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ブレザー制服/ スクールブレザー

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公立学校からブランド制服時代を経て学生服を席巻するスクールブレザー

ブレザー制服  「ブレザー制服」「スクールブレザー」 は、一般的なスーツスタイルの上着を持つ学校指定の 標準制服 の一種で、もっぱら女子学生向けのスタイルとして我が国では定着しました。

 ただし現在のような典型的なスーツスタイルになる前は、ジャンパースカートと組み合わせる襟なしの単なる羽織着のような感じで、男子の制服が詰襟中心の時代に セーラー服 などとはまた違った、略装的な軽装スタイルとして確立したものでした。

 これは、男子が詰襟を上着とし、中に着用する安価なワイシャツを毎日自由に取り替えられるのに対し、上着と中着が一体化した豪華で高価セーラー服では、とりわけ夏場などに洗濯などによる着替えに不都合をきたす場合があったためで、一部の例外を除き、公立校で広く採用されることになりました。 これにより、女子も安価なブラウスを自由に着替えることが可能になりました。

 なおこうしたスタイルの学校はイギリスの名門校などに元々多く、日英同盟の結ばれていた時代から、詰襟、セーラー服などとはまた違った広まり方をしていましたが、一気に広まったのは戦後になってからです。

入学希望者数を左右するほどのかわいい制服ブームとDCブランドの時代

 ブレザー制服が一躍脚光を浴びたのは、1970年代〜1980年代前半の 「つっぱりファッション」 時代を経た1980年代中ごろのことです。 主な舞台は高校で、長めのスカートを引きずった つっぱり、ヤンキースタイルから一転、ひざ上スカートにハイソックスという 「かわいいスタイル」 が人気となりました。

ブレザー制服…!?
ブレザー制服…!?

 スカートの場合、「長くする」 のに対して短くするのには手間もお金もいりません (ロング化は制服の改造…というより新調が必要ですが、短くするぶんには、初心者のうちはお腹のところでスカートを折り曲げれば基本的にOK)。

 実は 80年代のつっぱりファッションによるスカートのロング化の前には ミニスカート が流行った時期もあり (60年代のツイッギーの時代ですね)、まさにファッションは繰り返すって感じです。

 つっぱりの長いスカートは 「大人っぽさの演出」 がつっぱり独特の様式美を加味しながら徐々にエスカレートしたものですが (当時はロングスカートが一般にも流行っていました)、ミニスカートも、まさに時代を反映したブームなのでしょう。

女子高生ブームと、「かわいい」 の時代

 このスカートのミニ化と同時に、更に折からのDC (デザイナーズ・キャラクターズ) ブランドブームを背景に次々とかわいい制服にリニューアルする学校も続出。

 ブームの発火点であり牽引したのは東京などの私立高校ですが、CI や SI (コーポレーティッド・アイデンティティから転じた、スクール・アイデンティティ) とも呼ばれるブランド化は、それまでの真面目・清潔・活動的といった保護者向けのテイストや、1世代前までの若者に人気を得ていた渋い・かっこいい・シック・大人っぽい、などではなく、ひたすら女の子向けに 「おしゃれ」「カワイイ」「キュート」 が絶対正義となる時代の到来を告げる出来事でした。

嘉悦女子高校がタータンチェック柄の可愛い制服で大人気に…

 なおこの波は、東京都の嘉悦女子高校が制服をタータンチェック柄の可愛らしい制服に一新したことにより、その年から入学志願者が激増したことがその発端のひとつとされています。 今でこそ、タータンチェック柄の制服など珍しくもありませんが、当時としてはきわめて斬新なものでした。

 嘉悦女子高校は、1903年 (明治36年) 10月に嘉悦孝 (孝子) が東京商業学校校舎の一部を借りる形で設立した私立女子商業学校を前身とする、日本で初めての女子を対象とした商業学校です。 同じころ日本の 商業 発展のために活動していた渋沢栄一も支援を行い、顧問として発展に尽力します。 キリスト教の女性宣教師によって同じ明治期に設立された女子校とはまた異なる経緯で生まれた、名門女子校といって良いでしょう。

 当初この新しい制服は 「華美だ」「制服っぽくない」 などと批判する人たちもいたようですが、当の女子生徒たちからは熱烈に歓迎され、その後の日本の制服のみならず、JC (女子中学生)JK (女子高校生) といった年代の女の子のファッションスタイルに極めて大きな影響を与えました。

 同校は2013年になり学園全体の再編などに伴い、「かえつ有明中学校・高等学校」 と名称変更して所在地を移転し、また女子校から併設型の男女共学 (男女別編成) となります。 タータンチェック柄のスカートも今の目から見るとむしろ 地味 な印象すら受けますが、現代の日本人、あるいは海外の人たちが感じる 「日本の女生徒っぽさ」 を形成したとても大きな存在として認識されるでしょう。

空前の 「女子高生ブーム」 により、ブレザー制服にも注目

制服に定番のリボンタイ
制服に定番のリボンタイ

 同時代、女子高生を中心としたメンバーが集うアイドルグループ 「おニャン子クラブ」 が大人気となり、いわば女子高生そのものがブランドかのような 「女子高生ブーム」 も生まれていました。

 彼女らが実際に身に着けている制服は女性だけでなく男性からも支持され、それまでの公立中学などのジャンパースカートスタイルから、おしゃれな DCブランドのブレザー制服などが次々に登場しました。 この頃からジャンパースカートとは無関係に完全なスーツスタイルのブレザー制服が普及し、また独特の進化を遂げていきます。

 胸元の飾りとしては、ジャンパースカートの時代には何もつけないか、もしくは ネクタイ (幅広の棒ネクタイ) 、紐タイ (紐ネクタイ) などが主流でしたが (公立高校などではネクタイスタイルが一世を風靡していました)、 リボンタイ (結ぶ必要のない簡易脱着できるスナップ式の スクールリボン として独自に進化) がこの頃から勢いをつけてきます。

 リボンタイ自体は歴史も古く、またセーラー服と組み合わせたものもありましたが、ブラウスにスクールリボンの組み合わせはまさに強烈で、今では女子高生の代表的なスタイルと云っても良いほどの広まりを見せています。 着こなし的には襟元でしっかり止めるのではなく、首周りを緩めてダラリとぶら下げる感じが多いですね。 当初はギャル系の着崩しみたいな感じでしたが、気取らず真面目過ぎない独特な 抜け感 もあって、現在はむしろそちらが多数派のようです。

 なおブレザー制服が広まり様々なバリエーションが出る中で、主に胸飾り部分の種類と合わせた形の分類も行われるようになっています。 ネクタイ+ブレザーなら ネクタイブレザー、リボン+ブレザーならリボンブレザーが代表的です。 ノーネクタイならノーネクタイブレザーやノータイブレザー、開襟シャツなら解禁ブレザーみたいな呼び方をする場合もあります。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2015年10月20日)
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