ドロー系グラフィックソフトの定番です
「イラストレーター」(Illustrator) とは、Adobe 社によって発売されているドロー系のグラフィックソフトで、ベジェ曲線 (Bezier曲線) などを使ってバーをハンドリングして図形などを描写し、パソコン上で イラスト などを作成するためのソフトウェアのことです。 略称で 「イラレ」 とも呼びます。
元々は Adobe 社内でフォントなどを作るために 開発 されたソフトで、ベクトルと微分の計算式によって直接的あるいは正確な円周を描く曲線で歪みなく図形を描き出します。 Macintosh 用のソフトウェアとして 1985年に初期版がリリース、1987年1月に Mac OS 用の Version 1.0 が発売され、2年後の 1989年1月の Version 2.0 より、Windows 対応版も登場しました。
「Photoshop」 などのフォトレタッチソフトとの違い
ごく大雑把に Photoshop などで扱う画像編集 (フォトレタッチ) と異なっている点を挙げるとすると、作り出す絵柄を色データと形データの2つで記録することでしょうか。 従って 画像 のデータ (ピクセルデータ) 以外に数値データ形式でも画像のやり取りが行え (ただし写真などは内部に取り込んで読み出す形式ですが)、異ハードにおいてもオリジナルと同様の緻密な画像の拡大縮小、加工などが一切の画質劣化なしで行えます。
また文字編集機能も充実していて、様々な文字装飾が行えるのはもちろん、文字と文字とのスペースなども非常に細かく調整ができます。 書籍の誌面作りや広告原稿の類を作るには、「QuarkXPress」 や 「InDesign」「大地」「PageMaker」 などの組版用の業務用 DTP ソフトがありますが、Illustrator はそれらとほとんど遜色なく作業が行え、個人ユースにも適した比較的安価な価格と使い勝手のよさがあります。
イラストを描く時にはフリーハンドのような感覚的な使い方がほとんどできないので、慣れるまではちょっと戸惑うのですが、コツを会得すると複雑な図形や正確さが求められる作図に大きな効果を発揮します。 ロゴマークやオリジナルの文字フォントの作成などでは、これがないと苦労する事でしょう。
またイラストワークに使う以外にも、テキスト (文字) 主体の電子組版 DTP に非常に便利に使え、同人誌 のような本を作るにしろ一枚ものの ペーパー (チラシ・ビラ・フライヤー) を作るにしても、現状でちょっとこれ以上 コストパフォーマンス の優れたソフトウェアは、見つからない感じです。
版下作成では、ほとんどこのソフトだけでOKみたいな
出版や広告などの業務用、商業 の ジャンル では圧倒的な シェア を持っており、多くの 印刷所 や出版社では、Illustrator 形式のデータでの 入稿 ならば問題なく受けつけてくれるようです (バージョンやフォントの扱いなどについては、印刷所、編集部毎に細かい注文がたくさんありますがw)。 筆者 は フォトショップはどうとでも使えるのですが、イラレは仕事でやむなく使う程度でなかなか覚えられない状態になってます。 慣れたらさだめし作業効率があがるんでしょうねぇ…。
けして安いソフトではありませんし、同人 の世界ではポップアート的な特殊な作風のものでないと真価は発揮しづらいソフトですが、出版や 印刷 などの仕事に就いて触れる機会があったら、ぜひ覚えてみたら良いと思います。 自由に使いこなせたら 一生もの の 「技術」 になると思います。