度の女子学生
(高校生、もしくは高校を中退したフリーター)。

親が買い与えた携帯電話などを使い、本人が 「出会い系サイト」「出会い系喫茶」 などで価格交渉や条件確認など 「客」 を物色。 ラブホテルなどで売春 (買春) を行う。

画像や動画 (児童ポルノ) などは、その際に対価を得て同意、もしくは不同意のまま撮影されたもの。

8歳から12歳程度の、人身売買や誘拐などによって拉致監禁された未就学児童。

貧困などにより親の手によって人身売買されたり、あるいは犯罪組織によって誘拐された児童が、不同意、もしくは 「何をされているのかすら分からないまま」 に売春 (買春) をさせられたり、性的暴行 (レイプ) などを加えられる。

画像や動画 (Child Porno) などは、その際に不同意、もしくは何も分からないままに撮影されたもの。

 調査方法や条件などが異なる統計を比べたものなので、厳密なモデルケース同士の比較にはなりませんが、欧米など海外では 「児童の人権侵害」、日本では昔から、「青少年の非行」 としてくくられてきた内容になっていると思います。

 もちろん青少年の非行は、本人ではなく親や周りの大人などの保護者の教育や躾の怠惰、自治体やマスコミを含めた環境の不備から生じるケースが多く、その意味では本人がお小遣い稼ぎとして主体的に売春をしていると思っていても、実際はそうした環境の犠牲者、被害者という面が強く存在します。 しかし貧困の中、犯罪者により組織的に人身売買や誘拐をされ被害に遭う (そしてしばしば命を落とす) 欧米や途上国の児童人権被害と、本人が出会い系サイトや出会い系喫茶を使う日本の児童人権被害とを、同列に扱うこともまた非現実的だと云わざるを得ません。

 どちらも深刻な児童人権侵害ですが、おのずとその解決方法は違うものになるはずです。 「欧米はこういう対策をしているから、日本もすべき」 が、どれほどナンセンスなのか、各国の性犯罪発生件数、治安の状況、児童の性的被害の実数を考えれば論を待たないでしょう。

性犯罪統計から見えてくるもの

1999年〜2000年の人口10万人あたりの強姦認知件数
カナダ/ Canada78.08件
アメリカ/ The United States32.05件
イギリス/ Britain16.23件
フランス/ France14.36件
ドイツ/ Germany9.12件
ロシア/ Russia4.78件
イタリア/ Italy4.05件
日本/ Japan1.78件
参考: オーストラリア/ Australia81.41件
参考: スウェーデン/ Sweden18.23件
参考: 韓国/ South Korea12.98件
参考: オランダ/ The Netherlands10.36件
 もうひとつ、日本が他国と比べて大きく異なる点があります。 それは 「女性や児童に対する性犯罪が飛びぬけて少ないこと」 です。

 これらはほとんどの国際統計でそのような数字が出ていますし、海外で生活したことのある人なら、小学生が暗くなってから一人で塾通いできる国が世界にいくつあるか思い浮かべると、実感としても得られる認識だと思います。

 なお中東諸国の女性の性犯罪もありえないほど少ないのですが、これはイスラムの国では、たとえレイプであっても女性が配偶者以外と性行為に及ぶと鞭打ちを含む苛烈な罰則があることと無縁ではありません。

 外国は外国、日本は日本です。 状況が全く違うのに、何でもかんでも欧米基準に合わせるのが正しいとは思えません。 これが経済の問題なら、公平な競争のためのルール、グローバルスタンダードの必要があるかも知れませんが、児童ポルノの問題は、国のメンツなどではなく、子供の人権の話 です。 現実の児童の人権救済と、それらの犯罪を未然に防ぐことこそ重要で、外国の施策が効果を挙げているならともかく、日本に比べ遥かに劣悪な状況となっているものを、わざわざ取り入れる必要はありません。

 なぜ規制を強化しようと唱える活動家や団体は、世界でも飛びぬけて安全な日本のやり方を、日本より遥かに状況の悪い国々に広め、日本と同じように安全な国にしようとしないのでしょうか? 子供の安全や人権を思えば、本来やるべきは、日本を外国のようにすることではなく、外国を日本のようにすることでしょう。

 主張を聞けば必ず出てくるのは 「外国はこうやってる」「あの国はこうしてる」「海外の水準に足並みを揃えないと、いろいろとまずい」。 外国の真似をするのが目的なのでしょうか? それとも、悲惨な性的暴行、虐待を受ける子供たちを救うのが目的なのでしょうか? 目的と手段が逆転しているように感じられるのは杞憂でしょうか。

