同人用語の基礎知識

ソースロンダリング
Source Laundering

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「三流週刊誌報道」→「一流新聞紙がそれを引用で報道」→「一流新聞が伝えた情報」 に

 「ソースロンダリング」 とは、Source (情報源) を Laundering (洗浄する)、すなわち何かの主張、メッセージ、報道記事などを、その情報源を秘匿、隠蔽し、一般的に権威のあるメディア (マスコミや報道機関、公的機関の一部)、あるいは 人物 (学者など) を通して、もっともらしい、さも信憑性や正当性のある情報かのように見せかけて価値を偽装、粉飾することです。 「偽装報道」 などとも呼びます。

 2004年に、保守系の人気ブログ 「Irregular Expression」 の管理人、gori氏が造語した言葉とされ (他のブログ執筆の評論家やマスコミ報道の手口を揶揄したもの)、その後保守系の ネット の利用者らが 掲示板 2ちゃんねる や政治系の ブログ など各地で使用。 一部マスコミの不可解な報道スタイルを批判する、ネットスラング の一種として定着しています。

「マネーロンダリング」 をもじって 「ソースロンダリング」

 元々歴史や政治、外交を扱うネット上のコミュニティでは、「ソース」(情報源、例えば公的機関の公的文書や公的調査資料、信頼に足る報道機関の報道、当事者の証言など) が議論などのたたき台として重んじられる傾向があります。 また日本で、1990年代より犯罪組織などが不正に得た資金の出所を隠蔽するため金融機関などを悪用することを 「マネーロンダリング」(資金洗浄) と呼ぶことが定着していたこともあり、これをもじった形で作られ、使われるようになった言葉となっています。

 ちなみに 「ロンダリング」 という言葉は、1988年に麻薬の国際的な撲滅運動の盛り上がりの中で注目され、半ば伝説と化しているユダヤ系ロシア人の大マフィア、マイヤー・ランスキー (Meyer Lansky/ 1902年7月4日〜1983年1月15日) による、麻薬取引などによる巨額の蓄財とその運用方法から生まれた概念や言葉となっていて、彼は 「マネーロンダリング」 の創設者とも呼ばれています。

 似たような言葉に、「学歴ロンダリング」(学歴詐称) や、「うなぎロンダリング」(外国産うなぎの産地偽装)、ポリシーロンダリング (主義思想洗浄) などもありますが、食品偽装事件などが起こったこともあり、食品の産地偽装を 「ロンダリング」 と呼ぶ一方、逆にロンダリングすることを 「偽装」 とも呼ぶようになっています。

「情報」 に権威を付けることで信憑性を増し、デマを本当にするテクニック

 「ソースロンダリング」 には、いろいろな方法があります。

 例えば、現地では誰もまともに見ていないような、外国の低俗なゴシップ週刊誌のインチキ記事があったとします。 本来ならばそんな週刊誌のヨタ記事になんの価値もないのですが、それを日本の大手新聞社が、「現地のマスコミの報道によると」 なんて一部を引用して伝えると、その後その記事は、その大手新聞社が報じた信憑性の非常に高いニュースに変貌してしまいます (仮にそれが間違いでも、「現地の報道を伝えただけだ」 で逃げられる卑怯な手だったりもします)。

 さらにその際に、その週刊誌の記事を一流大学の教授や有名作家などのコメントの形で紹介すると、より権威が上積みされて信憑性が増大します。 あるいは政治家や政府高官に 「このような記事があるが、知っているか」 と尋ね、「知っている」 との言質を取ると、それがたとえ 「知っているが、誰も信じていないバカげた話だ」 との意見であっても、「政府高官の○○も存在を認めた」 なんて報道になって、まるで公的機関や国が認めたかのような正当性を、読者 や視聴者に与えることができます。 確かにあからさまな嘘はついていませんが、受け手の錯誤による効果を狙ったいやらしいミスリードと云えるでしょう。

