同人用語の基礎知識

ルビ

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難しい漢字に振り仮名を入れたりネタで入れたり 「ルビ」

 「ルビ」(Ruby) とは、文章の中で任意の文字、例えば漢字やカタカナにひらがななどの読み (振り仮名/ 表音文字) を入れることです。 一般的には、横書きなら漢字の上の部分に、縦書きなら右側に、本文の文字より小さい文字で入れる形が多いでしょう。 またルビを入れることは 「振る」 と呼びます。

 例えば 同人用語 (どうじんようご) なら、 同人用語 どうじんようご という形になります。

 文章中の全ての漢字にルビを振ることは 「総ルビ」、一部の漢字だけに振る場合は 「ぱらルビ」 と呼んで区別します。 また低年齢層に向けた書籍などではカタカナやアルファベットにひらがなのルビを振ったり、当て字や文字の意味、註釈の類をルビの形で表記する場合もあります。 当て字でありがちなのは 「地球」 に 「テラ」 とルビを振ったり、「本気」 や 「真剣」 に 「マジ」 や 「ガチ・ガチンコ」、「永遠」 に 「とわ」 を振るなどです。 注釈の場合、要点を短く書き入れたり、誤字脱字やその疑いが強い引用文に対して 「ママ」(儘) 原文のまま) を入れることもあります。

 また海外の漢字による固有名詞、例えば中国や韓国の人名地名に読み方のルビを振る場合は、日本語読みと現地語読みのパターンがあります。 この場合、日本語読みではひらがなで、現地語読みはカタカナで表記するのが通例となっています。 例えば 「王」 さんの場合、日本語読みなら 「おう」 さん、中国語読みなら 「ワン」 さんといった感じです。 近年は中国語の発音をローマ字で表現したピンインの併記も増えています。

ルビの語源は宝石の 「ルビー」

 ルビの語源ですが、宝石のルビーから来ています。 元々はイギリスで活字の大きさを宝石名であらわす習慣があり、例えば 4.5ポイントの活字をダイヤモンド、5ポイントをパールなどと呼んでいました。 5.5ポイントの活字はルビーで表され、これが明治期に日本に入る中で、ほぼ同じサイズとなる活字 (7号活字 (8級・5.25ポイント) をルビ活字と呼ぶようになりました。 このサイズの活字がもっぱら新聞などで振り仮名用途に使われたことから、海外と同じく 「ルビ = 振り仮名」 として定着したのですね。

 ちなみに当時の新聞紙面の 本文 の活字は、現在の新聞の活字よりやや小さい5号活字 (15級・10.5ポイント) で、これはルビ活字の縦横の寸法のそれぞれ倍に当たります。 つまり本文用活字の5号を4分割するとルビ用の7号活字になる関係です。 一方、級の方は文字の縦横の寸法が 0.25mm を表しますので、8級は 2mm の文字ということになります。 この級は、通常はアルファベットの 「Q」 で表すことが多いでしょう。 なのでルビに用いられる文字8級は 8Q となります。

ネットメディアにおける 「ルビ」 と 「交ぜ書き」

 ルビが振られた文章は子供の頃はよく目にしますし、一般向けの書籍などでも人名や地名といった固有名詞で使われることがあります。 ただし ネット の文章媒体などでは、漢字とひらがなを交ぜ書きにしたり、文字の後に読みがかっこ書きされるされるケースも多いでしょう。 この場合は振り仮名ではありますが、ルビとはあまり呼ばないかもしれません。

 これらは時代を経るにつれメディアのガイドラインなどで採用されることが増えてきており、常用漢字 (義務教育過程終了水準) とそれ以外の漢字が含まれる場合に、漢字とひらがなを交ぜて表記する方法は非常にポピュラーなものとなっています。 例えば 「山麓」 と 「山ろく」、「辛辣」 と 「辛らつ」、「憂鬱」 と 「憂うつ」 のような表記方法です。

