どんな粗末なものでも、手にすると強くなった気がする 「武器」
「武器」 とは、敵に危害を加えることを企図した道具、戦闘 で使う 得物 のことです。 刀や槍、弓矢、あるいはナイフや銃などが真っ先に思い浮かびますが、戦いに使う道具全てを広義で含むこともあります。 この場合は武具と呼ぶことも多いでしょう。 手に持つ携行武器の他、戦車や軍艦、軍用機などの大型のもの、弾丸や爆弾、ミサイルなどの 消耗品 や 地雷 やそれに類する罠なども含みます。 兵器や軍器と呼んだり、暗殺に使うものは暗器、凶行に用いたものは凶器と呼ぶこともあります。 対となる 概念 は武器の攻撃から身を守る防具や防御施設などですが、機能として攻撃を兼ね備えたものもあります。
現実に存在して過去・現在に渡って使われてきたものの他、それを モチーフ に簡略・誇張した創作物に登場する架空のもの、あるいは完全に架空のものまで様々な武器が存在します。 とくに戦闘シーンを通じて 物語 が進む マンガ や アニメ、戦闘で 攻略 を進める ゲーム においては、武器は登場人物である キャラ と同じくらい重要なものとして扱われることがあります。 とりわけ ミリタリー やロボットものにおいては マーケティング の観点からも、重要視される傾向があります。
攻撃方法に魔法や超能力がある場合は
魔法や超能力といった物理とは異なる力の概念が存在する創作物の場合は、武器は物理的な実体のあるものとしてはっきり区別され、まったく別の役割を担うか、魔法により何らかの 属性 に 特効 のある武器として用いられることもあります。 例えば武器に水の属性を付与したら、火の属性がある敵により大きな ダメージ が与えられるといった 設定 です。
武器は携行武器から軍艦のように巨大なものまで、大きさも威力も使い方も異なるものが多数ありますが、いずれも模型の形で商品展開がしやすいですし、戦う ヒーロー・ヒロイン を象徴するものとして、その姿をより凛々しくかっこよく飾るものでもあります。 そこに炎や氷といった魔法的なビジュアルが加わると、そのかっこよさはさらに引き立つでしょう。 創作物の ビジネス 的な側面でも極めて重要な存在であり、何らかの コンテンツ に用いられる際にはデザインや設定にも凝ったものが数多く登場します。
「人殺しのための武器を娯楽にするなんて」 という ネガティブ な印象に基づく批判的意見は昔からありますし、それはある意味で素朴で当たり前の感覚でもあります。 かつてはマンガを標的にした 悪書追放運動 (1955年) において 作品 ごとに刀や銃が何回出てきたか、人が何回殴られたり 死ん だかなどが事細かにリストアップされて、子供に悪影響を与えるから禁止せよとの批判の対象とされた時代もあります。
しかし日本においては武器や戦争が非現実的で遠いものにもなっているので、娯楽に添えられるものという現在のありようこそが、逆に 平和 な時代の証明だと云えるかもしれません。 子供はマンガで人殺しをみたらそれを真似するほど愚かではありませんし、凶悪事件は悪書追放運動の時代から年々減り続け、日本の 治安 のよさ、戦争を嫌う感情は世界屈指の レベル です。 現在のような平和な時代ができるだけ長く続くことを 祈ら ざるを得ません。
最強の武器とは? あくまで相対的な武器の強さ
武器 (あるいは防具も含めて) は、常に争いの中で工夫され磨かれて発展してきた歴史があります。 どんな時代であれ武器にはその時代の最新技術が惜しみなくつぎ込まれ、ある強い武器が生まれればそれに対抗するための武器や防具が生まれ、それぞれの相性などもあって有利不利の状況が形成されます。 それは極めて相対的かつ流動的で、単純に 「これが 最強」 と決めることは困難、あるいはナンセンスな営みでしょう。
また個人間の争いならともかく、一族や勢力、国家と云った集団が戦う場合には戦いに強い目的がありますし、実際の戦闘や戦争は武器コンクールや兵器オリピックではないので、強ければそれで良いという訳でもありません。 どんなに強くても生産性が悪くて数が揃えられない、整備性が悪くて稼働率が低いとなれば役に立ちませんし、現代では愚かな武器の代名詞みたいな第二次大戦末期の日本の竹槍だって、低コストの戦意高揚と軍に対する不満の封じ込め、戦争遂行の空気作りという部分だけを見れば、悲しいかな 「何もしないよりはマシだった」 みたいな見方ができなくもない厳しい現実もあります。
武器やそれを使った戦いの究極の目的は、敵を殺すことではなく軍事的な目的を達成することです。 戦うのが人間同士である限り、単なる威力だけでなく心理的な効果は無視できませんが、殺傷力以外の最適な道具としての性能や役割が求められるとして、もし今後日本が万が一の上にも万が一の状況に陥った場合にも、二度と竹槍や特攻兵器が必要となるような状況にはなって欲しくないものです。
武器は人の生死や一族・国家の存亡に関わるものだけに様々な宗教的・文化的な装飾が施されたり、権力や権威の象徴とされたり、ドラマチックな物語・ナラティブを身にまとうこともあります。 過去の実在武器は歴史の痕跡を示す遺産や文化財であると同時に、しばしば美術品でもあります。
様々な創作物における武器
創作物における武器は、創作物の ジャンル やそれを楽しむ受け取り側、ゲームなら プレイヤー らの好みや見た時の爽快感、あるいは戦い方のスタイルや戦術・戦略に大きく影響を与える要素です。 大きく分けると近接武器と沿革武器という2分類がありますが、白兵戦が中心となる古代や中世の戦いと、長射程・高威力の兵器を用いる近現代の戦いでは、それらの概念も変わります。
例えば刀は近接武器、弓は遠隔武器と分類できますが、弓よりも遥かに長射程の戦車は、近現代の戦術シミュレーションではミサイルや艦砲といったより長い射程の兵器と区別するため、歩兵などと同じく近接用の ユニット として扱われることが多いでしょう。





