同人用語の基礎知識

やりすぎんなよ/ あんまりやりすぎんなよ

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いじめ自殺事件を発端に、「祭り」 を煽る言葉として…「やりすぎんなよ」

 「やりすぎんなよ」(あんまりやりすぎんなよ) とは、ネット における 祭り の時に、一見たしなめているように見えながら、実際は祭りを盛り上げたり 煽る ような使い方をする、独特な ネットスラング のひとつです。

担任「やりすぎんなよ」 大津自殺、暴力見た生徒が証言 (朝日新聞/ 2012年7月6日)
担任「やりすぎんなよ」 大津自殺、暴力見た
生徒が証言 (朝日新聞/ 2012年7月6日)
生徒へのアンケートでは、想像を絶する苛烈なイジメの実態があきらかに それらをまとめたサイトも登場 (ワン・イシュー)
生徒へのアンケートでは、想像を絶する
苛烈なイジメの実態があきらかに
それらをまとめたサイトも登場 (ワン・イシュー)
【大津】中2いじめ自殺事件まとめ @ ウィキ
【大津】中2いじめ自殺事件まとめ @ ウィキ

 言葉自体はごく普通の日本語ですが、2012年7月6日になって 2ちゃんねる などの 掲示板ツイッター などで大きく広がり、ネット民 の間で頻繁に使われるようになりました。

 言葉の 元ネタ は、2011年10月に起こった滋賀県大津市 (越直美市長) の中学2年生 (大津市立皇子山中学校) の飛び降り自殺についての報道内容からとなります。

 なお 「んふぅふぅ〜、ふふ〜ふ〜♪」 という鼻歌とセットになったり、「そんなんどうでもいいから。君が我慢すれば丸く収まるから」 と組み合わされる場合もあります (後述します)。

学校・市側は 「いじめを把握していなかった」 ?

 この事件は、中学2年生の男子生徒が、常軌を逸した悪質かつ執拗ないじめを受け、それを苦に自宅マンションから飛び降りたというものでした (ただし亡くなり方に不自然な点も指摘されている)。

 当初はあまり大きな話題とならなかったものの、自殺した生徒の両親が大津市や加害生徒3人および保護者を相手に損害賠償を求めて訴え出たこと、「皆の前で毎日自殺の練習をさせられていた」「スズメやハチの死骸を食べるよう強要された」「殴る蹴るの激しい暴行を恒常的に受けていた」「部屋を荒らされ、金品を奪われ、万引きも強要されていた」 など、苛烈なイジメの実態が明らかになり、少しずつ注目を集めることに。

 またこうした実態を担任教師、学校、及び大津市教育委員会も、少なくとも自殺直後の生徒らへのアンケート調査などで十分に把握していたにもかかわらず発表せず隠蔽していた上、その後の発表も二転三転。

 被害者の遺族が学校や市に事情の説明や真相究明の調査を訴えでても無視され続け、大津市警察も3度にわたって被害届の受理を拒否するなど、イジメの加害者だけでなく行政や関係機関のあまりに非常識な対応なども次々に明らかになり、大きな話題に。

 遺族の訴えに対して市は、5月からの口頭弁論で 「イジメを正しく把握していなかった」「イジメはあったかもしれないが自殺との因果関係は不明」 と争う構えを見せ、7月3日になって事実関係の隠蔽が発覚、あわせて 「自殺の練習」 なども翌4日から大々的に報道され、これが決定的な 燃料 となり大規模な 「祭り」 が勃発。

 さらに前後して 「イジメがあったと思っていない」「いじめは執拗なものとはいえず、自殺の原因とはいえない」「いじめた側にも人権はある」(教育委員会)、「じゃれあっていただけ」「(校内放送で生徒に)変なことをしゃべるなよ」(皇子山中学校)、「イジメではなく遊びの範疇」「イジメの犯人にされた子供の未来はどうなる」(加害児童の親) などと関係者が発言。

