作為的な一発逆転要素か、それとも… 「重武装の穴」
「重武装の穴」 とは、全体では比類ないほどの重装備あるいは重装甲・重防御でありながら、わずかに突く隙があること、ピンポイントで相手を倒すことができる決定的弱点が存在することです。 似た言葉にウィークポイントや弱点、死角や盲点、不備、ツッコミどころ があります。 「白壁微瑕」(美しい白壁だがわずかに傷があってそこが弱点だ) とか 「アキレス腱」(向う脛の裏側、ギリシア神話に登場する英雄に因む)、「弁慶の泣き所」(無敵の武蔵坊弁慶にも向う脛という弱点がある) といった表現もあります。
逆にその重武装の 穴 が些細なことから破られることは 「蟻の一穴天下の破れ」(天下を揺るがすほどの大事はしばしばほんの些細なことから起こる) とか 「バタフライ効果」(台風も蝶の羽ばたきから起こるかもしれない、未来は予測できない) と呼ぶこともあります。
これらは高い攻撃力や鉄壁の防御力を誇る強敵と戦う物語を作る際に、主人公 らが機転を利かせて倒すカタルシスと説得力を持たせるために 設定 されることもあれば、ゲーム において強敵・難敵を撃破するための 攻撃 の狙いどころとして設定されることもあります。 通常は穴と称されるほどに小さいものなので、それとなく 「ここが弱点だ」 とのヒントが提示されたり、設定に織り込まれたりもします。
一方で、これらの使い方であれば、そのままウィークポイントや弱点などと呼べばよいので、わざわざ 「重武装の穴」 と呼ぶからには、それに相応しい場合に限るといった ニュアンス もあります。 それはいかにも人が作った物語やゲームのような、作為的で ご都合主義・予定調和 的な、「ためにある弱点」 みたいな揶揄のニュアンスです。
戦闘機の放ったたった1発の爆弾で吹き飛ぶ巨大要塞
おたく の世界でよく ネタ として話題になるのは、アメリカ映画 「スターウォーズ」(Star Wars/ 1977年) に登場する帝国軍の巨大な人工天体型要塞 「デススター」 の弱点と、主人公 ルーク・スカイウォーカーが駆る戦闘機 Xウィングによるたった1発の爆弾による呆気ない最期でしょう。
常識的に考えて、それほどの弱点を帝国側技術者が設計や建設段階で気付かないはずがなく、これについては ファン らの間でも様々な考察がされています。 いわく同盟軍の戦力をあまりに侮りすぎたからとか、帝国側の反乱分子や紛れ込んだ同盟側スパイの技術者がわざと弱点として残るよう設計した上でレイア姫にそれを伝えたなどです。 ルークが持つフォースの力で誘導できただけだとの説もありますが、フォースなどない他の同盟軍パイロットも同じように爆弾で破壊しようとしているため、これは分が悪いでしょう。
まぁ メタ な話をすれば、一発逆転できる弱点がなければ 物語 が成立しないという身も蓋もない話もありますが、いずれにせよ惑星をまるごと吹っ飛ばす巨大要塞を不利な条件の元で攻撃するスリルと、それを最後の最後で成し遂げて吹き飛ばす爽快感とカタルシスは、この作品が大ヒットした小さくない理由のひとつでしょう。
ちなみに 筆者 は1977年にスターウォーズが日本で封切された際に新宿の映画館で手に汗握って観ましたが、デススターが吹き飛んだ瞬間に前の座席に座っていた おっさん が大声で爆笑したため 感情移入 の高揚感をぶち壊され、その後うん十年たった現在もデススターやそのシーンを見るとその時の笑い声が トラウマ として蘇ります。 当時はラストのルークやハンソロの受勲シーンを 空きれい みたいな虚ろな目で茫然と眺めるだけでしたし、とんだ 呪い をかけられてしまったものです…。





