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推しに顔を覚えてもらえることこそファンの喜び? 「認知」

 「認知」 とは、存在を認めて知ってもらうこと、あるいは対象物がそれであると認めること、認識することです。 一般的には人が外界の対象物を知ってそれが何であるか判断したり 解釈 したり、法的な婚姻関係にない父母から生まれた子供を父親が自分の子だと認めることを指して使ったりします。

 一方、おたく腐女子 の世界では、好きなアイドルや声優といったタレント・芸能人・生配信者 などに、ファン としての自分の存在を知ってもらい、また顔や名前を覚えてもらうことを指して使います。 2018年前後以降は Vtuber (バーチャル ユーチューバー) に対して使うケースも多いかもしれません。

 マイナーなタレントやインディーズな活動をしているバンド、小さな 会場 で行うライブやコンサートといった場ならともかく、メジャーどころのタレントでは認知されるためのアピールも難しいところがありますが、握手会やサイン会、お渡し会といった接触系の イベント に足しげく通い、ファンレターといった応援を兼ねたアピールなどもしつつ、認知されようと涙ぐましい努力をするファンもいます。

 誰でも自分の好きな相手に自分の顔を覚えてもらえるのは嬉しいものですが、それが 推し担当 ともなれば喜びもひとしおでしょう。 認知されているのを前提として、イベントなどで 「久しぶり」 といった顔見知りであるのを過剰にアピールするような挨拶をするファンもいます。 またそうしたファンを相手にするアイドルやタレントも、熱心に応援してくれるファンの顔や名前を覚えるよう努力し、「〇〇さんまた来てくれたんだ」 などと声をかけることもあります。

 一方、単に好きなアーティストを応援したいだけのファンからすると、自己主張や 承認欲求 が強すぎるようにも思える認知されたがりファンは、苦手に感じる場合もあるようです。 認知を求めるあまり極端な追っかけや執拗な劇場での入待ち・出待ちなど、迷惑行為に至るファンもいるので、冷ややかに見る向きもあります。 また認知されると妙な義理や義務が生じることもありますし、自分なんかが応援してるのはおこがましいと感じたり、それを嫌って 「その他大勢」「無色透明」 でいたいという認知拒否のファンもいます (たぶん部外者が思っている以上にこういう層は多いです)。

 このあたりは、ライブなどのリアルイベントに対する 現場組在宅組 のと違いと同じ考え方の違いなのでしょう。 もっとも、推しに自己アピールできない控え目な性格だったり、他人が認知されているという状況に嫉妬しているだけのケースもありますが。

コンビニの店員に顔を覚えられると居心地が悪い人も…店員からの認知

 アイドルとファンといった関係性以外でも、ことさらに認知と呼ぶ状況があります。 例えば近所のコンビニや飲食店などの店員に、客として訪れた自分の顔を覚えられることなどです。 この場合、常連客として店員と気軽に挨拶をしたり、そうした関係性が嬉しい、心地よいと感じる人もいれば、顔を覚えられることにストレスを感じて足が遠のく人もいて、考え方は様々でしょう。

 店員やスタッフが常連客の顔を覚えることが業務上の必須事項のような業態に美容院や飲み屋などがありますが、顔を覚えられることを嫌い、その都度異なる店を選んだりするような人もいます。 これは行動を監視されているようで嫌だとか、自意識過剰という部分もあるのですが、変な義理や義務が生じるのが嫌だ、という意識もあるのでしょう。 確かにある店で顔なじみになると、その近所の別の店に入るのも気が引けるという義理堅い人もいますし、神経質というよりは、自分の行動がそれによって縛られるのが嫌だという気分が強いのかもしれません。

 これは ネトゲ などでもそうで、ギルドなどに参加したがらない プレイヤー も結構います。 ギルドなどに入ると何かと義理や義務、人間関係のしがらみなども生じますし、気軽にプレイしたい時にプレイして、落ち たい時に落ちることができなくなることもあります。

 一方、アイドルや芸能人に近い部分で云えば、個人で活動しているマイナーな生放送配信者や Vtuber と リスナー との関係も、距離の近さから前述した店舗スタッフと客との関係に近いかもしれません。 同接 (同時接続/ 同時に配信を見ているリスナー) の数が少ないとしても、数十人くらいいればその中に紛れ込むこともできますが、わずか数人程度、極端な場合ではリスナーが自分1人みたいな状況ともなると、認知も何も演者とリスナー1対1の関係であり、一般的には居心地の悪さというか コメント も書きにくいし抜けるのも気が引けるしで結構辛い感じかもしれません。

 一般に動画やライブ配信を行っている人は目立ちたがり屋で 自己顕示欲 が強いと思われがちですが、ただ独り言をひたすらつぶやきたいだけで、そこに人の目や耳を必ずしも必要としない、場合によっては反応されても対応できずに困るという人もいます。 また特定の配信者や演者が好きでいつも視聴しているけれど、別に認知されたくないしコメントもしないリスナーもいます。 ただそれでは好きな配信者や演者に感謝や応援ができないので、配信が終わる寸前に投げ銭だけして落ちるみたいなファンも結構います。

 マイナー系の生配信や V 配信では、ただひたすら独り言をしゃべってる演者と、それをひたすら無言で聴いているだけのリスナーとで延々と何時間も時間が過ぎているケースはかなり多く、単にながら視聴や BGM代わりの視聴もあるとは云え、これは要するに 「その空気が心地よい」 ということなのでしょう。 場末のスナックや喫茶店の無言の ママ やマスターと客みたいなもので、そうした 「静かな癒し」 が必要な人もいるのが、現代のネット世界と云うことなのでしょう。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2015年2月20日)
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