遅くて不正確、かつ偏向もしているのでは? 「オールドメディア」
「オールドメディア」 とは、これまで情報伝達の中心を担ってきた従来型のマスメディア、とくに新聞やテレビといった大手メディアを 「古くさい」「時代に合っていない」 と見なして揶揄する呼び方のひとつです。
既得権にあぐらをかき独善的で偏った価値観や思想を押し付けてくる、あるいは左翼的・リベラル的な勢力に迎合したり取り込まれている疑いが持たれ、もしかしたら日本を誤った方向に誘導しかねない 害悪 があるのではとすら論じることもあります。
似た言葉には レガシーメディア (時代に取り残されたメディア) や マスゴミ (マスコミと ゴミ を組み合わせた言葉) があり、とくにマスゴミはほとんど同じ意味の言葉となります。 マスゴミがそうであるように ネット、とくに インターネット の普及と SNS (ソーシャルメディア) や 動画サイト との対比としてよく用いられます (ネットなどで度々指摘されるメディアの問題点については、マスゴミ項目をご覧ください)。
2024年兵庫県知事選・都知事選から一気に広がる
初見でも意味がわかるシンプルな言葉であり、使われるケースも古くからありますが、言葉としてとくに一気に広まったのは2024年の春先から夏あたりにかけてです。 なかでも中心となったのは、兵庫県知事に対する県庁の内部告発文書に関連した斎藤元彦知事に対するマスコミの一斉批判 (3月) や、不信任決議可決を受けた失職 (9月30日)、その後の知事選 (11月17日) を巡る騒動や、同年7月7日に行われた東京都知事選における大手メディアが泡沫扱いした石丸伸二 元安芸高田市長の健闘、および外国人不法滞在者問題や保守的な論客・政治家・政党などへの報道姿勢のあれこれです。
いずれもそれぞれの立場によって見方が変わる問題ですし、兵庫県知事に関しても東京都知事選に関してもキーパーソンは毀誉褒貶の激しい人物ではあるものの、既存の大手メディアが 報道しない自由 を使って真実を隠して世論誘導しているように少なくない人々に見えたこと、また語る内容が一方的であるばかりでなく、現実問題として SNS や動画サイトの情報発信速度に全く追いつけてもいないことから、「旧来のマスコミは不要だ」「むしろ 害悪 だ」 との厳しい批判を伴う言葉となっています。
類似の 概念 は前述したマスゴミよりはるか前、ネットがない時代でも新聞社やテレビ局によってひどい偏向があるとの論は広く 共有 されていたものでした。 昭和 の時代、あるいは冷戦時代は右左の論調もより明確で、「マスコミに流されたり騙されないためには新聞を読むとしても左右2紙を同時か交代で読むべきだ」 みたいな話は広く一般にも 認知 されていました。 とはいれこれらは左右それぞれの ポジショントーク に過ぎない場合もありますし、またいかにも蔑称といった 「マスゴミ」 は、表舞台では使いづらいという部分があります。
オールドメディアはマスゴミなどに比べると言葉としてシンプルかつ不必要なほどの攻撃性もなく、表舞台で使いやすいという部分はあるでしょう。 SNS や Youtube といったネット上のプラットフォームで情報発信する人たちが盛んに使ったこともあり、翌2025年には政治や思想対立におけるもっともホットなキーワードの一つになるに及んでいます。







