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動画共有サイト/ 動画投稿サービス

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「著作権無視?」「おたく養成装置?」 人気の 「動画共有サイト」

 「動画共有サイト」 とは、一般の ネット の利用者が自分で撮影・制作した動画 (ムービーファイル) をアップロードし、他のネット利用者に閲覧させたり、手持ちの動画を利用者間で保存、共有するためのサービスを行っているウェブサイトのことです。 カテゴリ としては SNS の一種で、「動画投稿サイト」 とか、それらを含めて 「動画共有サービス」 (Video Hosting Service) とも、アップロードされた動画の多くが違法 (後述) のため、結果的に 「違法動画サイト」 などとも呼ばれます。

 この種の 「動画」 もしくは音楽データなどを 「共有する」 というサービスの初期は、p2p 技術を使った ファイル共有ソフト などで出始め、実際の動画はファイルとして取得、そのファイルを探すキーワードやヒント (ハッシュなど) をウェブサイトの形で掲示し情報発信するタイプのネットワークとして広まりました。

 しかし商用の 版権もの の動画 (映画や音楽PV、テレビ番組など) が多く出回り 著作権 の問題が生じ敬遠されがちなサービスだったこと、広がり始めた 1990年代から2000年代初頭まではネットの回線もまだまだ貧弱で大容量の動画データをウェブ上で扱うには難があったことなどもあり、誰でも使える手軽なサービスにはなっていませんでした。

 またサービスやネットワークの大半が専用のソフトウェアをダウンロードしてインストールする必要があるなど使い勝手も悪く、前述した著作権問題があるためサービスの停止や情報サイトの移転も頻発。 いかにも アングラ なサービスといった雰囲気で、まともな人は近寄らない傾向がありました。

 こうした状況は2005年まで続きますが、アメリカで 「YouTube」 がサービスを開始し、日ごろ使い慣れているウェブブラウザ (Internet Explorer や Firefox など) でそのまま動画を投稿・閲覧できるようになると、その手軽さから利用者が爆発的に増えることに。 アングラな雰囲気はなくメジャーなサービスの振る舞いだったこともあり、気分的な抵抗感やハードルも低下。 その後一気に広まることになりました。

「YouTube」 の登場

YouTube
YouTube

 2005年12月から正式運営を開始した 「YouTube」(ユーチューブ/ ローマ字読みで 「ようつべ」) は、それまでの動画共有サイトの常識を覆し、専用のソフトもプラグインもユーザー登録すら必要とせず、いつものブラウザ上でそのまま動画が再生できる点が画期的でした。

 またアップロードした画像はネット向きの軽量なフラッシュファイル (.flv) に変換され、閲覧する場合にはダウンロードしながら同時に再生する仕様 (ストリーミング方式) となっていて、待ち時間がほとんど生じないのも魅力的でした。

 さらに動画をアップロードする場合にもユーザーが簡単な会員登録のみで行える仕組みを持ち、利用はすべて無料。 その動画へ レス としてコメントなどを書き込んだり、「タグ」 を使った動画の検索まで可能になるなど、その後の動画共有サイトの形を作り上げ広めたエポックといってよいでしょう。

 この種のインターフェースを持つサイトに、写真を共有する定番サイト 「Flickr」(フリッカー/ 2004年2月よりサービス開始) がありますが、これの動画版のような形で、「静止画像なみの手軽さで動画が楽しめる」 と、同年中にはアメリカで大きな話題となりました。 実際はシステムの便利さよりも、アメリカの人気テレビ番組 「サタデー・ナイト・ライブ」(NBC) の違法アップロードが起爆剤だったのですが、初期の頃は権利者削除などがほとんど行われず、「見逃した番組が見れる」 と ブログ などで次々に取り上げられたのが大きかったようです。

「YouTube」 に日本からのアクセスが急増

 ちなみに当時はまだ日本語版はありませんでしたが、日本語などの2バイト文字がタイトルなどに入力可能となっており、人気の 掲示板2ちゃんねる にあった 「ネットストリーミング板」(2005年10月7日) も2006年5月10日に 「YouTube板」(YouTube@2ch掲示板) に名称を変更。 盛んに他の板などでも告知がされ、日本からのアクセスが急増することになりました。

 日本に関しては2005年頃にはADSLなどのブロードバンド・高速回線が十分に普及していたこともあり、こうしたサービスを利用する環境が整っていたことも大きかったのでしょう。 日本語版が用意されていないにも関わらず、程なくして全利用者のトラフィックの半数が日本からのアクセスという状況となっていました。

