同人用語の基礎知識

版権もの/ 版権

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知的所有権の1つで、同人の世界では避けて通れない重要で非常に難解なテーマです

 「版権もの」(はんけんもの) とは、「自分以外の第三者が 「版権」 (著作権) を持っているもの」 といった意味の言葉です。

 同人 の世界では、もっぱら商業誌掲載の マンガ やTVアニメや市販ゲームなど、他者 (多くの場合、商業出版社やプロ作家) が 「著作権」 を持っている既存の作品やその キャラクター を指したり、それらをモチーフにした ファン 作品、二次創作 の事をそう呼びます。 対義語は 「オリジナル」 や 「創作」で、通常 「版権もの」 は、商業作品を 元ネタ とした パロディ などとほぼ同義の言葉としても使われます。

元々は、出版のみに関する著作者権利の用語だった 「版権」

 ところで 「版権」(もしくは板権) という言葉ですが、法律の世界で使われる言葉で、現在の 「著作権」 の旧名称となっています。 現在の著作権と同様、作者やその許諾を受けたものが、もっぱら出版などで著作物を排他的、独占的に書籍として販売したり、その利益を占有して得る権利などを指す言葉となります。 日本で 「版権」 が法律によって定められたのは明治2年 (1869年) で、当時は書籍類の出版のみを取り扱う言葉でした。

 ただし明治になって近代的な法律で制定される以前にも、著作物の版権を持つ者に対する排他的・独占的な権利を認める決まりはありました。 例えば江戸時代に印刷された本を出版しようと思う場合は、版元が寄り合った、いわゆる 「本屋仲間」「書物屋仲間」 という組合に届出を行い、既存出版物の焼き直しや剽窃 (重板類板) ではないのかの審査を受ける仕組みになっていました。 これは当時すでに出版物の全国流通が行われており大きな利益が生じていたこと、また京都や大阪の出版物 (上方本) が人気で、書物の一大消費地であった江戸の出版物 (地本) にその焼き直し、パクリが少なくなかったことによります。

 こうした 「◯◯仲間」 という組合が正式に発足したのは、享保年間 (1716年〜1735年) に幕府が株仲間を奨励してからですが、それ以前にも版元 (板元) の寄り合いでこうした取り組みは行われていました。 当時は幕府が度々出版に関する規制を行なっていましたが、版元はそうした表現規制・出版規制に自主的に協力する見返りとして、自分たちの排他的な権利をお上に認めてもらおうとしていたのですね。

 なお出版社などを慣例的に 「版元」 とも呼びますが、こちらは本来は 印刷 に使う 「刷り版」「印刷版」 の元締めといったような意味の言葉で、「版権元」 という意味ではありません (言葉としては江戸時代の浮世絵の時代からあります)。 しかし 「版権」 という言葉には 「印刷版の権利」 という意味がありますから全くの無関係という訳ではなく、「版権元」 の意味で使うケースも多いようです (板元も同様です)。

音楽や映像作品、プログラムなどでも次々に著作権が認められることに

 その後、この種の権利関係の法律の整備が日本でも徐々に進みます。 役所に著作物であるのを届け出て許可をもらって版権を得る形になったり (現在の 「商標登録制度」 や 「特許制度」 に似た制度ですが、江戸時代の株仲間から仕組みが作られており、江戸城はじめ全国の役所の中で書物のチェックを役人がやっていました)、さらに明治32年(1899年) には音楽や演劇の脚本、写真などの作者の権利を、別の法律を作るなどして個別に保護するように。

 さらにその後、役所への届出を必要とせず、またそれまで法的にあまり保護されていなかった形式の著作物も含め、網羅的に 「著作権」 という権利を法律として集約して整理。 営利著作物、非営利著作物を問わず、あらゆる著作物に対して作者が著作物を制作したと同時に自動的、自然に著作権を持つという、現在のような制度になりました。 それに伴い法律上は、「版権」 という言葉はあまり使われなくなっています。

 ただし出版の世界では、元々その世界で長年使われ続けていた言葉だったこともあり、その後も言葉としては使われ続け、著作権者、もしくはその許諾者の持つ法的権利と似た、あるいはほぼ同じ意味の慣用句として使われています。 また音楽や写真、映画なども同様の経緯から、「著作権」 ではなく 「版権」 と呼ぶ場合があります。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2001年12月11日)
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