同人用語の基礎知識

操演

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総合的な能力が問われる特殊な演技 「操演」

 「操演」 とは、何かを操作することで演じたり演出することです。 演劇や映画、アートパフォーマンスなどの世界で、特定の 作品 やシーンにおいて人形だったり仕掛けだったり舞台装置だったりを影で動かす存在ということになります。 近い存在に スーツアクター がありますが、いずれにせよ、自分自身が舞台や 画面 に直接 顔出し や身体出しをして演じるのではなく、何らかを操作することで演技をつける点では同じです。 また操作する対象によっては、1つの操作対象を何人かの共同作業で行うこともあります。 操演する人は 操演者 と呼びます。

 もっともイメージしやすい操作対象といえば、人形劇における人形の操作でしょう。 操演者はとくに人形遣いと呼ばれ、その他に人形遣いをサポートする役割の黒子も存在します。 小規模な劇によっては人形の声も併せて担当することもありますが、多くの場合は人形の操作に専念するタイプが多いでしょう。 日本の伝統的な人形劇である文楽 (人形浄瑠璃/ あやつり芝居) の場合、言葉 (語り) は太夫が、音楽は三味線による演奏が担い、複数の人形遣いが協力して一体の人形を動かします。

 操演者が3人で1体の人形を操作 (遣う) のは三人遣いと呼び、それぞれ役割に応じて主遣い、左遣い、足遣いなどとして区別します。 また操作方法として、人形の身体を手で支えたり中に手を入れて操作することは手遣い、いわゆる操り人形のように舞台上から糸で吊って操作するものは糸操り、人形の体や手、足などに棒がついていて、舞台下からそれを動かして操作するものを棒遣いなどと呼びます。

 この他、機械仕掛けの人形が動いて情景を表現するからくり人形による芝居や、ハンドパペット (手袋人形) を手にはめて動かす劇 (パペット人形劇) などもあります。 ただし着ぐるみや仮面キャラクターを演者が身に着けるもの (着ぐるみ人形劇や着ぐるみショー) を担うのは一般にスーツアクターと呼ばれ、操演とか操演者と呼ばれることはありません。

人形や絵、ミニチュアなど、様々な操演の形が

 一方、人形ではなく、絵を操作して演技することもあります。 代表的なのは影絵劇 (写し絵) で、とくに濃淡がはっきりする影絵はテレビがまだ モノクロ の草創期に様々なパターンが試され、またカラーテレビ時代となっても鮮やかな色彩やノスタルジックな温もりから一定の人気を得ていました。 なかでも日本を代表する影絵作家、藤城清治さんによるメルヘンな印象のある美しい影絵劇は、ある年代層にとっては強烈な郷愁を喚起する魅力的な存在でしょう。 テレビ東京の天気予報に使われていたこともあり、知名度も抜群です。

 この他、特撮におけるミニチュアの操作とか、スーツアクターが演じる怪獣などの口の開け閉じや尻尾の動きなどをリモコンやワイヤー類で操作して補助したり、あるいは必ずしもキャラや登場人物を動かすだけでなく、一般に大道具 (舞台美術担当者) や舞台監督、あるいは特殊効果担当者として 認知 される役割 (背景を動かしたり雨や雪を降らせたり、爆発や水しぶきなどの演出) を様々な機材や道具を使って表現することを併せて担う場合もあります。 様々な分野の動きや演出を担う大雑把な使われ方がされやすい言葉でしょう。

 いわゆる 演者 の中では、顔が表に出ることがないため 地味 で裏方のようなイメージを持たれがちですが、人形劇における人形操演などは舞台の主役そのものであり、特定の人形遣いなどに熱心な ファン がつくこともあります。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2020年9月8日)
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