同人用語の基礎知識

クラスタ/ Cluster

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同人ファンなら同人クラスタ…わかるような分からないような 「クラスタ」

 「クラスタ」(クラスター) とは、ネット の世界での集まりとかグループ、集団といった意味の言葉です。 転じて自身がその集まりやグループに所属している、あるいは特定の集まりに属してはいないが、同じ ジャンル や似たような カテゴリ の人間だ、同じ人種だといった意味でも使われます。 例えば おたく な人なら 「おたくクラスタ」(オタクラスタ)、同人 が好きだったり同人の周辺で活動や生活をしている人なら、「私は同人クラスタだ」 などとなります。 「界隈 (かいわい)」 も近い言葉でしょう。

 本来のクラスタ (Cluster) とは、英語で 「房」 を意味し、例えばバナナの房のように、同じものがいくつか束になっている状態を指します。 この言葉はその後、パソコンの主にハードウェアの世界でもそのまま使われるようになり、記録媒体 (ハードディスクなどディスク上のもの) などの記録単位でも使われるように。

 またハッシュ機能によるデータの同一性照合が行われる 「Winny」(ウィニー) などの ファイル共有ソフト で使われたり、経済や産業の世界では、同じような産業をグループ分けする時にも、「クラスタ」 などが使われる場合があります。

Twitter などで広まった 「クラスタ」

Twitter などで広まった 「クラスタ」
Twitter などで広まった 「クラスタ」

 パソコン通信 の時代から、こうしたパソコン (PC) に関係が深い言葉が、しばしば人間の行動パターンなどに当てはめられ、そのままある種の ネットスラング として使われてきました。 有名なものでは、リードオンリーメモリー (ROM) を転用した ROM (リードオンリーメンバー) などがあります。

 クラスタも、こうした傾向から生じた言葉として、パソコン通信の時代にもそれなりに使われるケースもあったのですが、それがある種の流行語とも呼べるほど広まったのは、ぐっと時代を下って2000年代後半からでした。

 その大きな発端としては、2009年頃から日本でも大きな盛り上がりを見せているミニブログ、Twitter の存在があります。 現Twitter社 となる Obvious社が Twitter のサービスを開始したのは2006年7月ですが、興味の対象が似たユーザーや、同じものが好きなユーザーらが集まる、その集まりをクラスタと呼ぶようになり、そこから転じて、「自分が好きなもの」「興味があるもの」 に接尾して、「私はこれが好きです、興味があります」 と表現する使い方が広まることになりました。

 フォーラムやシグでユーザーが分けられていたパソ通時代や、話題ごとに板や スレッド がある程度厳密に分けられている 掲示板 などと違い、雑多な人たちが雑多な話題を同じ時間軸で行う Twitter には、ハッシュタグ (#タグ) などによりこうした区分を明確化、グルーピングする役割と言葉が、それ以前のネットの世界以上に必要だったのでしょう。

 今どこにいるか、何をしているかをあらわす ○○なう や、リア充 に対する 自虐表現 としての 爆発しろ! などと共に、2000年代後半からの使い方としては、Twitter で生まれたネットスラングと呼んでしまって差し支えないでしょう。

○○系…ニュアンスの近い言葉たち

 前述した 「ジャンル」 や 「界隈」 の他、非常に ニュアンス の近い言葉として 1990年代に流行った 「○○系」(渋谷系とかオタク系など) が、使い方といい指し示す意味範囲といい、共通点の多い言い回しでしょうか。 自分が好きなものを 「○○クラスタです」 と言い表す一方、相手の趣味や興味のあるものを尋ねるときにも、「おたく、○○クラスタ?」 なんて使えるところが、とても便利な印象です。

 なお何かが好きな人を ファン、そうでない人を アンチ を接頭してアンチファンなどと呼びますが、これと同じように、特定の何かに強い拒否反応を示す人を、アンチクラスタ、反クラスタなどと呼ぶ場合もあります。 自分の嫌いな物を指す言葉としても使われ、「○○アンチクラスタ」 といえば、「私は○○が嫌いです」 との意味になります。

 このあたりは、信者) などとも使い方は同じです。

2020年の新型コロナウイルス感染症に伴う報道で 「クラスター」

「新型コロナウイルス クラスター対策班の設置について」厚生労働省 (2020年2月25日)
「新型コロナウイルス クラスター対策班の
設置について」 厚生労働省 (2020年2月25日)

 2019年末に中国武漢で初確認された後、2020年初め頃からは世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)。 日本でも感染拡大阻止が急務とされ、メディアなども連日報道を繰り返すこととなりました。 その際、「クラスター」 という言葉が専門用語として頻繁に使われることに。

 意味としては、「患者クラスター (集団) の発生」「集団感染」 といった意味で、同じ場所や交差する同じ人的ネットワークで大量の感染者が出てしまうことを指します。 日本では、2020年2月25日にクラスター対策班を厚生労働省が設置。 クラスターを重点的に調べて潰していく方法を中心に、感染拡大の阻止を行う施策を行っていました。

 結果、「今日〇〇県で新たなクラスターが発生しました」 といった報道が大手メディアを通じて連日流れることとなり、他の新型コロナウイルス感染症がらみの言葉とともに、クラスタも広く使われるようになったのでした。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2010年7月26日)
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