 さらに文字コードの関係で日本の漢字や普及したフォントで表記できない漢字外国語名や古い表記 (古字や変体仮名)、常用漢字に含まれず日常使用もあまりされない難解文字の場合、ルビであるひらがなやカタカナで交ぜ書きした上で、補足としてかっこ書きの形で漢字や文字の説明をする場合もあります。

 例えば日本の有名人なら、映画監督の宮崎駿さんをあらわす際に 「崎」 が俗字であることを示すために 「宮崎駿さん (崎はたつさき)」 にしたり、タレントの草K剛さんをあらわす 「草なぎ剛さん (なぎは弓へんに剪)」 といった 「K」 の表記はおなじみのものでしょう。 また 「味噌」 の 「噌」 は右側のつくりが「曽」ではなく異体字の 「曾」 になりますが、商標などの関係で正字である 「口と曽」 が正確なのに使えない (表示されない) 場合は、「味そ」(そは口へんに曽)」 みたいな表記がされたり、くだけた場では 疑似的倍角文字 として 「口曽」 が使われたりします。 機種依存文字を文字コードでも示す場合もあります (例えば 「木+余/ U+688C / 32-9」 みたいな)。

 一方、ルビや交ぜ書き、かっこ書きではない方法で読み方の提示をする場合もあります。 例えば一部のネットニュースやポータル系サービスなどでは、言葉に対して単に検索への リンク 設定 を行うにとどめる場合もあります。 読めなかったり意味が分からない、あるいはより詳しく知りたい場合はクリックしてリンク先で確認してくださいねという訳です。 自身が検索サービスを持つ大手ポータル Yahoo! さんのニュース配信などで行われていますが、前述した山麓や辛辣など、さして難解難読でもない言葉にルビや交ぜ書き表記するのは個人的に読みにくく感じますし、これはこれでデジタル時代ならではのスマートな方法だと思います。

 ちなみに非常に極端な例では、言葉そのものを言い換えるような場合もあります。 例えば 「傭兵」 の 「傭」 が常用漢字ではないため 「雇い兵」 と書いたり、それをメディア報道などでアナウンサーがそのまま読み上げるなどです。 傭兵と雇い兵は一見すると国語辞典的な意味が同じように感じられても、歴史的経緯もあって傭兵という語句そのものに独特な ニュアンス がありますし、言葉を単純化しすぎて背景となる情報量を無為に減らすだけだとの批判もあります。

同人作品における 「ルビ」

 同人 の世界では、あまりルビを振ることはないかもしれません。 対象が子供ではないケースが多いですし、必殺技の名前が難しい漢字で構成されているとか、ネタ として無理やりな当て字にするなどでもない限り、積極的に入れるケースは少ないでしょう。

 ルビを振る必要がある小説や SS、批評などの文章主体の 同人誌 などの場合、ワープロソフト (Microsoft の Microsoft Word (ワード) やジャストシステムの一太郎など) を利用することが多いと思いますが、それぞれにルビを振る機能を持っていますので、それを利用して文章作成することになります。

 マンガ のセリフなどの場合、紙原稿であれば同じようにワープロソフトを使って出力した 写植フキダシ の中に貼れば大丈夫ですが、グラフィックツールを使った 原稿 の場合は、そのツールにルビ機能がないものではその都度手動で入れることになり、かなり面倒なものです。 とはいえルビも含めてセリフに意味や面白さが出る場合もあるので、頑張るしかなかったりするのが辛いところです。

 とりわけ ネットスラングミーム にもなっているマンガ 「疾風伝説 特攻の拓」 のセリフ 「不運 (ハードラック) と踊 (ダンス) っちまった」 のようなパターンの場合、振り仮名に対して本文文字が少なすぎ、バランスも悪くなるので調整が大変でしょう。

 HTML で無理やり再現すると、「 不運 ハードラック ダンス っちまった」 になります。

HTML タグによる web サイトでの 「ルビ」

 ルビの HTML タグは、そのまんまですが <ruby> になります。

 前述した 同人用語 どうじんようご なら、タグの表記は <ruby> <rb>同人用語</rb> <rp>(</rp> <rt>どうじんようご</rt> <rp>)</rp> </ruby> になります。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2004年9月12日)
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