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草の根BBSから大手商業ホスト局まで、無数に存在しました

 「パソコン通信」(Personal computer communication /Online service provider) とは、パソコンやワープロ専用機を 「モデム」 や 「TA」、「ルータ」、「音響カプラ」 と接続、通信プロトコルを利用し一般の電話回線などを通じて外部ネットワークホスト局に接続する事です。 略して 「パソ通」 などとも呼びます。

 パソコン初心者やネットワークに詳しくない人にとっては、いわゆる インターネット (www/ World Wide Web/ 正確には ネット の上のアプリケーションシステム) と区別がしづらいのですが、ネット接続をわざわざ 「パソコン通信」 と呼ぶ場合は、インターネット (ネットワークのネットワーク) が本格的に普及する以前、1985年 から 1998年頃までのテキストベースの通信 (ホスト局に対する閉じたネットワークへの接続) を指すケースが多いようです。

 内部はテキストベースの 電子掲示板 を中心としたコミュニティとなっていて、メール の送受信や チャット、ホスト側が用意した 「データライブラリ」(ファイルアーカイブ) へのバイナリデータ (画像やプログラムファイル) のアップロード機能やダウンロードが行えました。

日本でのパソコン通信の本格的な夜明けは、1985年です

 初期の実験的なパソコン通信は、ホスト局に接続を試みるユーザが音響カプラ (ファックスの時のピーガー音のような音声にデータ情報を音響変換する機械) を電話の受話器につけて音で接続するような不便なものでした。 当時はモデムどころか、電話機も自由に買い換えることができず、全てを電電公社から借りるというスタイルでした。

 そんな状況でも、1982年8月開局の 「Mac Event」 や、1983年4月、日本初のパソコン通信サービスと呼ばれる大阪のデータブレーン社による 「COM・COM」、1984年1月の 「千代田・常磐マイコンクラブ」、「Tele Star」 などが、新しいパソコンと電話線 (一部はアマチュア無線を使った無線通信) を使ったネットワークを模索していました。 1985年に電々公社が民営化しNTTが発足、大幅な 「通信の自由化」 がやっと行われ、電話機の自由な購入や取替え、パソコン通信用モデムの利用が可能となると、これを契機に、いよいよ日本でも本格的なパソコン通信の時代が始まりました。

 なおボランティア・個人の趣味ベースで運営される非営利の小規模なホスト局を一般に 草の根BBS や 「草ネット」 と呼び、ASCII-NETNIFTY-ServePC-VAN、「日経MIX」、「People」、「マスターネット」、「CompuServe」 などの大規模な営利ホスト局を大手商業ネットと呼んでいました。 実際はこの中間に位置する地方の中・小規模商用ネットや、逆に回線数 100を超えるような大規模な非営利のホスト局などもありました。

電話をかけるんです、ホスト局に…おかげで通信費がすごいことに

パソ通時代を本格的に切り開いたアスキーネット、1985年5月に開局
パソ通時代を本格的に切り開いたアスキーネット
1985年5月に開局

 インターネットと違うのは、それぞれのホスト局がほぼ完全に独立していたこと。 例えば 「ASCII-NET」 の会員は、同じ 「ASCII-NET」 の会員にはメールを送れますが、「NIFTY-Serve」 や 「PC-VAN」 の会員にはメールを送れません。

 現在のように他のプロバイダどころか、携帯電話やら外国のサイトの運営者宛やらにどんどんメールが送れるのとはまったく違っていました。 メールがそういう状況ですから、他のパソコン通信ホスト局の掲示板やらを外から見ることもできません。

 また原則的に利用者はパソコン通信ホスト局のアクセスポイントへ電話を掛けて (ダイヤルアップ) 接続することになり、当然ながら接続中は電話代がかかりました。 現在は、月に3千円も払えば常時接続でインターネット使い放題だったりしますが、当時は市内にホスト局のアクセスポイントがあれば3分間で10円、ない場合、例えば東京から北海道や九州のホスト局につなごうとすると、遠距離通話料金がかかりました (^-^;)。

 商業ネットならこの他に時間ごとの課金がかかる訳で (これもまた1分10円とか、時期や回線速度によっては1分間30円とかしました)、ちょっとアクティブに掲示板を利用したりチャットで遊んだりしたら、一ヶ月に課金電話代あわせて10万円オーバーなんて、わりとよくある話でした。

 NTTのことを みかか (キーボードのローマ字位置でNTTが、ひらがな位置で 「みかか」 になります) などと呼びますが、「今月はみかかに○万円もお布施しちまったよ…」 なんて愚痴が、当時は方々から聞こえてきたものです。 ちなみに筆者は最高の時で、月に 12万円くらい飛んだこともあります。

ハードウェアによっては、パソ通ホスト局ごとに様々な互換障害が

 またホスト局のパソコン通信ホストプログラムによっては、こちらとあちらのパソコンハードの違いによる機種依存も激しくて、MS-DOS パソコンと Macintosh、X-68000 なんかには、有形無形の互換障害がありました。 せっかく接続できてログを取得しても、文字化けしてまったく読めないとか、そもそも接続すらできないとか。

 さらに数万円もする音響カプラやらモデムのほかに、パソコン通信用のソフト (ウェブでいう、ブラウザのようなもの) を、これまたお店で数万円支払って買わなければなりません (フリーウェアのソフトも初期の頃から色々ありましたが、それをダウンロードするためには通信ソフトの購入が必要というジレンマがw)。

