ある意味人気作品の宿命なのか…ドラゴンボール化
ドラゴンボール現象とは、マンガなどの登場人物の 「強さ」 のインフレのことです。 またはアニメの物語が連載中の原作に追いついてしまい、エピソードの引き伸ばしをしている状態、さらには人気が出たために無理やり原作の連載を続ける状態などを、こう呼ぶ場合もあります。 語源はもちろん、週刊少年ジャンプ(集英社) に連載され、アニメやゲームも大ヒットした鳥山明原作の同名マンガ 「ドラゴンボール」 に由来します。
かつての強敵がザコ敵に…パワーのインフレ
強さのインフレ、パワーインフレーション、パワーエスカレーションに関して云えば、ドラゴンボール以前の作品にも当てはまるものがたくさんあります。 一時期人気のあったガキ大将学園ものなどの場合は、最後には主人公の何倍もの身長がある巨人のような敵番長がお約束のように出ていましたし、バトル漫画、スポーツ漫画に限らず、多くの漫画が困難に打ち勝つこと、自分より強いものと戦って成長することを作品のテーマとしている以上、これはやむを得ない点もあります。 強敵と戦った後に、弱い敵と戦う訳にはいきませんから。
まぁ映画や演劇のように最初から完結したストーリーとして全体をバランスよく考えられていればそんなことはないのでしょうが、マンガの連載は人気がある限り続くのが当たり前になっていましたので (しかもいつまで続くか分からない)、作者も不本意なストーリー展開になっているケースもままありました。
例えばドラゴンボールにおけるフリーザ様。 「私の戦闘力は53万です」 で読者を奈落の底に突き落とし、フリーザ自身にも第1形態、第2形態と進化があり、最終形態となった後にもさらに100%フルパワーという底知れぬおまけもつき、宇宙の帝王フリーザとの最強タイトルを与えられて登場。 主人公 悟空 と文字通り壮絶な死闘を繰り広げましたが、敗北後は体の一部をメカ化にしてさらにパワーアップしたものの、悟空どころかベジータの息子であるトランクスに、瞬殺されています。
一般的にはこうした 「強さのインフレ」 を指し示す場合に良く使われる 「ドラゴンボール現象」 ですが、前述した通りインフレが起こる原因が 「人気があるがゆえの無理やりな連載継続」 ですので、こうした連載継続状況を指し示す場合にもよく使われます。 多くの場合、ストーリーは迷走を重ねることもあり、否定的な意味で使われるケースが大半です。
一方、アニメのストーリーが原作に追いついてしまって、足踏みのための引き伸ばしをすることもドラゴンボール現象と呼びます。 パンチ一発繰り出すのに何分、敵一人やっつけるのに何話使うんだよ…みたいな感じでしょうか。 場合によっては野球中継によってアニメがお休みして一息つける場合もありますが、武闘や何かの試合とテーマにした作品の場合、原作の歩みは極めて遅くなり、現場もどうにも辛かったんだろうなという気はします。 ちなみにそれ以前では、スポーツマンガなどでこうした引き伸ばしが結構ありましたので、「巨人の星現象」 とか、「タッチ現象」 なんて呼ぶ人もいたようです。
付録
ドラゴンボールの連載が始まったのは 1984年の少年ジャンプ 第51号から。 以降、10年後の1995年 25号までの間に全519話が連載され、絶大な人気を得ました。 連載当初の評判は芳しくなかったものの、ファンタジックな世界観と、後に武術や武闘を全面に押し出したスリリングな展開に発展、鳥山の天性の絵の上手さなどもあり、前作であり大ヒットした 「Dr.スランプ」 をもはるかに凌駕する人気となりました。 単行本の発行部数は1億2,600万部を超え、大判の完全版やフルカラーのフィルムコミック、さらに海外で発売された各国語版などを合わせると、「正規のもの」 だけで3億部を超える作品となっています。
