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ルーズソックス/ ルーソ

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10年近く女子中高生の足元を席巻したルーズソックス

やっぱルーズっしょ (有明いく子)
やっぱルーズっしょ (有明いく子

 「ルーズソックス」(Loose Socks) とは、長めで大きく、また厚ぼったい生地で作られたソックスを膝下まででだぶつかせて (フィットしない) 履くための 靴下、およびそういう履きこなしをするためのソックス類全般を指し示す言葉です。

 略語として 「ルーソ」「ルーズ」 などとも呼ばれ、1990年代初めから中ごろにかけて発生し、全国の女子中高生の間で大流行。 2000年代頭頃まで、女子中高生 (とりわけ女子高生) の記号、象徴的 アイテム のような地位を確立していました。 なお 80年代にも似た コンセプト のソックスやその使い方がありましたが (レッグウォーマー)、制服との関係はなく、また後のルーズソックスブームとも直接の関係はないようです。

制服スカートのミニ化に伴い、ルーズソックスが登場

 1990年頃から、いわゆる制服の スカートミニスカート 化が始まりましたが、その際に足元を飾る独特なアイテムとして、やや遅れて登場したのが 「ルーズソックス」 です。

 それ以前の女子高生などの足元は、スカートこそ 「つっぱりルック」 の頃のような長くする改造からミニスカへの短い改造になったものの、靴下については 「つっぱりルック」 の頃と同じような靴下 (丈は くるぶし 程度までのクルーソックスで、色もピンクや紫、エンジ、黒などの、今から見るとおばさんくさいソックス) の時代がまだ終わっていませんでした。

 こうした時代背景の中、「これではちっともかわいくない」「そもそもスカートが短くなったのに靴下も短いままでは寒い」 という理由と、これまでの 「足を長く見せるため」 の短い靴下から、「足を細く見せるため」 の靴下への 「女の子側からの着用目的の変化」 があり、諸説あるものの、おおよそ宮城県仙台市、もしくは茨城県水戸市のどちらかを発祥地として、独特の靴下文化が作られるようになりました。

 筆者 は 1994年当時 (ルーソが目に見えて流行り始めたのが 1993年頃だと思います)、若者向け雑誌の特集とグラビア撮影監修の仕事をしており、このあたりの経緯を調べたことがあるのですが、筆者の知る限りでは、宮城県仙台市が発祥だったような記憶があります。

 仙台市のある地域の複数の高校で、ワンポイントマークが可愛い 「大内屋」 という店のサイズの大きい男性用 (紳士 用) の靴下を足首あたりでだぶつかせて履くスタイルが流行り、その後さらにたぶつかせて履くために登山用の靴下 「ブート・ソックス」 の流用がされるようになり、その独特なスタイル (だらしない履き方に見える) から、ルーズソックス (だらしのない靴下) とネーミングされ、各地へ伝播していったようです。

 この伝播のスピードは驚くほど早く、「へんな靴下が現れたな…」 なんて思っていたら、あっという間に全国に広まった印象があります。 一時期は、ラルフのセーターにスミスのルーズといえばマストアイテムのような 雰囲気 がありました。 足元の ローファーコインローファー) が 定番 でしょう。

コギャルブームとルーズソックス

 なお当時女子高生を、「コギャル」(女子大生などの 「ギャル」 に対して小さいから 子ギャルで 「コギャル」(後に高校生ギャルとの 解釈 も)、中学生は 「マゴギャル」) などと呼ぶようになっており、それまでのつっぱり風の ロングスカート 改造制服に対し、ミニスカート改造制服を 「コギャル ファッション」 などと呼んでいました。

 当の女子高生たちの場合は、「つっぱり風ファッション」 世代 (ヤンキー) と 「ミニスカート世代」(コギャル) との学年や地域での勢力図の書き換えや軋轢などもあったようです。 とりわけこの 「ルーソ」 の扱いは微妙で、「スカートは短くするけどルーソだけは履きたくない」 などと、中学時代はつっぱりだったコギャルも当時は結構いたものです。 そしてこの流行は 「つっぱり」 とか 「コギャル」 と呼ばれる 「特殊な人たち」 から、一般の女子高生などにも流行として影響力を持ち始めます。

 しかしミニスカートとなり、足が強調されるようになると、防寒対策と共に、足を美しく見せるための工夫をしなくてはなりません。 短い靴下は 「足を長く見せる」 効果がありますが、1990年代の女子高生はもう十分に足が長く、それよりはむしろ 「足を細くみせたい」「痩せているように見せたい」 との欲求が強かったようです。 締め付けて細くするのではなく、意図的に太くして全体として細く錯覚させる…このあたりのさじ加減はちょっと面白いですね。

 ただし 「ルーズソックス」 が 「流行」「イケてるアイテム」となると、もはやそういった意味や発祥のきっかけなどはどうでもよく、「みんながしてるから私も」 のような感じで広まり続けたようです。

校則の盲点をついたルーズソックスの伸張

 なお 「ルーズソックス」 がここまで一気に流行ったのには、当時の学校の服装に関する校則で、靴下の (白のみ、など) や長さ (履いた時の足の位置) に対する規則はあったものの、「だぶだぶにして履いたらダメ」 などという規則がなかったことも、大きな理由のひとつでした。 ルーズソックスは 「色は白」 なので、それまでのつっぱり女子高生などが履いていたピンクや紫の靴下などと違い、生活指導で 「取り締まる」 のが難しかったのですね。

 学校指定の靴下が決まっていたり、「だらしない格好はダメ」 なんてのが厳しく決まっていたり徹底されている高校では着用の禁止などがあったものの、中にはわざわざ学校と登下校用とで履き替える女子高生もいたようです (靴下の上にルーズ部分だけを履くための部分ルーズなどもありました)。

