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ファンサブ/ Fansub

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ファン(Fan)+ サブタイトル(Sub Title/ 字幕) で 「ファンサブ」

 「ファンサブ」(Fansub) とは、ファン (Fan)+ サブタイトル(Sub Title) による造語で、「ファンによるお手製の字幕をつけた動画」 という意味です。

 サブタイトルは、一般的に日本では 「副題」 といった意味で使われるケースが多いのですが、英語としては 「字幕」 の意が大きく、すなわち、日本製の アニメ に英語の字幕をつけて欧米人に紹介したり、逆に海外の面白動画に日本語の字幕をつけて紹介するような作品を指す言葉として生まれました。 こうした活動を行っている人は、「ファンサバー」(Fansubber)、あるいは 「字幕職人」 などと呼ばれています。

 こうした活動と言葉はアメリカで生まれ、後に日本でも使われるようになりました。 その原点は、「日本製アニメ」(ANIME) や 「日本製特撮番組」 などが放送コード (倫理規定) の違いなどにより、アメリカで大幅な改編 (例えばお色気シーンがカットされたり、特撮の戦隊もので、登場 キャラ の人種を変えたり) をされていることがありました。

 またアメリカのテレビ局でも日本製のアニメや特撮はかなりの数が放映されていますが、当然ながらタイムラグがあり、また全てが放映されるわけでもなく、「オリジナルが見たい」「もっと早く、もっとたくさん」 というアメリカ人のマニア、あるいは日系の2世3世などが強く思っており、その需要から、語学に堪能で映像の調達が可能な有志 (日本人マニアに知り合いがいる、日本語がわかる) が、趣味やボランティアのような形で始めたものでした。

 ちなみにアメリカが文学や美術的な著作物保護の国際的な取り決めである 「ベルヌ条約」(1886年成立) に 80番目に加入、批准し、そのための法改正を行ったのは 1989年3月1日なので (それ以前は、万国著作権法条約のみ)、過去の 「ファンサブ」 の全てが著作権的に違法だったわけではありません (形式的にはグレーなものもありました)。

「シノプシス」 の時代から、「ファンサブ」 の時代へ

 1970年代は ビデオデッキ もそれほど普及しておらず、また映像に字幕を入れる機材も一般ユーザーが手にできるようなものが存在せず、こうした活動はほとんど行われていませんでした (その当時は、「シノプシス」(Synopsis/ 概要・粗筋) と呼ばれる、大まかなストーリーの流れや作品の登場キャラ、世界観などを簡単に紹介した文章を読みながら、動画を 「セリフを想像しながら見る」 なんて感じでした)。

 またヨーロッパや中国 (PAL) とアメリカ、日本 (NTSC) とで放送方式の違いがあり、さらにダビングを重ねたりで、往々にして劣悪な画質 (縦横比が異なるなど) となっていました。 当然ながら 「LD」 も DVD も何もない時代でしたし (映画やアニメなどは、8ミリ映画フィルムの形で販売されていましたが (かなり高い)、これを仲間で貸し借りするような感じでした。

 しかし 1980年代になり、編集に適した スペック を持つ比較的安価な機材 (ビデオデッキや、タイトラーと呼ばれる字幕を入れる機材) が揃ってくると、徐々に 「ファンサブ」 が盛り上がってきました。 宇宙戦艦ヤマトの放映開始が1974年 (ブームとして盛り上がったのは 1976年、大ヒットとなったのは 1977年の映画公開)、初代ガンダムが1979年ですが、この頃から日本の大学のマンガ研究会 (漫研) とアメリカとの類似団体との交流が深まったり、それぞれの国の映像作品 (アメリカからは、特撮のSFドラマなど) を持ち寄ってお互いの国で紹介 (世界SF大会 (ワールドコン/ World Science Fiction Convention) や、日本SF大会、同人イベント などでの上映会など) が行われるようになりました。

 なおほぼ同じ頃、欧米では日本のアニメなどの見所を編集してまとめ、適当な音楽を BGM として被せて作る 「AMV」 (Anime Music Video) というものが、日本では、いわゆる MAD と呼ばれるつぎはぎの動画が、70年代のオーディオマッド (音声データ) が発展する形で出現していました。

