腕に着けるだけで、なぜかピリッとする 「腕章」
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| 腕章つけるとなんだか… 気分も引き締まる (同人する子) |
「腕章」(armband) とは、筒状の布やビニールで作られ、服の上から腕に巻くことができる記章のひとつです。 一般的には長方形の形をしていて短辺部分をつなげた筒の形をしており、腕を通した後に落ちないように安全ピンなどで服の腕部分に固定して着用します。 目的は身に着けた人の所属や役割、地位や功績などを示すためですが、黄色などの目立つ色や光反射材や蛍光処理などがされて、野外の雨天時や暗がりなどで視認性を高める効果を目的としたものもあります。
街中でよく見かけるのはスポーツ大会や何らかの イベント や式典の 運営 に携わるスタッフ、警備員や交通誘導員、工事関係者、報道関係者などが用いるもので、他の人と区別し、役割を識別しやすくするために使用されます。 またそれに関連して、「スタッフ」 とか 「本部」「警備係」「案内係」「監督」「報道」 などの文字が大きく書かれ、必要に応じた声かけがお互いにスムーズにできる状況を作り出す効果や、入館証や入場証として使われることもあります。
日本で一般に広く 認知 されているのは、路面電車の軌道の形が由来とされる警察官や警備員、交通誘導係などが用いる緑地に白線が入った腕章でしょう。 またお葬式の際に用いられる黒い腕章 (喪章) や、チームで行うスポーツ競技でキャプテンが身に着けるキャプテンマークや審判が身に着ける審判腕章、新聞記者やテレビスタッフなどが用いる 「報道」「PRESS」 の腕章などもあります。 よく使われるものについては販売もされていますが、イベントごとに用意されたり、任意の文字を書いた紙片やチケットなどが挿入できる汎用型の透明なホルダー形式の腕章などもあります。
おたく や 同人 の世界では、コミケ 開催時にスタッフや取材陣が左腕に巻く腕章がおなじみでしょう。 おおむね白などの目立つ色や光沢のある布で作られており、「C60」「C65」 といった開催番号とスタッフとか取材といった役割に応じた文言が記されています。
創作物では、権力や厳格さの象徴としても使われたり
学校生活においても 制服 の上から腕に巻く腕章はおなじみです。 校外活動で清掃活動などを行う際に 「美化委員」 みたいな腕章をつけたり、黄色い腕章で車からの視認性を高める安全腕章とか、運動会の実行委員とか修学旅行などの引率係が用いるものなどはよく使われます。 一方で 生徒会 とか風紀委員、あとは応援団といった学校の生徒自治に関する組織の腕章は、マンガ や アニメ といった創作物では役割が誇張され、生徒を取り締まる権力や厳格さの象徴のような扱いをされることもあります。
これは 戦前 戦中の憲兵や特別高等警察 (特高)、戦後のアメリカ軍警察 (MP) や警察官らの腕章の影響もあるのでしょうし、ナチスドイツの鉤十字 (ハーケンクロイツ) の腕章や、中国の文化大革命で知識人らを吊るし上げた紅衛兵の赤い腕章のイメージもあるのでしょう。 強権的で情け容赦なく取り締まる怖い人たち、権力者やその手先といったイメージです。
なお腕章そのもののルーツは不明です。 中世の十字軍が勲章の一種として用いたものが発端だとか、左腕に巻くのも心臓に近い左胸につけた勲章からの影響だとされることもあります。 とはいえ腕章のようにそれ専用で独立した アイテム ではなくとも、色布を腕に巻く、服の二の腕部分に所属や階級や功績を示す筒状の 模様 の入った軍服などもありますし、宗教的な儀式に用いる二の腕部分につける腕輪もあります。 そもそも人は右利きが多いので左腕の方が着用しやすいですし、利き手を使って敬礼や作業する際にも邪魔にならないという利点もあります。 左腕につける由来ともども、厳密な起源は不明といった感じでしょうか。