 また紺色や黒などのルーズソックスなども現れたものの、上記のような理由によりほとんど流行らなかったようです。 なお 2000年頃からは 「ハイソックスに限る」 とか 「ソックス自体の長さ」 などを校則で細かく定める学校が多く現れ、また 「ルーズソックス」 があまりに流行りすぎたために、それを嫌う女子高生などが 紺ハイ (紺色ハイソックス/ 紺ハイソ) を履きだすケースも続出。 1998年頃をピークにルーズソックスは徐々に減少し始めますが、これらがルーズソックス消滅の理由のひとつともなりました。

ルーズソックス/ ルーソの種類…リブのあるなしとゴム抜き

 「ルーズソックス」 と呼ばれる靴下には、大きくわけて、リブ編みされたものと、そうでないリブ無しのもの (リブの細かいものを含む) の2種類があります。 ざっくりとした感触のリブ編みのルーソの人気が高かったようですが、リブ無しのすっきりとしたフォルムも人気があり、ブームの後半にはかなり見かけるようになりました。

 どちらもどれだけたっぷりと緩くダブダブにするかで女の子同士の勝負のようなものもあったようで、ゴムを切ったり抜いたり (ゴム抜きルーズソックス/ ゴム抜きルーソ)、買ってきたら履く前に、まず広げてゆるゆるにするなんてことをやっている人もたくさんいましたね。 素材はナイロンや綿のものが多く、色は白がほとんどでした。

 「ルーズソックス」 が全国的に流行ると、それ専用の靴下が次々と売りに出され、長さも当初は 40cm〜50cm 程度だったものが、60cm、80cm とどんどんと長くなって行きました。 中には1メートルを超えるようなものや、2メートルに達するものまであり、極端に長く、また緩いものは 「スーパールーズソックス」(スーパールーズ/ スーパーロングルーズ) などとも呼ばれるようになりました。

 また靴下の上端は膝下 5〜10cm 程度で固定しますが、これのために 「ソックタッチ」(ハイソックスなどのズレやずり下がりを防止するためのスティック状の薬品で、白元の製品) が飛ぶように売れ、各地で品切れが続出。 中にはスティック糊で代用するような豪の者もいたようです (糊は肌荒れ、かぶれの原因になると、当時は雑誌などが注意を訴えるほどでした)。

 なお冬になると人通りの少ない場所では防寒のためにズリ上げて オーバーニー 状態にして履いている女子中高生もかなり多かったようです。 ルーズソックスと云えど、「長靴下」 の一種ですから、これは本来の使い方からすると正しい感じがしますw

現代劇における 「ルーズソックス」 の存在感

 ドラマや映画、マンガアニメゲーム などでは、「ルーズソックス」 は セーラー服ブレザー制服、あるいは スクール水着ブルマー などと共に、女子中高生の 「記号」、象徴的アイテムとして扱われることが多く、この頃の 作品 には登場しているものがたくさんあります。

 うち、作品タイトル名にまで 「ルーズソックス」 が出てくるものと云えば、「悪いオンナ 「ルーズソックス刑事」(TBS系列/ 2000年2月2日から2月23日) なんてのがありました。 この作品自体はわずか4話だけの短期集中ドラマでしたが、後に 「ケータイ刑事 銭形シリーズ」 へと発展します。

 なお おたく界隈 で絶大な存在感を持つ作品としては、「とある魔術の禁書目録」 から派生した 「とある科学の超電磁砲」 でしょうか。 この作品全体にルーソが登場するわけではありませんが、とある魔術でメインキャラの一人、とある科学では 主人公 となった御坂美琴が着用し、スカート下の短パンともどもトレードマークともなっています。 既にルーソが過去のものとなっている時期での登場でしたが、独特の存在感を持っています。

 また三国志を モチーフ とした 「一騎当千」(塩崎雄二さん/ 2000年〜) に登場する ヒロイン、関羽雲長のルーソも、作品のヒットとともにこの世界で大きな存在感を示しているといえるでしょう。

フェチ対象としての 「ルーズソックス」

 女子中高生の制服や指定品ファッション、下着類 に対する フェチ 感情は、男性にとってはかなりポピュラーなものですが、下着の一種である靴下のフェティシズム対象としての人気と 需要 は、かなり大きなものがありました。 とりわけ女子高生をメインとする 援助交際 (援交) の言葉としての流行や (当然ながら実際はごく一部なんですが)、前後して現れた 「イメクラ」 での非セックスの風俗の人気、またM気質のある男性による、「足コキ」 のような プレイ で必須とされるなど、1990年代の風俗やエロ産業を考える時、無視できないほどの大きな存在となっているのは確かでしょう。

 とりわけ、1992年の雑誌 「クリーム」(Cream/ 1992年6月22日) 創刊を発端とする お菓子系 と呼ばれる女子高生メインの写真グラビアへの影響は大きく、雑誌の表紙にはルーズソックスを身に着けたセーラー服などの女子高生が 1994年頃からは 定番 のように登場していました。 一般には 「ブルセラブーム」 末期のアイテムのひとつのような扱いですが、「ブルセラブーム」 の次に 「ルーソブームがあった」 と評しても決して云い過ぎではないと思われるインパクトがありましたね。 女の子の足元からは廃れた こんにちでも、「足フェチ」 の代名詞のようなアイテムとなっています。

 2000年代となり、「ルーズソックス」 は都市部からはほぼ消滅してしまいましたが (局地的にリバイバルしたこともありましたが、あまり定着してないです)、通販などでは人気アイテムとなっており、まだまだそれなりの人気と需要は持っているようです。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2003年2月12日)
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