容姿が良ければ何かとお得? 「ルックス」
「ルックス」(looks) とは、日本語で容姿や容貌、見た目を意味する言葉です。
ルックスが良いといえば、美女や美男子、イケメン を指し、悪いと云えばブサイクや ブス やブ男、ブサメンであるとの意味になります。 またルックスで人を判断すると云えば、その人の中身を見ずに外見だけで判断する、あるいは面食いであるとの意味になります。
ルックスとルッキズム
近年使われるようになった言葉に 「ルッキズム」 があります。 こちらはルックス主義、見た目至上主義みたいな意味で、本来容姿などは関係のない分野で、ことさらに容姿を重視し、差別的な対応を行うことを指します。 例えば事務員募集の求人で容姿の優れた人物を採用したり、様々な優遇するといった意味になります。
また容姿がモノをいう仕事、例えばモデルとかコンパニオン、芸能活動をルッキズムの観点から批判したり、ミスコン (ミスコンテスト) といった外見の美醜を主な判断基準とするような イベント を批判する際にもしばしば持ち出される 概念 となっています。
そもそも人間の容姿などはその多くが生まれつきの遺伝によるところが多く、本人の努力でどうにもできない部分があり、そこで優劣をつけるのは差別そのものではあります。 とはいえ社会全体で美しい、かっこいいと評価されがちな容貌はありつつも、個人の好みの方が補正値としては大きいので、個々人ではどのようなルックスを求めるのかの差が大きいですし、個人の好みまでルッキズムで批判される訳ではありません。
しかし 「中身や性格ではなく外見だけで判断」 は避けましょうという考え方は昔から根強いものがありますし、ルッキズムが叫ばれる中、美醜ではなく 清潔感 のありなしといった、言葉の言い換えも進んでいます (言葉が違うだけで内容はだいたい一緒でしょう)。
他人を判断する手段としてのルックスはあくまで相対的なものでもあるので、ひと昔前、とくに ネット が普及する以前までは、メディアを通して目にするタレントや著名人を覗けば、観測範囲はさほど広くなく、比較対象も少数に留まっていました。 せいぜい 学校 で何番目に可愛い・かっこいいとか、職場や近所で一番だ、通学通勤中に見かける素敵な人くらいの扱いです。 一般人 が 日常 で触れる人間はその狭い世界内でほぼ完結してもしていましたから、ルックスに対する優越感も劣等感も、あくまでその範囲内での話です。
ところがネットの時代が訪れ、さらに SNS が広がると、それまでは 絡み ようがなかった一般人同士もゆるくつながるようになり世界が広がる一方、若者の間で 顔出し をあまり気にしない文化もあって、情報としてルックスを重視する 需要 と、ルックスそのものに対する審美基準も跳ね上がる傾向にあります。 同時に写真などを撮る道具がカメラから携帯電話やスマホといった情報端末・ガジェット になると、写真の加工なども容易に行えるようになり、その傾向は拍車がかかっています。
昔から 「外見より中身が大事」「美人は3日で飽きる・ブスは3日で慣れる」「男は度胸・女は愛嬌」 などなど、人の外見と内面とのどちらを重視するかの言葉は様々あります。 おおむね外見より中身を見ろという意見になりがちですが、これは逆に云えば人間はもうどうしようもなく外見に心を奪われてしまうという現実に対する戒めでもあります。
さすがに 「美人やイケメンは周囲にチヤホヤされて自己肯定感が高くおっとりした優しい性格になるが、逆は劣等感から捻くれて心まで醜くなる」 は言い過ぎだと思いますが、外見に対する好き嫌いなどは理性ではなく本能に近い部分でもあるので、自分のそれとどう折り合いをつけるのかが試されているのかもしれません。 個人的には物心ついたころから SNS があって、自分と同じ同世代の一般人が キラキラ している様を TL で見せつけられる今の若者は、なかなか大変だなという感じがします。





