最強兵器とも呼ばれる 「ハイピング砲」
「ハイピング砲」 とは、UNIX 系の OS に含まれているシステム試験、診断用のツールの一種、「hping」 を転用し、特定のウェブサイトやサーバ、システムに対して DoS攻撃 を行うための負荷攻撃兵器、もしくはその行為のことです。
名称の由来ともなっている本来の 「hping」 は、高度な PING コマンドによる導通試験、ルータなどのポートスキャンやファイアウォールの接続試験を行うための診断ツールです。 しかし機能としてパケットを短時間に大量に送りつけることが可能なため、悪用した場合には、攻撃されたサーバやシステム、回線に高い負荷を発生させ、外部からの正当なサービス要求 (一般ユーザの接続など) を妨害し、通常のサービスが行えない状態にさせてしまいます。
元々 UNIX 系のツールなので、Linux や FreeBSD、Solaris といった UNIX 系の OS でのみ稼動しますが、Windows 系や Mac OS 系で稼動するバージョンもその後登場し、それぞれの導入方法を指南するようなサイトやコピペ素材化した文章 (テキスト) なども出回っているようです。
「田代砲」「アパッチ砲」、そして 「ハイピング砲」…やまぬ 「軍拡」?
この種のサイバー攻撃用のツールとしては、2001年12月末に登場した有名な 「田代砲」 とその改造版や、それとは出自が違うものの同じ意図で使われるようになり、後に 「田代兵器」 の一種とされている 「ゲイツ砲」「アパッチ砲」(アパチェ砲 (Apache Jmeter)「ガトリング砲」 など多種多様な兵器が存在します。
これらの兵器は出現段階では、それぞれがかなり強力な砲撃兵器だったものの、その後サーバを運営する企業なども対策に乗り出し、相対的な攻撃力は徐々に弱まっていました。 また日本でこれらの兵器を使う人たちが 「敵」 とする、韓国や中国などのネットユーザーらが、日本の 「田代砲」 や 「アパッチ砲」 を 「鹵獲」(ろかく/ 武器などを分捕ること、要するにコピー) するようになり、反撃も激化。
日本側では、より徹底した反撃のため、さらに強い兵器を求める一部の ネット の利用者が現れました。
2008年12月、フィギュアスケートの日本 優勝 をきっかけに
とりわけ 2008年12月14日、韓国で開催されたフィギュアスケートの国際大会、「グランプリ・ファイナル」 で、日本人選手、浅田真央選手がトリプルアクセルを2度決めて韓国のキム・ヨナ選手を下し逆転 優勝 すると、韓国の一部 ファン らが激怒。 日本の一部ネットコミュニティ (動画共有サイト の 「ニコニコ動画」 や 掲示板 の 2ちゃんねる) などに DDoS攻撃 を開始し、表示が重くなる、一部サーバが落ちるなどの被害が出ました。
日本のユーザも韓国側サイトに反撃を開始しますが、同じ頃に 「2ちゃんねる」 の運営側は一部ニュース系の掲示板に新サーバ3台を投入、その名称がよりによって 「takeshima」(竹島)、「tsushima」(対馬)、「hideyoshi」(秀吉) だったため、ほぼ全面戦争の状況に。 その後日本側では 16日になり、戦局に決定打を与え敵を焦土とすべく新兵器が登場。 それがこの 「ハイピング砲」(Windows で稼動する 「hping3」 の転用) なのでした。
それまでの 「田代砲」(連続投票ツールの転用で、ウェブサイトなどで URL を入力して実行するだけの、F5アタック のための自動ツール) や 「アパッチ砲」(負荷テストツールで、複数のソフトウェアやデータを ダウンロード して実行するもの) に比べ、はるかに利用する側の解決すべき技術的な敷居が高いのが 「ハイピング砲」 ですが、初心者向け導入のための wiki なども立ち上がり、情報やノウハウの 共有 が図られているようです。
なおこれらのツールを悪用しての 「攻撃」 は、相手が告訴すれば 「電子計算機損壊等業務妨害」 などの罪に問われます。
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