眩い光の中から今、ネ申が眼前に… 「降臨」
「降臨」 とは、天上界に住まう神さま仏さまが人のいる地上へと天下ること、本来は人の目には見えない神仏が仮の姿で地上に現れること (大明神・権現) です。 神仏を描いた 絵画 や仏像・聖像などでは、しばしば眩いばかりの慈悲の光、聖なる後光 (御光・光背 (御来迎) を身にまとい、文字通り神々しく表現されています。
また神仏の生まれ変わりや子孫、あるいは神仏から命じられたり許されたりで地上を統べる皇帝や貴族を雲上人になぞらえ、貴人が人の前に姿を現すことを指すこともあります。 そうした様を敬って表現する言葉は 「光臨」 となります。
本来は宗教にまつわる用語のひとつであり、またありがたい言葉でもあるのですが、ネット あるいは おたく や 腐女子 の世界では、誰かがある場所に現れたり登場したといったことを、大げさ・過剰表現として使う非常にポピュラーな言い回しです。 使い方のパターンはいくつかあり、揶揄や皮肉で使ったり、神仏同様にありがたいと思って使ったり、単に突然の登場に驚いたといったケースで使う場合もあります。
ネット掲示板における降臨 (光臨) の様々な使われ方
ネットスラング としての降臨は、揶揄や皮肉、嘲笑の意味で使うことが多いかもしれません。 例えば 炎上 や 祭り が起こって 掲示板 でその話題が盛り上がっている時に、本人や関係者がその板や スレッド に 書き込み をしたことを指す使い方が代表的でしょう。 「本人降臨」 という訳です。
もちろん炎上の当事者が名乗り出て書き込みをすることは稀ですから、降臨と分かれば善悪は抜きにして 「時の人が来た」 と盛り上がりますし、祭りも 加速 することになります。 また全体の流れからすると不自然な レス、炎上した人を必死に擁護するようなレスを見て、「本人降臨か?」 みたいな憶測で使われることもあります。
一方、ポジティブ な意味で使う場合は、面白い ネタ を 投稿 する人、話題になっている人、男性中心の板に 夜のおかず になるような エロい 画像 などを投稿する人の登場を賞賛して使うこともあります。 こうした人のことは 神 (ネ申) あるいは 女神 などと呼びますので、それこそ文字通りの神が降臨した (ネ申降臨) との表現なのですね。 とくに女性が少ない掲示板とか チャット に女性とわかる人が来るとか、声で女性であるのが明確なボイスチャット (ボイチャ) でちょっとエッチな部屋 (チャットルーム/ 例えばオナニー部屋とか喘ぎ部屋とか) なども、大歓迎の意味で降臨が使われ盛り上がるでしょう。
アイドルや声優のファンたちが使う降臨
おたくや腐女子の世界の場合、アイドルや声優などが番組に出演すること、どこかでばったりと出会ったり見かけること、あるいはライブやコンサートでステージに登場することを降臨と呼ぶことも多いでしょう。
とくにライブなどの場合、会場 を盛り上げるために多数のスポットライト、キラキラ光る紙吹雪やテープ、それを撃ち出すキャノン砲、スモーク、噴き上げ花火などのド派手な演出が行われますし、一部の男性アイドルグループのライブではクレーンやゴンドラを使って空から舞い降りるみたいな演出もされます。 その際によく謳われる楽曲などは、担当 (推し)が降りる際に歌う曲で 「担降りソング」 と呼ぶこともあります。
アイドルや声優本人を ご本尊、ファン を 信者 などと呼ぶように、しばしば芸能活動やファン活動は宗教に喩えられますし、これは文字通り担当・推しの降臨になるのかも知れません。