あらゆる世界で様々な意味に使われる 「環境」
「環境」 とは、何らかの対象を取り巻く周囲の状況や条件、事情のこと、人や生き物の周りの状況のことです。 取り巻くものとの間に何らかの関係を持ち、直接・間接に影響を与えるものであり、外界の全てを指します。
例えばジャングルの動物にとっては生きていくジャングルが環境となり、その生物にとって快適な気候か、食料や飲み水は豊富か、さらに外敵の有無や仲間の存在や自分のポジションといった自然の状況や条件全てが環境となります。 季節が変われば環境も変わり、逆に環境が変わらずともその動物が老いたり病気・怪我で求める最適な条件が変われば生きていくのに厳しくなる場合もあります。
人間をはじめ社会性のある動物や生き物の場合、これら自然環境の他、同じ動物同士のコミュニケーションや助け合いの有無、組織のありなしといった社会環境なども重要です。 いずれもある程度はあるがままを受け入れることとなりますが、本人の意思で別の環境へと移動する、コミュニティの変化を促し自らに都合の良い環境へと変えるなど、操作が可能な場合もあります。
具体的にどんな カテゴリ の環境かを示すため、何らかの言葉を接頭する使い方もポピュラーです。 例えば生活のための環境なら生活環境、職場のそれなら職場環境や就労環境といった具合です。 単に環境だけの場合は、文脈にもよりますがおおむね自然環境を指すといって良いでしょう。 例えば環境破壊や環境問題と云えば、自然環境に対する人間の営為によって生じる様々な結果や脅威を指しますし、環境省と云えば一般的には自然環境を所管する省庁だと認識されるでしょう。
また本来は何らかの対象の周囲・外界を指して使いますが、問題を切り分けるために、内部環境・外部環境といった使い方もされますし、便利な 概念 や言葉なので使われ方も無数にあると云った感じです。
ゲームにおける 「環境」
おたく に近い 界隈 でやや特殊な使われ方をするものとして、ゲーム における様々なプレイ条件を指す概念としての 「環境」 があります。 ゲームには プレイヤー がどうプレイするか、それをどう結果に反映するか (行為判定) のルールや仕様、設定、条件があります。 環境はそれらルールや仕様などを指し、有利にゲームを進めるためには、その環境下での最適解・最善手となる キャラ や ユニット (機体) がおのずと選ばれるでしょう。 これらはその環境における最強の存在として、「環境キャラ」 とか 「環境機」 などと呼ばれます。
単に最強は最強で良いのに、わざわざ環境最強や環境と呼ぶのは、長く続くゲームや ネトゲ では、ルールや仕様といった環境が途中で変更されたり調整されたり、プレイヤーが特定の環境下に特化した攻略法を新たに編み出すなどして、異なる環境下では最強ではなくなることもあるからです。 すなわち環境最強とは、変化のあるゲームにおけるある時点限定の相対的・時限的な最高の強さの意味となります。
カードバトルのように次々に新しいカードが追加され、新旧様々な複数のカード (キャラや武器) を複雑に組み合わせて戦うようなゲームの場合、ちょっとした追加要素でバランスが崩れてしまうことがあります。 その調整のためにゲーム内でのルール・仕様の変更は頻繁かつ時に大胆に行われます。 それは特定のカードや能力・効果の変更に留まらず、しばしば使用禁止・廃止なども含む強力かつ大幅なものです。
同じゲームのプレイヤー同士でも、現在のプレイヤーとそれ以前のプレイヤーとでは、まるで 別ゲー のように話が噛み合わないことがあります。 ルールや仕様が違っている状況では仕方がない部分もありますが、その時点での最適解を示す意味で使われる環境は、攻略情報や雑談などが変更に合わせて更新されながら長期間にわたって扱われる中で、とても便利な概念や言葉だと云えるかもしれません。 「○○は最強」 という情報は時期が違うと 「はぁ?」 ですが、「2015年春環境」 とか 「第20回大会環境」 とか 「○○ イベント 環境」 と云えば、どの時点のどのようなルール・仕様下での最強 (最適解) なのかが分かりますからね。
こうした使い方はゲーム以外でも、スポーツや格闘技、何らかの競技の世界などでもよく使われます。 ルールやレギュレーションが変われば、最適解や強さの基準、過去・現在の記録の相対的な価値や重みも当然変わるからです。 環境という言葉自体が普通の日本語なので、こうした使い方は当然昔からあります。
なおコンピュータゲームなどでゲームソフト (プログラム) がちゃんと動くかどうかの条件を環境と呼ぶこともあります。 パソコンの OS は何か、CPU やグラフィックボードや記憶媒体・メモリの種類や性能 (スペック) であらわされ、動作環境とか プレイ環境 といった言葉で呼ばれます。 自分の環境がそこに達していない場合ゲームは動作せず遊ぶことができません。 またそれ以外の制限 (例えば年齢とか自分が住んでいる国 (おま国) などをひっくるめて おま環 (お前の環境が気にくわない) と表現することもあります。
自己啓発セミナーやマルチ商法などにおける 「環境」
環境は一般の言葉であり、大まかな概念は共通しつつも、とても広く様々な意味で使われる言葉です。 その中でも特異なケースとして、自己啓発セミナーやマルチビジネス (MLM)、カルト宗教、さらには詐欺グループにおける 「集まり」「グループ」「チーム」 といった特定の人的ネットワークを指す使い方があります。
通常こうした集まりは、団体名や集いの呼称として何らかの固有名詞がつけられることも多いものです。 会社なら法人名がありますし、任意団体でも 「○○会」 みたいなグループ名やチーム名がつけられるでしょう。 しかし自己啓発やマルチ、カルト、詐欺などでは、特定の名前をつけると ネット などで簡単に 特定 されて悪評が広まってしまいますし、炎上 が生じたり、消費者センターや警察に通報されたり目をつけられる事だってあるでしょう。 これではせっかく人を 騙し てお金を捲き上げようとしても難しくなってしまいます。
そこであえて特定がされやすい固有名詞をつけず、あるいは法人名などがあっても隠して組織ではなく個人のつながりの形を取って、環境とか集まり、場、事業化集団、人脈といったあやふやな一般の言葉で表現して、ネット検索から逃れたり特定されるのを防いでいるのですね。 また一部の反社会的勢力 (反社) や半グレと呼ばれるような暴力団未満のゆるやかな犯罪組織なども、特定の名称を持たずにこうした言葉で自らをあらわすことがあります。 名前がなければ実態を隠しやすくなるという訳です。
このあたりの言葉の使い方はネットの普及とともにより強くなっている部分もあります。 リーダーや幹部のような最上位の存在同士はそれなりに強固に繋がっていて、当然ながらお金の流れなどもある程度コントロールはしていますが、それ以外の人間やその周囲は個人的なつながりがあるだけで、全体では組織的なまとまった動きはさほどしません。 参加している者がゆるかにつながってその都度都合の良いものが個別に集まったり離れたりを不規則に繰り返しているだけで、全体を把握するのが非常に困難になっていることもあります。
ちなみに何らかの トラブル を起こして警察沙汰になるとテレビや新聞で報道されることになりますが、この場合も全体を指す固有名詞がないため、「元○○メンバー」「○○を中心とするグループ」 といった、具体名のないあやふやな呼び方となります。 こうした報道のされ方を見れば、それがどんな性質の集まりかが想像できるかも知れません。 友人知人などから紹介や勧誘を受けると断り切れないこともあるかもしれませんが、犯罪行為に巻き込まれないためにも、近づかないようにしましょう。
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