高学歴・高収入・高身長揃ってこそ理想の男性? 「3高」
「3高」 とは、高学歴・高収入・高身長を指す言葉です。 1980年代から1990年代の、いわゆる バブリー な好景気期を中心に、女性が恋愛や 結婚 を前提とした交際相手の男性に求める理想、あるいは最低限の条件 (普通 の相手で良いの普通の条件) として使われていたもっとも広まった言葉のひとつでしょう。 同年代の若者向け雑誌を中心に、メディアなどで盛んに紹介されていました。
多くの若者にとって 「恋愛」 や 「モテ」 はいつの時代も重大関心事ですが、この時代はとくにそれが強調され、美男美女の若手俳優らが 出演 したトレンディードラマに描かれるようなおしゃれでリッチな恋愛模様は憧れの対象であり、デートマニュアル本が売れたり雑誌もデート特集を組むなど、ある種の恋愛至上主事のような景観を呈していました。 テレビでは恋愛バラエティー番組が人気となり、恋人いない歴=年齢 がギャグになり、高級車がデートカーとして飛ぶように売れた時代です。 そんな中で 「選ばれる男」 になるために必要とされたのがこの3つでした。 とはいえこれらはおおむね普遍的に女性が欲するものでもあるため、時代を下った後も形を変えたり優先順位が多少変化しただけで、依然重要なものとして扱われています。
これにもう2つ、「好みの顔か」「年齢は自分と近いか」 があり、これらへの要求も3高に劣らず重視されますが、そもそもこの当時の女性にとっては ルックス が好みでない 年の離れた 男性など選択肢にも眼中にも入らない場合が多く、3高以前の当たり前の大前提となっていたようです。 この部分は、異性と知り合う方法が友人の紹介や合コン、学校 や職場での出会いや ナンパ、あるいは結婚相談所だった時代はともかく、その後のマチアプ (マッチングアプリ・婚活アプリ) の登場でそれ以前の出会いとはけた違いの多種多様な多くの男性との接点が生じる中で、フィルタリング 対象としてより意識されるようにもなっています。
さんまる表現と恋愛・結婚に関する3〇
数字と何らかの テーマ にそった共通の言葉を組み合わせて略す言葉はたくさんあります。 「3〇」 みたいになるので、さんまる表現と呼んだりします。 3高の派生語としては3平 (平均的収入・平凡な外見・平穏な性格) があり、直接の対概念となる3低もありますが、こちらは (低学歴・低収入・低身長) の他、(低姿勢・低依存・低リスク) として使われることがあります。
低学歴・低収入・低身長はそもそも恋愛対象にならないと考えられているためか、該当する人物が 自虐 として用いる他は、後の低姿勢・低依存・低リスクの意味で使われることが多いかもしれません (時代を下ると前の方の意味の類似の 概念 として KKO (キモ くて金のない おっさん) とか弱男 (弱者男性) と呼ばれるようにもなりました)。 また同じような時代によく使われるようになったものに、過酷な労働環境を ネガティブ に指す3K (きつい・汚い・危険) などがあります。
結婚や恋愛に関してはこの他にも、3S (快適・コミュ力高い・協力的 (Comfortable・Communicative・Cooperative) とか、結婚相手に向かない職業の頭文字をまとめた3B (バーテンダー・バンドマン・美容師) や3S (消防士・スポーツインストラクター・整体師) などがあります。 バンドマンやスポーツインストラクターらが一般に チャラい と思われがちで浮気のリスクがあると考えられたり、仕事の都合で休日や勤務時間が不規則だったりして生活リズムが狂いがちの相手だといった意味で挙げられます。
とはいえこのあたりは雑誌やメディアが面白おかしく、かつ ネタ としてセンセーショナルに報じがちで、実際のところはあまり意味のある話でもないでしょう。 個人的には結婚や恋愛といった人生を左右するような分野の話でさんまる表現で何かを語ったつもりになったり、あるいは人や職業の価値判断をするような人や記事を真に受けても仕方がないし、真に受けてる人がいてもよほどおめでたい人だけでしょう。 さんまる表現とは違いますが、避けるべき 趣味 ワースト10とか職業10みたいな記事がたびたび ネット などでも バズ りますが、他人の差別感情やコンプレックスや怒りを刺激するのがバズりの基本とは云え、ちょっと浅ましいと感じてしまいます。
なおバンドマンにおいてもっとも恋人にしてはいけない3Bは、人気 マンガ・アニメ の 「ぼっち・ざ・ろっく!」(2018年・2022年) の伊地知虹夏によればベーシストとベーシストとベーシストです。 どうせならこのくらいネタとして分かりやすく笑わせて欲しいものです。
高学歴と高収入は交絡関係があるけれど、高身長の意義は
高学歴に関しては、人によっては高収入があれば問題にしないこともあります。 一流大学卒といった高学歴ならばおおむねそれなりの企業や公務員としてそれなりの収入は得ている可能性が高いでしょうし、実家だって子供の教育に熱心なそれなりの経済力を持つことが多いでしょう。 学歴と収入が内容的に交絡し、重複しているからです。