「先進国の多くが」 という嘘、「児童ポルノ大国 日本」 という嘘、「日本の野放し政策のせいで児童犯罪が世界中で起こっている」 という嘘…

国連による児童の権利条約の状況
児童を18歳未満として規定。

この条約は児童の性的人権侵害だけを訴え、それをなくすためのものではなく、むしろ次の2つを最優先とし、もっぱら大きく取りあげて決めたものです。

■ 児童を兵士として戦地に送ったり徴兵すること
 (武力紛争における児童の関与に関する
  児童の権利条約選択議定書)

■ 児童の奴隷的人身売買を禁じること
 (児童の売買等に関する
  児童の権利条約選択議定書)

児童を戦争に使うな、人身売買するな、という、直接児童の 「人命」 に関わるこの2つを主題に据える条約となっています。 従って内戦が続き少年兵が銃を持って殺しあっているソマリアなどでは批准・加入がされていません。 ちなみにアフリカを中心に、年間 20万人以上の子供が戦争で死亡しているとされています。

なお、児童ポルノの所持が犯罪にならない国は、世界 138ヶ国 にのぼります。 つまり、日本ユニセフ協会などが主張する、「児童の権利条約は世界中が批准締結している」=「世界中で子どもポルノは禁じられている」 は、聞く人の錯誤を狙った悪質なプロパガンダといえます。

この条約に参加している先進国の中には、オランダやドイツ、スイスのように 16歳で売春が合法の国すらあります。 またイスラムの国では、初潮さえ迎えれば結婚も可能で、14歳15歳の妻も少なくありません。

また児童の売春については、極度の貧困などにより、「それでしか生きる糧を得る方法のない場合」 には、人命を第一に考え、やむを得ない緊急避難として一定の理解を示す内容となっています。

この趣旨にのっとり、例えばHIV感染を防ぐために児童にコンドームを配布したり、清潔な環境での専門医による堕胎を支援している団体もあります。 これらの施策は見方によっては児童買春を黙認し奨励しかねない内容とも云えますが、「児童の人権」 の以前に 「児童の生命」 を守る必要があり、理想と現実とは違うというのが 現場 の判断としてあるのでしょう。

日本では児童の売春など問題外の行為ですが、世界には厳しい現実があるのですね。 豊かな先進国の物差しで作った価値観や倫理観を、貧しい国や貧困にあえぐ人たちに一方的に押し付けるだけでは単なる自己満足に終わり、何も解決しないでしょう。

当然ですが、日本はこの条約への署名・批准・加入を既に済ませています。
参加国 194ヶ国 / 選択議定書締結国 126ヶ国
アメリカは1995年2月16日に署名はしているが、批准・加入はしていない。

 規制推進派の主張は、どれも明示的で正確な統計資料の裏づけなどが一切なく、運動もムード優先です。

 例えば 「子どもポルノ」 という言葉。 2008年の署名募集活動では、「子どもポルノ根絶」 をうたっていますが、その理由に 「先進国の多くが」 という嘘、「児童ポルノ大国 日本」 という嘘、「日本の野放し政策のせいで児童犯罪が世界中で起こっている」 という嘘を、繰り返し述べています。

 アニメやマンガ、ゲームを楽しむことで子供への性犯罪が起こるというのなら、世界中でもっともアニメやマンガ、ゲームが溢れている日本が、なぜこれほどまでに児童性犯罪が少ない安全な国なのでしょうか。

 なぜそれらを禁じている国が、世界の先進国の中でも飛びぬけて性犯罪率が高く、毎年数千から数万もの児童が行方不明になるような状況になっているんでしょうか。

 そもそも欧米先進国では児童虐待の7割が父親や義父、兄弟などの身内が加害者となっていますが、単純所持禁止などはこれを防ぐ方法になるのでしょうか?

 子供の人権や子供の幸せは、何らかの政治的運動や主張を ゴリ押し するための 「道具」 ではありません。

 2008年4月7日、NHK教育の 「視点・論点」 で、アグネス・チャン氏が 「児童ポルノの根絶を」 のテーマで出演。 その際に 「毎年 100万人の子供たちが被害にあっている」 と述べていましたが、これはどこの調査で、どこの国での 100万人なのでしょうか?

 少なくとも日本ではありませんから、世界中での数でしょうか。 日本ユニセフ協会の公式サイトでは、世界中で年間 200万人が被害にあっていると書いてありますが、100万と 200万、どちらが本当の話なのでしょうか? それとも両方とも 「嘘」 なのでしょうか?

 「嘘」「大げさ」「紛らわしい」 は、日本では誇大広告と相場が決まっていますが、なぜきちんと裏づけのある具体的な数字を挙げて、「こうするべきだ」 と主張できないのでしょうか?