 また 1977年にカメラ生産がピークを迎えた 8mm シネ (8ミリ映画) の自主制作も、大きく盛り上がっていました。 この動きは、1985年のソニーハンディカム発売からは、ビデオカメラに徐々に移行しました (ただしコマ撮影や多重露光などの特殊撮影がビデオではしづらいので、制作のメインは8ミリシネでした)。

「海賊版」(Bootleg) と 「ファンサブ」 との違いとは

 「ファンサブ」 の対義語は 「プロサブ」 (商業的な字幕つき作品) ですが、この 「プロサブ」 にも、正規に許諾を受け 著作権 的に問題のないものと、いわゆる海賊版の無許可販売品、アングラなものの2つがあります。 「ファンサブ」 を作っているグループのいくつかは、パソコン通信 などが80年代から登場してくると、「ファンとしての実費請求」 から逸脱した 「売価」 を設定して流通させるようなケースも出てきました。

 そもそも有志ボランティアによる 「作品を紹介するための善意」 に基づく 「ファンサブ」 も、著作権的には完全に違法なのですが、さらにそれを半分商売のような形で大規模に行うようになると、もはや版権を持つ著作権者や制作会社も片目をつぶって見ているわけにもいかなくなります。

「中華」(中国) の台頭により、海賊版が深刻な問題に

 その後 「ファンサブ」 もどきの字幕つき違法コピー動画が、中国などで大量に出回るようになりました。 日本などでは 「中華版」 などと呼んでいますが (韓国版もあり)、こちらは90年代になり、ビデオCDの形でアジア圏で大量に販売され (香港や台湾などでは、当たり前のように日本製アニメなどが全話揃った形で安価で売られていました)、日本にやって来た中国人留学生が、現地では一切放映していないはずの日本製アニメの主題歌などを、日本語で当たり前のように歌ったりなんてケースもかなりあるようです。

 インターネット の時代となり、これらの動きはますます大きく、そして拡散のスピードも極めて速くなり、もはやファンだろうが海賊版業者だろうが、その影響力と著作権者に与える経済的ダメージが無視できないレベルになってきています。

 とりわけ 「YouTube」 のような 動画共有サイト の登場はこれに決定的な影響を与え、「完全排除は無理としても、せめて共存の可能性はないのか」 と、日本の コンテンツ 制作会社が生き残りを賭けて必死に模索する状態となっています (仮に YouTube やニコニコ動画が動画を全て削除しアップロードを禁じても、中華系の動画共有サイトが次々に誕生し、2007年頃からは、日本人ユーザが中国語字幕のファンサブ動画を見たり、中国語から英語に翻訳されたファンサブ動画が YouTube に再アップされる事態にもなっています)。

ファンサブの功罪

 アニメなどの映像コンテンツが、ただテレビで流されるのを見るだけ、の時代ならば、「まだ放映されていない地域に作品を紹介する」 という 「ファンサブ」 には、法律的には違法であっても、文化交流のためのある種の必要悪、あるいは持ちつ持たれつの関係もあったかも知れません。

 しかし映像コンテンツのセル化 (ビデオやLD、DVDとしての販売) がコンテンツの制作費と絡む状況となると、そうも云っていられません。 また日本の映像ソフトは諸外国に比べかなり割高で、「なぜ日本人が高い金を出してソフトを買ってるのに、ソフトが安く買えるアメリカ人や中国人はそれを無料で見ているのか」 という、地域間の対立も昔からあり、2000年代となってますますその傾向が強くなっています。

 現行の著作権や、それに基づいたビジネスモデルは、ほぼ破綻しつつあります。 新しい知恵、多くのアニメファン、特撮や映画などの映像ファンが納得し支持するシステムが必ず生まれると信じていますが、現状、先が全く見えない状況となっています。

 商売として成り立たなくなれば、新しいアニメや特撮、映画などは、生まれてこなくなってしまいます。 ファイル共有ソフトの問題、動画共有ソフトの問題、これらはアニメや マンガ を愛する人ならば、一度はじっくり考えて見るべきテーマではないかと思います。 自分の好きなコンテンツにお金を払うこと、自分の好きな作品の作者に感謝として対価を支払うことは、ダサいことでも勿体無いことでもなく、当たり前の事なんだと思います。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2004年1月10日)
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