 いわゆる 同人 の世界で著名なところでは、後に商業化宣言を行った 東京BBS、多くの著名 CG 作家、フリーウェア開発者を生み出した CATCG・NET、東京BBSと並んで大規模だった 「ナツメネット」 あたり有名どころでしょうか。

 今にして思えば、ちょっと信じられないくらい不便な環境でしたが、当時はそれが当たり前だと思っていましたし、全国展開している大手ネットに会員登録すれば、それまでの手紙 (郵政メール) などと比べ圧倒的にスピーディーな情報のやり取りができましたから、当時は 「いやぁ、便利になったなぁ…」 なんて思っていたものでした。

代表的なBBS用ホストプログラムとクライアントソフト

 パソコン通信のホスト局を構築、運営管理するためには、ホストプログラムと呼ばれるものを利用します。 フリーウェアでは MASH の人気が高く、他にも 「KTBBS」、「RTBBS」、「WANI-BBS」、「VS」 などがありました。 市販品では、「FirstClass」 や 「BIG-Model」、「TeleFinder」 などがその代表でしょうか。 当然ですが、それぞれ操作系も異なり、対応する通信ソフトや回線接続状況にも左右されていました。 詳細は 草の根BBS の詳しい説明箇所にあります。

 ネットユーザや会員がホスト局に接続するために使うクライアントソフト (ウェブでいう、ブラウザのようなもの)は、大きなシェアを誇るソフトもいくつかありましたが、前述の通りホスト局によってコマンド体系が違っていたりして (自動巡回なんかはスクリプトをカスタマイズして使い分けたりしてましたが)、けっこう様々なものがホスト局ごとにあったものです。 大手商用ネットの場合、そのホスト専用の便利なソフトもフリーやシェアで様々発表されていて、評判を聞きつけては自分の使い勝手に合わせて選んでいたものです。

 フリーウェアソフトとして有名だったのは、「WTERM」 や 「KmTermX」(KTX)、猫の手スクロールが便利だった 「MopTerm」、「NinjaTerm」(知人のマカーが使ってました) あたりでしょうか。 有料販売されたソフトでは 「まいと〜く」 や 「CCT」 あたりの利用者が多かったようですね。 筆者は最初、「まいと〜く」 を MS-DOS で使ってました。 シェアウェア定番中の定番 「秀Term」 や 「AirCraft」 の利用者も多かったですね。

 筆者は草の根はあちこちに出没してましたが、大手商用ネットでは NIFTY-serve の利用者でしたから、途中で 「AirCraft(エアクラ)」 にした後、後半は毎年課金タイプの NifTerm (最終的にフリー化) を愛用してましたね。 そういや 「茄子R」 なんてのもあったなぁ…。 どのソフトにも一長一短があるし、それぞれは専門用途に特化したようなものが多かったので、フォーラムやシグの自動巡回はこれ、チャットはチャットアダプタがついてるこれ、みたいな使い分けもしてました。

自動巡回 (オートパイロット)

 前述した通り、パソコン通信はネットに接続するための電話代 (および、商用ネットなら時間毎の課金) がかかります。 要するに 「1分いくら」 の世界なんですね。 そこで極力ネットにつながってる時間 (電話をかけている時間) を少なくする工夫が様々とありました。 利用のメインは掲示板 (フォーラムやシグ) の巡回とメールの送受信でしたから、文章やらを書いたり読んだりするのは後で (オフラインといいます)、とにかくパソコンのクライアントソフトで

自動接続 → 巡回先自動巡回 (ログ取得) → 自動切断

をみんなさせていましたね。

 初期の頃はこのオートパイロット用のマクロ (スクリプト) を自分で書かないといけませんでしたが (まあテンプレートみたいなのもありましたが)、Windows の時代となってネットも身近になり、マウスなどで簡単に巡回先の登録などができる扱いやすいソフトウェアが次々に発売されるようになって、かなり便利になりました。

 1995年になって、夜11時から翌朝8時までは月額固定で登録先のアクセスポイント (電話番号) へつなぎ放題となる 「テレホーダイ」 というサービスがNTTから始まり、これで多少は料金負担も少なくなりましたが、やっぱりフォーラムなんかのログ取得は自動巡回でやってましたね。

亜美ちゃんねる (A3ch/ 亜美ちゃん寝る) なんてチャットも…

 ちなみにチャットはパソ通の時代にも人気があり、3分10円の電話代と1分10円の課金をものともせず、筆者もよくやってました。 当時うちのサークルでは 「亜美ちゃんねる」 (A3ch/ 亜美ちゃん寝る) というチャットの集まりを NIFTY-serve のチャットで開催していました (Aバンドの3チャンネルでした)。

 週末になると10人以上がダラダラと アニメ のヨタ話をしたり、テレビ番組の 実況 をしたり、当時放映されていて、うちのサークルの誕生のきっかけでもあるアニメ 「セーラームーン」 の感想などを話していました。 匿名チャットに 「霊魂チャンネル」 ってのがありましたが、あれに似た感じの 「全員亜美ちゃんハンドルチャット」 なんてもやってましたね…。

 今にして思えば、パソコン通信は もない、デザインもしょぼいと、インターネット時代のホームページや動画サイトなんかとは比べ物にならないほど地味な場所でしたが、当時はわくわくする 「新しい場所」 でしたね。 ちなみに我がサークル 《ぱら☆あみ》 は、パソコン通信時代の 「NIFTY-Serve」 を拠点としていましたが、うち鹿児島に在住のメンバーが、地元で草ネット “《ぱら☆あみ》BBS (鹿児島支店)” を運営して下さっていた時期もあります (現在はホームページにリニューアルしています)。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 1999年12月18日)
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