「YouTube」 を利用した 「ニコニコ動画」(ニコ動) の登場と 「スマイルビデオ」

ニコニコ動画
ニコニコ動画

 2006年になり、「YouTube」 のサービスにマッシュアップ (利用) する形で、動画に字幕のような形でコメントを挿入できる 「ニコニコ動画」 が登場。

 字幕コメントは擬似リアルタイムの チャット のようなもので、翌1月には複数人が思い思いのコメントを付けられる形となり、人気が爆発。 テレビ番組などの 実況 (テレビなどを視聴しながら掲示板などで反応を書き込むこと) は パソコン通信 の時代から人気がありますが、「みんなで見ているようなワイワイ感が良い」 と、評判となったようです。

 しかしあまりのアクセス急増に、2007年2月23日にニコニコ動画経由のアクセスを 「YouTube」 が遮断。 それを受けて自前の動画投稿サイトとして 「SMILEVIDEO」 が誕生し、いよいよ日本でも本格的な動画共有サービスの時代が始まりました。 こちらの方は、あまりのアクセス急増に設備面が追いつかず、程なくしてログイン制のサービス、後には課金方式との併用となりました。

 なおこの頃には 「ニコ動」 のように字幕を入れるサービスとして、「字幕 in」 も 「ニコ動」 の影響を受ける形で運営を開始。 また後にアメリカ 「YouTube」 も、画面上に字幕のようにコメントを入れるサービス (それぞれに目的やテイストは異なっています) も登場しています。

専門性に特化したものを含め、2007年に類似サービスが大増殖

 これ以外の注目すべき動画投稿サービスとしては、「YouTube」 などと似たサービスとなっている 「Daily motion」「Google Video」、主にアダルト動画など 18禁 の動画などをやり取りする 「YourFileHost」(2005年6月〜/ 日本などアメリカ以外の国からのアクセスは制限つき) や 「YouPorn」(2006年9月〜)、専用のソフトやプラグインのインストールが必要ながら、大容量高画質でのアップロード・ダウンロードが可能な 「Stage6」(ステロク/ β版のまま2008年2月29日に運営を休止) や 「Veoh」 などがあります。

 2006年から2007年以降は、多くのポータル系サイトが自前の動画投稿サイトを持ったり、類似の動画サイトが無数に登場していますが、日本国内に関しては、「YouTube」 と 「ニコニコ動画」 の2強でほぼ利用者を二分しているといって良いでしょう。

 ちなみに 「YouTube」 は2006年10月9日に検索大手の 「Google」 が買収したとの発表がされ、その際の買収額 16億5,000万ドル (当時の日本円でおよそ2,000億円) は、大きなニュースともなりました。 自前で 「Google Video」 をすでに所有していた 「Google」 ですが、これによりネット上の動画シェアは5割を超え、およそ 60%弱に達しています。 これにより欧米のテレビ局や大企業、政党などがこぞって公式チャンネルを 「YouTube」 上に設置。 ネット動画の世界を大きくリードすることになりました。

「おたく」 関連の世界での 「動画共有サイト」

 この種のサービスは 「著作権法違反の違法動画のやり取りをされる」 という問題が避けて通れず、初期の頃はあまり表向き推奨するのははばかられる雰囲気がありました。 例えば ファンサブ と呼ばれる アニメ や特撮などの外国語字幕つきの動画などは、一昔前のように個々人が手渡しでビデオテープの貸し借りをする程度ならあまり問題にならなくても、世界中誰でも無料で視聴でき、数十万人が見るようになると状況も変わってきます。

 一方で、アニメや特撮、映画のオタクなどは、「実際に映像を見ないと話しにならない」 分野でもあり、ビデオ化やDVD化されていないような古いアニメやその関連動画 (テレビコマーシャルや報道映像、バラエティ番組や情報番組など) を見るためには他に方法がなく、実際に便利なこともあり、もはや無くてはならないものとなりつつあります。

研究会や同好会に所属しなくても 「お宝映像」 を簡単に入手

 映像ソフト化されず個々人の趣味で保存されているような動画に、有名な 「ウルトラセブン」 の第12話 「遊星より愛をこめて」 や、アニメ 「ポケットモンスター」 第38話 「でんのうせんしポリゴン▼」 のように様々な事情からオリジナルが見れない状況になっているものが少なくありません。 また俗に ヤシガニアニメ と呼ばれる放送時のオリジナルと映像メディア商品とで内容が大きく異なるものもあります。

