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鬱展開

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救いがなく果てしなく落ち込む… 「鬱展開」

 「鬱展開」(欝展開/ うつてんかい) とは、救いがなく気分が暗くなる、虚しくなる、悲劇的・破局的で落ち込んでしまうような物語の展開のことです。 後で一発逆転、どんでん返しとなってハッピーエンドとなる場合もあれば、そのままバッドエンドとなってしまう場合もあります。

 鬱展開作品といえば、途中経過とエンディングを含めた作品全体の傾向を指す言葉として使われます。 それぞれのディティールは、鬱描写とか欝要素と呼びます。 またバッドエンディングの場合、とくに欝エンドと呼ぶ場合もあります。 なおここでいう 「鬱」 とは、うつ病のことを指します (後述します)。

ヒーローの目的は成就せず、希望は絶たれ、次々に登場人物が死亡…

 アニメマンガゲーム、小説や ラノベ などの創作物における鬱展開の場合、登場人物の目的 (悪を倒す、世界を救う、など) が成就せず、努力したのに全てが無駄になりあらゆる希望が絶たれるなどの絶望的な展開があります。

 またそれに関連し、キャラクター の身に次々と不幸が振りかかり、イジメを受けたり病気になったり、事故に遭う、死んでしまう、虐待 される、陵辱 (レイプ) される、さらには主人公やヒロインの明るかった性格が次第に歪み醜悪になって行くなど、「そんなの見たくなかった…」 といった悲惨な展開が多くなっています。

 こうした救いのない展開は、最後にどんでん返しのハッピーエンドとなった場合に、その落差から大きなカタルシス、爽快感を見る者に与える効果があります。 しかしほとんどの場合、死んだ人は生き返りませんし、途中の悲惨な状況が 「消えてなくなる」 という訳でもありません。 病気や怪我なら治った、回復したとの明るい解決もありますが、死や陵辱などは不可逆のものとして、特に鬱展開が苦手な人からは嫌われる要素でしょう。 その意味で、たとえ結末がハッピーであっても、途中の度を過ぎた悲惨さ、鬱な展開も苦手とする人が少なくありません。

賛否両論、しばしば大きな話題ともなる 鬱展開の作品

 ところでバッドエンドの作品の場合、予定調和的な単なるハッピーエンドに比べて隠されたメッセージや問題提起を行い易い場合が多く (怒りや悲しみだけを見る者にぶつけて、その前向きな解決を作品中で提示しないで見た人に考えさせる)、いわゆる 深読み を行わせ、なにやらシリアスで 「高尚」 なイメージを持つ人もいます。 娯楽としての価値は悲劇も喜劇も同じはずですが、悲劇の方が受け入れられにくい状況もあり、「分かる人にはわかる」 といったイメージが付きやすいのでしょう。

 しかし一方で、制作者側の好みや趣味を投影しただけでストーリーとしての回収を放棄した独りよがりな作品や、見る者に不快感や絶望感を与えるのだけが目的化しているような作品もあります。 人を笑わせたり感動させることに比べると、ただ不快にさせるのはずっと簡単なものです。 しかもそれによって強烈な印象やインパクトを与えやすいので、安易に作られがちなケースもあります。

 一般的にはハッピーエンドの方が見ていて心よいですし、広く好まれる場合が多いのですが、時代性を映しだすドキュメンタリー的な作品や、世の中が 殺伐 としているような状況では、むしろ物語の中に悲惨な地獄を作り出すことで、それを見た人が現実世界と比較して慰めを得られたり、屈折した爽快感を覚える場合もあるでしょう。 また殺人や暴行、狂気などを通じて、やっと人間の本質をえぐり出すことができるという一面もあります。 見る者の心持ち、気分によっては安易なハッピーエンド以上の感動や奥深さ、余韻を得る場合もあります。

 笑うこと、感動で泣くことには、大きなストレス解消の効果があります。 気分が塞いでいても、感情を表に出し、笑ったり泣いたりすることでそれが晴れたり、爽快感を覚える場合もあるでしょう。 鬱展開は普通は落ち込む一方ですが、そこに欺瞞のないあけすけなメッセージや良い意味での 「毒」 を感じ、そうした表現がえてして忌避されがちなこともあり、逆に効果の高い表現様式として強く支持する人もいます。

鬱展開の元ともなっている鬱病と鬱展開

 「鬱」(欝) とは気分障害のひとつで、強い不安や焦り、悲しみや絶望感を覚え、憂鬱な心持ちから社会活動能力や精神活動が低下し、さらには食欲がなくなり不眠症なども起こすという、難しい精神疾患のひとつです。

 その症状は、ちょっと気分が落ち込む、元気がなくなり物事に対する意欲がなくなるといった軽微なものから、仕事や学業だけでなく何もかも手に付かない状態となり、さらには自殺を考えるなどの重度のものまで様々です。 本人にとっては非常に辛いものですが、外から見るとわからないケースも多く、また当事者以外にはなかなか理解されず、うつ病という病気が存在することが広く知られるようになる前は単なる性格の問題とされるなど、怠け病とか暗い人などと揶揄されるだけの存在でした。

 その後日本でも、著名人のうつ病による自殺や苦しみの告白、患者数の増加やうつ病患者らによる啓蒙活動などにより深刻な症状などが広く紹介され、認識は徐々に改められています。 しかし初期の頃は前述した 「単なる性格の問題」「怠け者の弁解」 との無理解による誤解のまま 「鬱病」 の名前だけが一人歩きして拡散。 「気持ちが暗くなる、落ち込む、塞ぐ、がっかりする」 などの気分を表す日常的な比喩として多用されたり、揶揄の意味で使われるようになっていました (「今日は欝だ」 など)。

 「鬱展開」 も時期的にそうした空気の中で作られ、また使われるようになった言葉となっていますが、気楽に使われる一方、うつ病に対する侮蔑や差別的な意味はほとんどないので、「鬱展開」 という言葉それ自体に過剰反応して 「差別的な言葉だ」 とまで批判するのは行きすぎだとの認識を持つ人もいます。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2004年12月19日)
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