同人用語の基礎知識

バカ/ 馬鹿

トップ 同人用語 項目一覧 バカ/ 馬鹿

バカが見るのはブタのケツ…罵倒語の代表 「バカ」

 「バカ」(馬鹿) とは、愚かなことや人のことです。 愚かにも色々ありますが、ごく分かりやすいものだと知能に劣り頭が悪い、常識や教養がない、記憶力や理解力、論理的思考ができない人だとの理解が多いでしょう。 また学校のテストの点が悪い、IQ (知能指数) や模擬試験の結果や通っている学校の 偏差値 が低い、学歴を持たない、何をやらせても上手くできない 無能低能 といった理解もされるかもしれません。

 ごく普通の日本語で、もっともポピュラーな悪口や 人格攻撃 の罵倒語ですが、指し示す範囲は極めて広く、素直で実直、飾り気がない、自然体といった好ましい意味や賞賛の意味になったり、飛びぬけて賢いといった正反対のニュアンスを持つことさえあります。 例えば 「親バカ」 なら子供に深い愛情を注ぎ、自分の子供が第一な親の意味になりますし、「学者バカ」 なら、自らの研究分野以外はまるでダメだけれど、研究分野では飛びぬけている人を賞賛する言葉だと一般には理解されるでしょう。

 また親しい間柄では、文脈によって強めの愛情表現として使うこともあります。 例えば恋人が相手のために必死に頑張った結果失敗した時に相手が微笑みながら云うバカは、相手の苦労を労ったうえで健気な姿に惚れ直したみたいな親愛の情から出る言葉でしょう。 また恋人が忙しくて全然会ってくれない時につい叫ぶバカも、「寂しい」「会いたい」 の魂の絶叫といってよいでしょう。

 そういや昔、戦争で生き別れになった兄妹が何十年ぶりに再会した感動のシーンで、あまりの嬉しさに泣きじゃくる 相手に日本人の兄が目に涙を浮かべ微笑みながらそっと抱き寄せ 「バカだなぁ (そんなに泣いて)」 と声をかけたら、妹が 「私はバカではない!」 と怒ったという話があるそうですが、どっちが良い悪いではなくこのあたりの言葉の機微は、お互いの関係性だけでなくお国柄やそれぞれが持つ文化によっても変わってくるのでしょうね。

愛される 「おバカキャラ」 なども

 なおバカ (というか無教養) でも愛されるような キャラ、人の集まりの中で ボケ に相当するキャラは 「おバカキャラ」 などと呼びます。 もっぱらテレビ番組に 出演 し、独特のぶっ飛んだ 解釈 を述べる人、クイズで珍答を連発するようなタレントを指して使いますが、マンガアニメ などの創作物に登場するキャラでも類型化されたキャラの パターン として 認知 されています。 類似のものに アホの子 とか ドジっ子 があります。

 ちなみに子供のいたずらで、何もない方向を指さしたり、声を上げて顔を向けるなどして、周囲の人間がそれにつられて何もない方を見てしまった時に 「バカが見る〜ブタのけつ〜」 とはやし立てるものがありますが、どのあたりで発祥したのか、そもそも何でブタのケツ (豚の尻) なのかも不明です。

 一般的には丸々と太ってブーブーと鳴く家畜のブタは愚鈍、怠惰、不潔のイメージで語られ、とくにイスラムの国々では不浄や貪欲、醜さの象徴とされています。 一方で中国では豊かさや富の象徴とされますが、そもそも動物の豚さんは繊細で清潔を好むようで、人間によって劣悪な環境で飼育されがちな上に豚汁や生姜焼きにされ、さらにバカに関連付けられるのも気の毒な話です。 「ブタのケツ」 は見ても意味がない、くだらないもの、すなわち何もないのに騙されるバカしか見ないものみたいなイメージで選ばれたのかもしれません。 ことわざにも豚さんが出てくるものがいくつかありますが、「豚に真珠」 とか 「豚もおだてりゃ木に登る」 とか、おおむねろくでもないものばかりです。 トンでもない話です。

「いやん、ばか〜ん、んふ〜ん」 艶っぽい話題でも

 なおベッドルームで女性がいう艶言葉に 「いやんばか〜ん」 あるいは 「いやん、ばか〜ん、んふ〜ん」 があります。 これはテレビ番組 「笑点」 の 大喜利 でおなじみの落語家、初代 林家木久蔵 (現/ 林家木久扇) さんが1978年4月にリリースした2枚目のシングル、お色気コミックソングの 「いやんばか〜ん」 から来ています。

 暗いベッドルームで不慣れな男性があれこれ女性の身体をまさぐるものの上手くいかず、女性が 「そこはおめめなの」「そこはお口なの」 と言葉で誘うさまをコミカルに歌ったものでした。 曲は後半に向かうにつれテンションが上がり本格的なジャズっぽい感じで盛り上がり、「そこよ、そこなのよ」 と歌った後、ハナマルキのお味噌のテレビCM を パロ った 「おかあさ〜ん」 の叫び声で終わります。 歌ではその他にも 「いやよ、だめだめ」「うふん、だめだめだめ」 といった歌詞が鼻にかかった声で表現されています。

馬鹿の語源は…?

 バカの語源は一般に広く知られている通り、中国の故事によります。 始皇帝の子で二代皇帝である胡亥に権力簒奪をもくろむ宦官 趙高が 「鹿」 を見せて 「馬」 だと説明したとの逸話がそれで、皇帝胡亥は 「これは鹿だろ」 と正答したものの、趙高の権勢を恐れる多くの廷臣は 「馬です」 と誤りを答え、勇気ある廷臣は 「鹿だ」 と答えた、この馬と鹿が後の馬鹿に綱がったとの説です。

 逸話自体は存在するものの、この場合の 「鹿」 との偽った答えは愚かとか頭が悪いと云うよりは勇気がなくて本当のことが云えない卑怯者、取るに足りない小物といったニュアンスで、現在のバカのイメージとだいぶ異なります。 とはいえ最終的にそれを採用した皇帝は人を見る目がなく騙されやすく、愚者の烙印は避けられないでしょう。

 なおこの逸話では勇気や忠誠心をもって皇帝に 「馬です」 と正直に述べた正義感ある廷臣は、後に趙高によって謀殺されたとされます。 またこんな趙高を重用した胡亥は父から譲り受けた秦朝をわずか二代で滅亡させ、長い中国史の中でも屈指の暗君の一人、愚帝の代名詞のような扱いとなっています。

Twitterこのエントリーをはてなブックマークに追加FacebookLINEGoogle+

関連する同人用語・オタ用語・ネット用語をチェック

(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2002年10月5日)
破線
トップページへページの先頭へ

トップ
 旧同人用語メイン
 同人用語辞典 収録語 項目一覧表
 同人おたく年表
 同人関連リンク
 付録・資料
サイトについて
書籍版について
リンク・引用・転載について
閲覧環境
サイトマップ
のんびりやってます
フッター