 規制推進派の主張はいつも、「外国人の話」 を通して、聞く人の錯誤を狙うようなあいまいな表現のものばかりです。

単純所持禁止となったら、恣意的取締り、冤罪、それ以前にどれほどの文化破壊があるか想像もつきません

 日本ユニセフ協会などが主張している中でも、もっとも悪質な印象操作は、「G8で単純所持を禁じていない国は日本とロシアだけ」 というのがあります。 なるほど確かにロシアと日本では 単純所持 の禁止はされていませんが、それでは実際に単純所持されているそのほかの国では、どのようなものを、そう規定しているんでしょうか。

 イギリスやドイツ、イタリアの場合、単純所持禁止となっているものは、現実の児童が性的虐待にあっている記録としての画像や動画で、13歳以下の子供 のものだけです。 すなわち 「小学生の人権侵害ポルノ」 となります。 フランスは14歳以下です。 日本の場合、前述した通り 18歳以下が児童ポルノ扱いですので、日本と同じ レベル の規制は、カナダ、アメリカだけとなります。 そのカナダやアメリカが、世界最大の児童ポルノ大国、強姦レイプ大国であるのは、先に見た通りです。

 そもそもの条件や基準が全く違うのに、「ロシアと日本だけ」 という主張は正しいのでしょうか? しかも日本ユニセフ協会が求めているのは、児童ポルノの規制 ではなく、あくまでアニメやマンガ、ゲーム、小説、音声などを含む 子どもポルノの根絶 なのです。

 このような状況で、万が一、子どもポルノの単純所持禁止など決められたら、日本は野蛮な中世の魔女狩り、焚書坑儒、文字の獄の時代に逆戻りです。 そのようなばかげた法律を通すことを許すわけには行きません (なお全国で唯一、条例による単純所持を禁止している自治体に奈良県がありますが、規制されているのは 13歳未満 (小児) の実写画像、動画だけです)。

 なお2008年暮れから2009年にかけ、「G7で禁止してないのは日本だけ」 という主張も出始めました。 「G8で規制してないのは日本とロシアだけ」 よりも、「G7で規制してないのは日本だけ」 の方が、「日本が変なのだ」 と主張しやすいからでしょうか。

書物を焼く者は思想を焼き、いずれは人を焼くものです

 さすがに社会情勢が少々かわったくらいで、手塚治虫のマンガを 「単純所持禁止」 にするような事態にはならないのでしょうけど、そんな手塚マンガだって、過去には 「ピストルや刀がでてくる」「人が死ぬ暴力的シーンがある」「子供への悪影響が考えられる」 と批判され、有害図書と呼ばれて学校の校庭で燃やされたことがあります。

 永井豪のハレンチ学園や、「けっこう仮面」 なんかは、連載当時も PTA だけでなく文部省 (当時) からも猛烈な圧力を受け、物議をかもしていました。 これらの作品は、むしろ現在の目から見ると、「よくこんな作品が少年ジャンプなどで連載できていたな」 と、当時の表現規制の大らかさに驚いてしまう部分もあります。 手塚の 「奇子」 や 「MW」 などはまだ再評価の途上でしょう。

子供達に、私たちと同じ、豊かな文化、マンガやアニメ、ゲーム、そして健全な写真集を残すために

文化を守るために  もしこれらの作品が現在は微妙なラインだとしたら、万が一ポルノマンガが禁止となった場合、普通に単純所持禁止になる可能性もないとは云い切れません。

 仮に今回の法律でセーフでも、さらに次の見直し時期にどうなるか解りませんし、法律が変わる変わらないに関わらず、版元や流通が自主規制してしまう可能性もあります (実はこの自主規制が一番厄介です)。

 ビッグネームばかりで恐縮ですが、手塚治虫のマンガや永井豪のマンガは、北斎や歌麿の浮世絵のように、100年 200年、あるいはもっともっと長く残って行くもの、残してゆくべきものなんだと思います。

 そしてそれらは、100年後や200年後の日本人、というより人類が受け取る宝物です。 いま、私たちが北斎や歌麿の浮世絵を楽しめるのは、250年前の当時の町民のみならず、200年前、100年前、あるいは50年前の人々が、時の政府の弾圧や戦火、災害から、世代を超えて必死に残してくれたからです。

 こうした文化をたかだか1年や2年で猫の目のようにくるくる変わる総理大臣や政府閣僚、たかが数十年務めるだけの国会議員や役人、怪しげな人権団体、そんな人たちが簡単に消したり燃やしたりしてよいものではないんだと、筆者は心の底から思います。

 単純所持禁止とは、「完全に破棄すること」「この世から蒸発させ消し去ること」 と同義です。 一度決まってしまうと、それ以前の時代がリセットされてしまうのです。 21世紀の日本で、ナチスの退廃芸術狩りのような野蛮な法律を決して通してはなりません。 これは私たちの世代だけの話ではなく、子供や孫、未来の世代に私たちや、私たちの先輩が積み上げてくれた大切な文化を伝えるか、伝えないかの問題なのです。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2008年3月15日)
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