そもそも3高が話題となった当時は大卒が4人に1人程度 (1990年の文部科学省の学校基本調査では4年制大学の進学率は約24.6% (男性 33.4%/ 女性 15.2%) であり、半分以上が大学に進む2000年代以降とは学歴観も学歴相場もまた異なっていました。 ただし 病気 や 事故、性格的な拗らせなどなど、責任の所在はともかく何らかのアクシデントによって高学歴低収入となった男性に対する視線や風当りはかなり厳し目です。 また高収入であっても会社勤めや公務員ではなく起業していたり個人事業主の場合は、ある程度同じ価値観を共有するという意味で学歴が問題となることもあります。 なお国税庁の調査によれば、1990年の日本の平均給与 (年間) は 425万2,000円、大卒初任給は厚生労働省調査で 16万9,900円でした。
3高の中でも唯一の外見的特徴で、どんな時代にあってもまず外せない条件として上がるのは高身長で、これは統計上は面白いくらいほとんどの女性が気にするポイントです。 日本の男性の平均身長は年代によって異なりますが、成長がほぼピークに達する 17歳 時点で1990年代で男性170.4 cm、女性で157.9 cm、2020年で男性 170.8 cm、女性で158cmです (文部科学省の学校保健統計調査による)。 若い世代ほど高く高齢になるにつれて低くなる傾向がありますが、俗にいう 「最低でも170cm」 という基準は、平均身長がそれ以下の時代もそれ以上の時代も、ひとつの区切りとなることが多いようです。
もちろん高身長の女性は要求レベルが高くなるし、身長は気にしないという女性もいますが、統計的には非常に少ないことが分かっています。 なお戦後急激に伸びた身長は、ここ数十年間は横ばいか微増に留まっており、170cm程度というひとつの区切りは今後もしばらくはそのまま推移する可能性が高そうです。
人の外見を非常に大きな評価基準とすることは ルッキズム と呼びます。 これは 「面食い」 と言い換えることもできますが、顔の良し悪し評価は個人の好みも大きいものです。 もちろん大多数の人が 「整って いて美しい顔だ」「イケメン だ」 と思う顔は存在しますが、数値化するのは難しいでしょう。 身長は数値化が容易ですし、高学歴や高収入、年齢ともどもある程度の基準が明確化しやすいです。 実際に相手の男性と向き合っている時にどのくらいの女性が3高とやらを本気で気にして値踏みしているのかはわかりませんが、「人柄」「性格」 などと違い初対面でも確認できますし、ルックスが加齢によって衰えても身長が縮むことはまずなく、長年連れ添う結婚相手としては価値が目減りしない上に子供への好影響も感じられる優れた身体的資産価値なのかもしれません。 もっとも何らかの調査なりアンケートなりで 「相手に望むもの」 との問いに答えやすいのが3高なのかなという気もしますけれど。
当たり前の話ですが、実際に結婚している人の多くが、それなりの交際期間を経て相手の人柄や性格、価値観の 共有 や自分との相性によって結婚相手を決めています。 もちろん3高を満たしていてもどうしても 生理的に無理 という相手はいるし、出会った時点での 「足切り」 もあるでしょうし、無意識下での選別も当然あるのでしょうが、少なくとも本人は相手の中身で判断したと思っています。 一夜限りの アバンチュール ならともかく、恋愛でも結婚でも相手に対する何らかの思い込み、あるいはそれを魔法といっても良いかもしれませんが、それがないとなかなか最後の一線は踏み越えられないものです。
「3高」 に代わり安心・安全・安定の 「3安」 への変化も?
なお時代を下ると3高に代わって 「3安」 が求められているという各種調査があります。 安心・安全・安定 です。 前述した3低 (低姿勢・低依存・低リスク) にも近い考え方ですが、経済力や見た目よりも人柄や優しさ、趣味や価値観の一致や尊重し合える姿勢を重視し、長く一緒にいてもリラックスできる精神的な安らぎや癒し、平穏な生活を求めるというわけです。 これを経済優先のバブル時代から生活の不安を覚える不景気を経て現代の 「心の時代」 だと分析するのも安直ですが、恋愛ならともかく結婚となると、日々の安心感がより大切に感じられるのは当たり前でもあるのでしょう。 とはいえこれは、単に高学歴や高収入を生活の安心・安全・安定に言い換えているだけという気もします。 貧乏だったら平穏な生活もままなりません。
高身長は3安に含まれていませんが、各種アンケートでは年齢とともに依然として上位に位置しており、年齢ともども求める条件と云うよりは当たり前の大前提になってきた感もあります。 とはいえ平均が170cm前後ということは、当たり前の話ですが 雑 に云って男性のおよそ半数が平均かそれに満たないという話でもありますし、少し足りないくらいなら履いている 靴 などで余裕でカバーできる範囲でしょう。 昔と違って女性の ハイヒール も少なくなり、並んだ時に収まりが悪いみたいなことにもならなくなっていますし。 カバーできない場合は他の魅力で身長差を跳ねのけるしかありません。
ちなみに男性が結婚相手や恋人として女性に望むものは、1990年代は人柄と家事・育児能力、2020年代になると価値観の一致や一緒にいて安心できる居心地の良さ、加えて金銭感覚や経済的・精神的な自立を求める声も大きくなっています。 ただしもっとも重視するのは年齢であり、それと強く関連していると思われる子供を望む声も大きいです。 これは昔も今も変わっていません。 なお女性向けの3高にならって男性が女性に望む さんまる表現もいくつかありましたが、3高のような広まりもなく定着もしていません。





