同人用語の基礎知識

これはだめかもわからんね

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史上最悪の航空機事故から生まれた言葉です

 「これはだめかもわからんね」 とは、先行きが暗く状況が改善する見込みのない時、絶望的な状況に際して発せられる諦めのセリフです。

 語源は、1985年 (昭和60年) 8月12日に発生し、死者520名、負傷者4名もの被害者を出した日航ジャンボ機の墜落事故、「日本航空123便墜落事故」 において、神奈川県相模湖上空を飛ぶ事故機の機長が操縦席で18時46分に発したセリフ、「これは駄目かもわからんね」 を由来とします。

 事故の際のコックピットや客室などの機内の様子は、地上の管制室の交信記録や、航空機に搭載されたボイスレコーダー (CVR/ コックピットボイスレコーダー/ 堅牢で事故の際にも録音が残り、事故原因などを探るための記録装置) の録音記録などからうかがい知ることができます。

 事故後公開されたそれらのデータの中に、機長と副操縦士や航空機関士らとの会話の内容があり、そのうちでも特徴的であったこのセリフが、しばしばネットなどで 「絶望に対する表現」 として、「これはもうだめかもわからんね」 や 「もうだめかもわからんね」 などと形を変えながら使われるようになりました (報道の際のテロップにも複数のパターンがありました)。

当初フライトレコーダーの記録は文字で伝えられました

 記録の中には 「これはだめかもわからんね」 のほか、副操縦士の返事 「はい」 に対する機長の 「はいじゃないが」 や、「頭下げろ」「どーんといこうや」 などの発言もあり、このうち 「どーんといこうや」 は、マスコミで文字として報じられると機長他、クルーへの批判に使われるケースが当時のマスコミでは、とても多かった印象があります。

 また副操縦士が機長への昇進訓練のために機長席に一時的に座っていたことや、定刻より12分遅れの離陸だったのも強烈に叩いていました。 これは原因がはっきりしない中、機長ら操縦クルーの 「操縦ミス」 あるいは出発時間遅延による焦りからの無理な操縦などの疑いが強くマスコミから示唆されていたので (実際は操縦ミスはなかった)、ましてや 「どーんといこうやとは何だ」 と云うわけです。

 これらの批判や、「真実の公表を」 との遺族らの訴えもあり、ボイスレコーダーの音声データそのものが後に公開されました (それまでは文字や、再現フィルムのような形では報道されていましたが、実物の録音データが公開されたのは、ずいぶん後になってからでした)。

 また事故原因 (この航空機がこの事故以前に起こしていた 「尻もち事故」 の修理に不手際があり、結果、尾翼がもぎ取れた上に操縦のための油圧系が全て破損しているという異常事態により完全にコントロール不能となった) なども事故直後から徐々に明らかになりなりました。

完全にコントロール不能になった機体を、それでも諦めずに必死に操作

 結果、「最後の最後の最後まで、絶望的な状況であっても自らを鼓舞し、決して諦めずに機体のコントロールをしようと必死に取り組んでいた機長やクルーの姿」「まるでジェットコースターのように激しく揺れ動く機内で、自らの危険を顧みず、恐怖に怯える乗客に命がけの対応をした客室乗務員の姿」 が浮き彫りに。

 そして 「命の危険が差し迫っているにも関わらず、残した家族に思いをはせ、また最後まで冷静に対応した勇気ある乗客たち」(さらに、自らの保身しか考えていないように思えた日航幹部社員の不誠実な遺族への対応) などにより、プロとして乗客の命を守るためにやるべき仕事を全てやり切った機長らクルーによる、世界でも稀な重大事故の貴重な肉声の記録として、現在は認識されているようです。

正直、冗談で使えるような言葉じゃないです…

 言葉自体は、事故当時に繰り返し報道に使われたことにより、ある種の 「流行語」 のような形になっていましたし、事故の大きさによるインパクトがあり、さらに5年後、10年後、あるいは 20年後などの節目にテレビで特集番組が組まれるなどして、ネットの中でも 「パソコン通信」 の時代 (1982年〜1998年頃) には、ある程度の定着をしていました。

 「阪神大震災」(大震災コピペ) などの災害に関するものもそうですが、ネット界隈の一部の人は 「不謹慎ネタ」 を面白がってことさらに使うケースがありますし、この言葉もそうした使われ方をする場合もありますが、事故から時間を経たこともあり、初出を知らずに 「ネットスラング」 としての 「これはだめかもわからんね」 を使う人も多いようです。

 大きな笑いを表す 「核爆」(広島・長崎を連想させる) などもそうですが、大勢の被害者が出ており、時と場合によってはネットスラングとして使うのも不謹慎だという認識のされる、とても難しい言葉です。 絶望をあらわす言葉には色々なものがありますが、あえてこの言葉を使う必要がないのなら、使わないにこしたことはないでしょう。 ただし一方で、命がけで乗客らの安全を守ろうとした機長の言葉を語り継ぐことで、事故の風化が防がれ、また事故を知らない世代にもこの事故の悲惨さを語り継ぐきっかけともなっています。

 この事故で被害に遭われた方々のご冥福を、心よりお祈りいたします。

航空機事故関連では、「機長やめてください!」 などというものも

 日本航空123便墜落事故の3年前、1982年2月9日にも、日本航空350便が羽田空港沖に墜落した事故がありました。 こちらは機長の異常行動による墜落事故で (機長は業務上過失致死罪により逮捕・起訴されたものの、精神鑑定により不起訴処分となった)、「日航羽田沖墜落事故」「日航逆噴射事故」 と呼ばれています。 123便事故の当初報道での、機長らクルーへの不信感やバッシングは、この事故抜きには考えられませんでした。 この事故では 24名が亡くなられています。

 この事故の際、機長の異常操縦 (逆噴射) を止めようとする副操縦士による 「キャプテン、やめてください」 や、機長の 「イネ、イネ」(去ね去ね/ あっち行け)、 あるいは 「逆噴射」 なども、当時はある種の流行語のようになっていました。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2004年4月20日)
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