提携・系列報道機関でニュースのバケツリレー 内容が変わってしまう場合も

 また別のケースで、マスコミの マッチポンプ 的な報道 (日本の新聞社が記事を書いて、その記事を引用する形でアメリカなどの新聞が記事を書き、さらにそれを同じ新聞社が再び引用して 「アメリカの新聞社も我々と同じように言っている」 などと煽ること) を、「ソースロンダリング」 だとする場合もあります。

 有名なところでは、朝日新聞などが日本の歴史認識や外交・防衛政策を批判し、それをアメリカのニューヨークタイムズやワシントンポスト、フランスのヘラルド・トリビューンなどが 「東京発」「日本の新聞社発」 の報道として引用して掲載。 それを再び朝日新聞が引用して 「アメリカも同じ意見です」「世界の多くの国もこの意見でまとまっています」 と記事を書くようなパターンがあります。

 新聞社やテレビ局などのメディアは、外国のメディアと記者交換をしたり事務所を相互に提供したりの業務提携や協力関係を結んでいますから、実際は海外の別の新聞社の記事も、国内の同じ新聞社の同じ建物の中で書いているなどという場合が大半です (海外メディアの日本支局の所在地は、だいたい日本の大手メディアと同じ住所です)。 これはつまり、ある種の 自作自演 ともいえます。

報道グループ総動員して印象操作

 また日本の新聞社はその多くがテレビ局やラジオ局、雑誌出版社などをグループとして抱えていますので、新聞社が記事にして、それを 「○○新聞の報道によると」 という形で系列のテレビ局が報道し、さらにそれを元にラジオや雑誌が報道、また元の新聞社に戻って、「すでに多くの報道機関が伝えているが」 などと、既成事実かのように振舞うという方法もあります。

 こうした報道の連鎖がどんどん起こると、最初の報道の発端がどこからだったのか分かりにくくなりますし、引用し続ける間にどんどん余計な情報が付加されたり、肝心な部分を恣意的に削り取ったりして、報道内容のニュアンスが変わったりもします。 「情報発生元を隠匿」 するだけでなく、報道の伝言ゲーム、バケツリレーをしている間に、どんどん都合よく事実を捻じ曲げてしまうことも可能になるというわけです。

 最初と最後で結論がさかさまになっていても、伝言ゲームの間に入った報道機関それぞれはごく微妙なニュアンスの違いを繰り返しているだけなので、どこかが槍玉に上がったり責任を追及されることもなく、また同じような情報が溢れることによる刷り込み効果で、あたかも本当のことのような信憑性などもでてきます。

火のないところに煙どころか大火災を起こす…ご注進ジャーナリズムなども

 朝日新聞などの国内メディアが 飛ばし記事 (あいまいで裏づけがなく、信憑性の乏しい記事) を書き、それを元に外国の要人などにインタビューをして反論をさせ、「海外が日本の対応に怒っています」「これは国際問題に発展しそうです」 などと煽る場合もあります。

 この場合は昔から 「ご注進ジャーナリズム」(1980年〜1990年代の、日中歴史教科書問題や日韓慰安婦問題などから使われるように) などとも呼ばれますが、「火元や発端、出所を隠蔽し、さも善意の第三者から出てきた真実の話かのようにデタラメを報道する手法」 である点は、ソースロンダリングもご注進ジャーナリズムも、舞台装置が違うだけで、やっていることは似たようなものです。

 火のないところに煙は立たないといいますが、ことマスコミに限っては、煙どころか大火災を起こす場合もあるので注意が必要でしょう。 マスコミは時として意図的に、もっともらしい嘘をつくという当たり前の事実を、しっかり肝に銘じて情報を見るようにする。 大声でみんな同じ主張をしているが、本当にそうなのかちょっと疑ってかかる。 嘘情報に踊らされないためにも、メディアリテラリー を身に着けるようにしたいものです。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2005年3月7日)
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