 こういったものは、かつては大学やら地元の趣味の集まりなどで、膨大な映像 コンテンツ を記録保存している人がイベントなどで上映会を開いたり、「師匠」 扱いされてある種の 「徒弟制度」 のような形で先輩から後輩へ受け継がれていたものでした。 こうした 「再放送もメディア販売もされないもの」 は、「私的利用の範囲」 で個々人がデータを保存しないと消えてしまいますし、制作会社の倒産や事故によりオリジナルのフィルムやテープがなくなって、個人の記録に頼る状況もあります。

 これがネットで簡単に検索してすぐに見れるというのは、1970年代から1980年代にかけてのオタク事情とは、大きく異なっている点だといえます。 大学などの 「漫研」(漫画研究会や同好会) に所属せず、ほとんど実生活でオタクな人と絡むことなく、ネットの世界ではディープなオタクである 「新しい世代」 が1990年代に登場したのも大きな影響を与えていますが、動画だけでなく 「業界裏話」 などまで共有されるこうした状況が、相乗効果で加速している感じでしょうか。

 また映像作品を改変した MAD動画 が流行ったり、ゲームリプレイ、さらには 初音ミク などを通じて音楽同人が大きく盛り上がるなど、動画共有サイト登場の前と後とでは、オタク文化そのものの 「スピード」 が大きく変わった状況になっています。 IT によって世の中の速度が速くなったとはいいますが、とりわけネット利用によるオタク界隈の加速感は、ちょっとすごいものがあります。

著作権や知的所有権の取り扱いの 「曲がり角」

 「著作権」 の問題は、単に法律を守らないといけません…なんてキレイ事、建前の道徳や法律の話ではなく、自分たちの愛するアニメや映画、ドラマや 漫画 などのクリエーターが作品を作り続けるための適正な対価、本来受け取るべき報酬を失うかどうかの、「生活の問題」 だったりします。 みんながみんな、無料の動画共有サイトでお手軽にコンテンツを使い捨てしてしまっては、クリエーターが食べられなくなり、素晴らしい作品が今後生まれにくくなることにもつながります。

 現行の著作権法はほころびがますます大きくなっています。 マルチメディア の掛け声の下、映像も画像も文章 (テキスト) も音楽も、全てをデジタル化しパソコンに放り込んだ頃から、いずれこうなることは目に見えていましたが、技術の進歩に法整備だけでなく著作権に対する意識も追いついていない状況です。 正直、これで全て解決するという素晴らしいアイデアはどこからも出てきておらず、暗中模索している状況です。

 いち早くデジタル化の波に乗った音楽産業に関しては、「データそのものは簡単にコピーできるが、ライブやコンサートはコピーできない」 として、ショービジネスとしての実際の演奏活動に力を入れるクリエーターも増えています。 そもそも音楽に関しては 「演奏に対価を支払う」 というやり方がバッハやモーツァルトのクラシックの時代からの伝統で、「レコード」 や 「CD」 が登場して音楽を商品として大量生産し著作権で莫大な利益を得ていたここ100年くらいが異常だった、本来の姿に戻っただけだとの過激な意見もあります。

 映画産業なども映画館を改修してビデオや DVD では味わえない臨場感を大画面や音響、立体映像化などで行い、本来の観客からのチケットの売り上げから収益を上げるモデルにますます力を入れています。 しかしそもそもが無料で自宅で見るのが当たり前だったテレビ番組やアニメ、特撮は、この点で課金収益モデルを作るのが難しそうです。 動画共有サイトの高画質化と、ネットに接続できるテレビの登場が、ますます両者の境界線をあいまいにしています。

違法かどうかより、好きな作家をどう支えるか

 動画共有サイトに動画がアップされるのを徹底して防ぐ、アップされたらすぐに削除するという方法も、実際はかなり難しそうです。 イタチゴッコになってしまいますし、また仮に 「YouTube」 や 「ニコニコ動画」 から権利者に無断でアップされた動画を完全に消すことができたとしても、中国など他の国の動画共有サイトにアクセス先を変えるだけでしょう。

 作者や権利者にどう対価を支払うのか、「作品を一所懸命作ってる人たち」 に、それを受け取っている視聴者や ファン がどう報い新しい作品を作る環境を整えるのか。 いずれは落ち着くところに落ち着くのでしょうが、今現在、権利者としての利益を大きく喪失し経済的に困窮しているクリエーターは救われません。 関わる人全ての知恵やモラルが求められているといって良いでしょう。

 実際、モノを作る側からすると 「とんでもない」 状況なんですが、モノを受け取る側からすると 「便利」 なので (無料かどうか以前に、とにかく 「便利!」 なんですよね…)、簡単に答はでそうもありません。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2006年7月20日)
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