同人用語の基礎知識

よろず同人誌/ よろず本

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様々なジャンルが混ざった同人誌、「よろず本」

 「よろず同人誌」「よろず本」 とは、二次創作元ネタ となった アニメマンガゲーム や小説、およびそれらに登場する キャラクターカップリング が同じものに統一されておらず、特定の ジャンル にこだわらない 同人誌、ノンジャンルで内容がごちゃまぜの本や創作物のことです。

 テーマ だけでなく、マンガと SS、評論など、創作物の形や カテゴリ の違うものが混ざっている場合もあります。 なお 「よろず」 とは、「あらゆるもの」「全て」 なんて意味の言葉になります (「万」 とも書きます)。

「よろずサークル」 が出している本という訳ではありません…

 特定の活動ジャンルを持たないサークル、何でもアリの 同人サークル を、よろずサークル と呼びますが、「よろず本」 は、この 「よろずサークル」 が出した本というわけではありません。 「よろずサークル」 の作品でも、一冊の中身が同じテーマの本を出したら 「非よろず本」(一般的な普通の同人誌) になります。

 ところで実際の 「よろず本」 の扱いですが、正直なところ、頒布 する方からするとかなり 「売りにくい」 ものです。 同人誌即売会 で、いったいどの ジャンルコード で申し込めばいいのか判断が難しいですし、事前によほどきちんとアナウンスしておかないと、表紙だけで判断して買っていった 読者 から、「表紙がアニメの 主人公 の○○ちゃんだったから買ったのに、中のマンガにはちょっとしか出てこなかった」「がっかり」「詐欺だ」 なんていわれかねません。

「オールキャラ」 と 「よろずキャラ」

 なお元ネタの作品は1つで、複数のキャラ、複数のカップリングを混ぜている場合には、オールキャラ本 とか呼んだりします。 元ネタの作品名を接頭する場合が多く、例えば 「セーラームーン」 なら、「セーラームーンオールキャラ本」 などと呼びます。

 サークルによっては 「セーラームーンよろず本」 などと呼ぶ場合もありますが、この使い方が間違っている訳ではありません。 こういった場合には、その作品のキャラがたくさん出てくるだけでなく、マンガ以外にSSや作品レビューが入っていたりします。 「セーラームーンの総合同人誌」 のような ニュアンス になりますね。 また結果的にカップリングの要素がさほど強く打ち出せないこともあり、ギャグやほのぼの系のような 健全 なもの、非アダルト系が比較的多くを占めます。

 「ジャンルを固定せず、好きなものを好きな時に描く」 というのをモットーとしている 「よろずサークル」 に比べ、そうでない一般的なサークルがこうした 「よろず本」 を出すケースもあり、そういった読者の勘違いを想定して、きちんとした対応をしている所が多いものです。 しかしかつては、ほとんど 「表紙詐欺」 じゃないか…的な本を出しているところもありました。 酷いのになると、内容が以前出した別の本とほとんど同じで、表紙だけ流行の新しいアニメキャラのものに変更するとか、すごいのもありました

 こういった本は、同人ゴロ っぽいサークルの、委託編集同人 とかで、ちょくちょく見かけましたね。

「よろず同人誌」 の生まれる背景

 ところで 「よろず同人誌」 の作られる理由ですが、積極的に 「よろず本」 を出す人もいる一方、やむにやまれぬ事情で、そうした本を作るケースも多いようです。 例えば、あるジャンルでずっと活動していて、その後別のジャンルに 転んだ (移動) 時などに、「それまで活動していたアニメ○○の、まだ本にしていない 原稿完全原稿) がある」「しかし新しい活動ジャンルのアニメ△△の原稿は、まだちょっとしかない」「じゃあ、混ぜて1冊の本にしよう」 みたいな感じですね。

 この場合、以前のジャンルも新しいジャンルも似たような傾向を持つ場合が少なくなく、取り立てて問題にならない場合もありますし、表紙の作品と中身の割合、分配が妥当であれば、読者も好きなサークルの作家さんならば、むしろお蔵入りさせられるよりは読めた方が良いと考えてもくれます。

 しかし、「二次創作」 の元ネタの派生作品を求める ファン からは、「もう○○はやめるんですか…?△△さんの描く○○が大好きなんですが…」 なんて懇願されたり、時には逆切れされるケースもあったりします。 表紙がなんであれ、「よろず本です」 と説明すれば、「何でも入っている本ですよ」 という宣言になりますので、ある程度傾向やジャンルが固定されている本でも、後々の トラブル を避けるために 「よろず」 と説明する同人誌も結構ありますね。

 なお複数人で同じジャンル、テーマで作る本は、アンソロジー本合同誌 などと呼びます。 こちらには 「多人数、複数サークルで作る」 という意味がありますので、個人、複数を問わず扱う内容だけを示す用語である 「よろず」 の対義語という訳ではありません。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2000年4月11日)
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