同人用語の基礎知識

追悼商法/ 故人商法

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やけに手回しが良くないか…「追悼商法」

 「追悼商法」 とは、歌手や俳優、タレントや作家などが亡くなった際に、「追悼企画」 として行われる 商業 活動一般を、批判、侮蔑的に揶揄する言葉です。 似た言葉で 「故人商法」 とか、「他人の 不幸 で飯が旨い」 という意味のネットスラング メシウマ から、「メシウマ商法」 などとも呼びます。

 もっとも多いパターンは、それら有名人が 病気 や事故などで亡くなった時に、書店やレコード店 (CDショップ) などが店舗ごとに行う追悼コーナー (祭壇) の設置でしょう。 亡くなった人が多くの ファン に親しまれた人気のある有名人であればあるほど、その死は大きなニュースとしてテレビなどで頻繁に報道されますし、その訃報を見て 「もう一度あの歌を聴きたい」「あのドラマを見たい」「本を読みたい」 と昔を懐かしむ元ファンが大勢いますから、ある意味で 「宣伝費が無料のおいしいビジネスチャンス」 とも云えます。

 事故死のように突発的な訃報ならばともかく、ガンなどの難病になっているのが知られていたり闘病生活が長い有名人なら、「事前に準備」 もできてしまいますし、あまりに手回しがよく大げさな 「追悼フェア」 が催されると、熱心なファンほど 「まるで人が死ぬと金儲けができると喜んでいるようだ」 と憤慨し、批判的に見る場合もあります。

 とくに 「追悼企画」 と称した新商品や記念商品などが、既存の商品の焼き直しのくせに安っぽい追悼ブックレットなどを同梱して 「ぼったくり価格」 で出ると、ファンの気持ちも複雑なようです。 なおこういったことをきっかけに故人の作品などがたくさん売れることは、「追悼特需」 などと呼びます。

ネット通販の登場で、「故人商法」 も迅速化

マイケルジャクソン追悼企画
amazon のマイケルジャクソン追悼企画

 こうした 「人の不幸を飯の種」 にするような商売を嫌う空気は、昔から根強いものがありました。 また追悼商売をするにしても、喪に服す意味で亡くなってからしばらく間を置くなどの配慮が昔はそれなりにあったものですが、近年ではそういった配慮はほとんどされていない状況があります。

 マスコミ取材などで 「特需」 を見込んで店先に関連商品を並べる店員などがホクホク顔だったりすると、一部のファンらの悲しみ、追悼気分に水を差すのは間違いないでしょう。 とりわけ ネット の通販サイトなどの 「立ち回りの素早さ」 はすさまじく、当日どころか亡くなったとの第一報のほとんど直後に追悼フェアページがネット上に登場する場合も少なくありません。

 また業者だけでなく個人の元ファンが、ネットオークションなどに関連グッズなどを大量に出品するのも、「便乗して不用品の在庫一掃セールをしている」 のように受け取って不快感を覚えるファンもいます。 とはいえ、これはある程度仕方のないところもありますから、ファンの側も 「これで押入れに眠っていていずれ捨てられる運命だったグッズが世の中に出回り、本当に好きなファンの手に渡るので、むしろ好ましい」 という意見も多かったりしますが。

 まぁネットの時代となり、有名人が亡くなると、ここぞとばかり追悼意見ばかりが 掲示板ブログ に出てくるのも、「今の今まで忘れていたくせに何だ」「悲しんでいる自分に酔っているだけじゃないのか」 と、昔からのファンで批判的に見る人もいますし (しかもそういう人のブログに、ちゃっかり追悼企画の通販サイトへの アフィリエイトリンク が貼られていたり…)、ここらは難しい意識の差、温度差ですね。

人の死…悲しいけれど、昔に自分を戻してくれるタイムマシン

 「昔はファンだったけど、今はもう何十年も活動を追っていない」 という 「元ファン」 にとっては、再びその有名人の作品に触れられ、同時にその有名人のファンだった頃の昔の思い出や あの時の笑顔 なども蘇って懐かしいものです。

 そもそもよほど悲劇的な不慮の死でもない限り、人の死やお葬式などには、関係する人たちがそれをきっかけに同窓会的に集まって過去を懐かしみ、昔話に花を咲かせる意義もあります 。 悲しみと涙だけでなく、楽しみと笑顔も、葬式にはつきものなんですね。 大往生ともいえる長寿高齢者の死などはサバサバとしたものだったりしますし (もちろん、ちゃんと悲しいのですが)、実際に葬式などに行き慣れている ある程度以上の年代の人と、そうでない若い人との間で、「追悼」 とか 「葬式」 などの認識にかなりのギャップがありますね。

 追悼商法という商習慣そのものが 「悪徳商法だ」 とは思いませんが、あまりにあざとい、あさましいのは、やっぱり卑しく感じられ嫌われる傾向がありますね。 このあたりは時代と共に移り変わりながらも、その時々のバランスが大切なのでしょう。

「ドッキリ」? 「ラ王」 の追悼キャンペーンで一部ファンが激怒?

ラ王追湯式典特設サイト
ラ王追湯式典特設サイト
2010年7月30日
ラ王、始まる特設サイト
ラ王、始まる特設サイト
2010年8月24日/ 発売は9月6日

 上記のような通常の 「追悼商法」 ではありませんが、ネット 界隈ネタ として話題となった 「追悼商法」 に、2010年7月〜8月の日清食品のカップ麺、「ラ王」 の販売終了と販売再開のキャンペーンがあります。

 2010年7月、腰のある生タイプ麺で人気を博していたカップ麺、「ラ王」 の販売終了を発表。 日清では追悼の特設サイトを立ち上げ、ラ王を長年愛食していた別れを惜しむファンらと共に追悼イベント 「追湯」(ツイートウ) を行うキャンペーンを行い、ネット界隈で話題となっていました。

 その後イベントは終了しましたが、1ヵ月もたたないその直後に生タイプ麺ではないノンフライ麺の、「新ラ王」 としてブランドが復活。 「王位継承」 と称したPRを開始すると、これに対し旧ラ王と別れを惜しんだ一部のファンが激怒。 「ただのリニューアルじゃないか」「リニューアルと云うか別物に同じ名前つけるな」「追悼商法かよ!」「アイドルの 引退 詐欺みたい」「ず〜っと閉店セールやってる店みたいだな」「新手の 品薄商法 か」 などと苦情が殺到し、日清は謝罪に追い込まれる事態に。

 日清側では 「ドッキリ大作戦」 の ノリ で盛り上げるつもりだったのでしょうし、旧ラ王の追悼キャンペーンの時点で、サイトに書かれていた説明文の ニュアンス や、生産終了する商品に大予算をかけたキャンペーンをわざわざ行っているなどから、「近いうちにリニューアルしてでるんだろ」「ラ王ちゃんは、やめへんで〜だろ」「普通に リニューアルのためのキャンペーンだろ」 なんて覚めた意見もありました。

 しかし事情を良く知らないファンらによる商品の買いだめやネットオークションでの価格の高騰などもあり、騒ぎに便乗して騒ぐ ネット住民 を巻き込み 「やり方があまりにあざとい」 との不満があちこちで書き込まれる事態となりました。

 まぁこうした騒ぎも含め、キャンペーンを企画した広告代理店的には 「よい宣伝になりました」 といった感じなのかもしれませんが、もうちょっと反発を買わない方法はなかったのかと考えるファンもいたようです。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2005年4月15日)
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