情報革命の最前線に 「インターネット」
情報革命の最前線に 「インターネット」 |
「インターネット」(Internet) とは、コンピュータのネットワーク同士を双方向につなぐ ネット (網) のことです。 端末やネットワーク同士の接続にはインターネット・プロトコル (各機種をつなぐための通信における規格や約束事、主に TCP/IP など) が使われます。
名称のインター (Inter) は中間や中継の意味で、本来は端末やネットワークを接続するための単なる仕組みや決まりごとを指します (Internetwork)。
1990年代から現在においては、1969年からの ARPANET (アーパネット/ Advanced Research Projects Agency Network/ アメリカ国防総省の国防高等研究計画局によって整備された軍事研究・調査・情報の 共有 のためのネットワーク) から発展した世界的な情報ネットワーク、それ自体の固有名詞として使われるケースが大半でしょう。
なお略称としては、単に 「ネット」 という言葉で表すケースが多くなっています。 実際はこの他にもネットはあるので (パソコン通信 や イントラネット など)、単にネットと略すと混乱する場合もあります。 その場合は、インターネットの他、インタネなどと呼ぶ場合もあります。 また ネタ として初心者を装い、インターンネットなどと呼んだり、ちょっと オサレ にインターネッツォと呼ぶこともあります。
ネットとネットをつなぐネット、それがインターネット
日本初のホームページは1992年9月30日に発信 文部省筑波研究学園都市の高エネルギー物理学 研究所(KEK)の情報サイト |
原型とも云うべきインターネットは、元々はアメリカにおいて軍事的な情報ネットワークとして作られました。
その後アメリカ政府の要請と委託により、ISI (南カリフォルニア大学情報科学研究所) が IP アドレス やドメイン名を管理する形で引き継ぎ、その後ドメイン管理については SRI (スタンフォード研究所)、ネットワーク・ソリューションズなどに移管され、軍事や国防を離れ、その他の政府機関や大学などの情報ネットワークとしても大きく発展することとなりました。
1993年、いわゆる 「情報ハイウェイ構想」 がアメリカで提唱され、瞬く間にネットワークが拡大。 当時はまだパソコン通信 (ホスト局を介して、端末と端末がつながるネットワーク) が主流でしたが、異なるパソコン通信ネットワーク同士を接続したり、情報ネットワークの相互接続や連携が大きく進むことになりました。
現在は、いわゆるインターネットの全体を特定の誰かが維持管理している訳ではなく、誰でも参加が可能な2つの組織、ICANN と IETF が役割を分担しながら事実上の運用を行なっています。 具体的には、ICANN (アメリカ政府から移管、ただし組織自体はアメリカ総務省の傘下) は接続のために必要な IP アドレス、ドメイン、ポート番号、インターネット・プロトコルを管理し、技術的な 開発 などは IETF が管理しています。
私たちがインターネットを利用する場合、プロバイダーを通じてこのネットワークに参加することになります。
研究・学術用途から、商業利用、ホビー利用、そしてあって当たり前のインフラへ
日本においては、1992年頃から政府機関や大学などでの研究・学術用途での利用から、インターネットの時代が始まります。 当時すでにパソコン通信はある程度の普及をしていましたが、当時学生だった人たちの中には、大学の端末と専用線を使った初期のインターネットでの メール やメーリングリストの利用なども少しずつ広まっていました。 本来は学業や研究の情報交換、共有のためのものですが、ニュースや個人的な情報のやり取りなども、常識の範囲内で行われていました。
これが徐々に広がり、民間企業などによる利用も盛んになってきたのは、ちょうどパソコン通信がピークとなる1994年〜1995年前後でしょうか。 中でもインターネットに必要な通信プロトコルの TCP/IP が使える 1995年の 「Microsoft Windows 95」 の発売は、一般人 をも巻き込んだある種の社会現象となるほどの大きな話題となり、パソコンや ホームページ のブームが生じたほどでした。
1999年2月には NTTドコモによる携帯電話によるネット接続サービス、i-mode (アイモード) がサービスを開始。 さらに翌 2000年11月には、国家戦略として IT を推進する 「e-Japan」 プロジェクトも始動。 IT や IT革命が流行語ともなりました。 現在は様々なサービスが開始され、一部のパソコンの オタク や技術者などが使うものから、誰でもが当たり前に使う生活インフラの一つになりつつあるといって良いでしょう。
サーフェスウェブ (オープンウェブ) とディープウェブ、そしてダークウェブ
インターネットは誰にでも (意図するしないに関わらず) 開かれたネットです。 一般的なウェブブラウザを使い、誰でも URL さえ分かればアクセスできるものはサーフェスウェブ (Surface Web/ 表層ウェブ)、あるいはオープンウェブと呼びます。 また URL が分からなくとも、Yahoo! や Google といった一般の検索エンジンがクロール (情報収集) を行い、キーワードによって所在を調べて使うこともできます。 この用語集サイトのように、誰でもアクセスできる状態にあるネットや コンテンツ のことですね。 単に表面に出てくる、開かれているという意味の他、誰でも簡単かつ安価に利用できるネットという意味で使われることもあります。
一方、同じように一般的なウェブブラウザによって利用でき、開かれた場にありながら、ID や パスワード による登録や認証を経て ログイン しないと利用できない領域はディープウェブ (Deep web/ 深層ウェブ) と呼びます。 例えばメールサーバ上にあるメールや、鍵付き の アカウント のコンテンツなどがそれにあたります。 いくら URL を知っていても、ログインやアカウントの持ち主による認証を経なければ利用することができない、検索エンジンのクロールもされない、外部と遮断された保護された領域となります。 限られた端末のみがつながったイントラネットなどもあります。
この他にダークウェブ (Dark Web) があります。 こちらは Tor や I2P といった特殊なソフトウェアを使わないと利用できない領域で、通信の全てが暗号化されており、他のユーザーはもちろん、国や警察といった行政機関も通信の内容や発信者情報を得ることは原則できない極めて高い匿名性と追跡回避性を持つ領域となります。 いわゆる ファイル共有ソフト の一部も含まれ、違法薬物や違法データの不正な取引が行われているほか、諜報機関や軍などの政府機関といった極めて高い機密性が求められる情報のやり取りにも一部が用いられています。