 学校が校内放送で生徒に対して口止めを指示したり、教育委員会が中心になって箝口令を敷くなどの情報がマスコミで報道されるなどし、「祭り」 が 加速 することとなっています。

担任教師はいじめの現場をみて 「あんまりやりすぎんなよ」 と笑っていた

いじめた側にも人権…「自殺練習」真偽確認せず
いじめた側にも人権…「自殺練習」真偽確認せず
(読売新聞/ 2012年7月6日)
大津市、遺族にいじめの日時特定要求 中2自殺訴訟
大津市、遺族にいじめの日時特定要求
中2自殺訴訟 (京都新聞/ 2012年7月7日)

 報道では、自殺した生徒の担任教師がいじめの 現場 を目撃していたにもかかわらず、見て見ぬふりをしたり、一度は軽く注意をしたものの、その後はイジメの加害者と一緒になって笑っていたなどの事実も明らかに。

 その際、その担任の男性体育教師がイジメの最中にしゃべった言葉が、この言葉の由来となる 「あんまりやりすぎんなよ」 でした。

 この担任教師は被害者が泣きながら何度もイジメの相談や電話をしているにもかかわらずこれを取り合わず、親との連絡もせず、無視し続けていたようです。 またイジメの現場にこの担任以外の、複数の教員がいたとの生徒の証言もあります。 市教育委員会は当初これを 「伝聞であり事実ではない」 と否定していたものの、後になって 「事実だった」 と認めています。

 この 「あんまりやりすぎんなよ」 という非常識な発言が7月6日に報道されると、ネット上でイジメの加害者やその両親、学校関係者などを批判したり、鬼女 を中心に、彼らを特定して追い込む人たちの間で 「やりすぎんなよ」「あんまりやりすぎんなよ」 が頻繁に使われるように。

 また教師が笑いながらしゃべっていたことから、「やりすぎんなよwww」 などと をつけたもの () や、「ネットで批判し個人情報をばら撒くのは じゃれあってるだけ、遊びの範疇」 などの コメント も多く現れています。

アンケートでは数多くの生徒が 「いじめがあった」 と書いていたのに…

「わが校のストップいじめアクションプラン」(大津市立皇子山中学校)
「わが校のストップいじめ
アクションプラン」
(大津市立皇子山中学校)

 それにしても、イジメのニュースなどは基本的に全てが不快なもの、胸くそが悪くなるものばかりですが、この事件はイジメの内容、加害者とその親、学校関係者らの対応やコメントなど、そのすべてが信じられない内容になっていて唖然とします。

 そもそも被害者の親が出てくる以前に、アンケートで227人もの生徒が 「殴る蹴るの暴力を加えていた」「親のキャッシュカードから金を奪っていた」 などと、イジメではなく暴行・強盗の犯罪行為があったとの回答を行なっている以上、それが本当なのか調査するなり、親や警察に届け出るのが当たり前の対応でしょう。

 学校では被害者遺族には何も説明せず、加害児童や親への事実確認や聞き取り調査も、「いじめた側にも人権があり、教育的配慮が必要」「調査しようとしたが断られた」 などとし一切行わず、調査自体も3週間 (内部記録ではわずか1週間だったとの情報も) で打ち切られています。

 同市では少年らによる16歳の身体障害者リンチ殺人事件 (2001年) や新聞沙汰になるような悪質なイジメ事件が過去に何度も起きており、さらにその都度、関係者や警察などの首を傾げざるを得ない対応が話題となっていたことも手伝い、ネットでは まとめサイト が作られるなど、批判があふれる状況となっています。

 こうした自殺報道と、それに伴う加害者バッシングが広がるほど、今現在イジメを受けている子供たちが、「いじめっ子に仕返しをするための自殺」 を考えるきっかけになってしまう危険性もあり、報道やネットでの祭りには一定の 「配慮」 が必要だと思いますが、対応があまりにも酷いので、しばらくはこの問題が後を引くことにもなりそうです。

人権教育に力を入れていたはずなのに、常軌を逸した対応の市・学校・警察

 ネットにあふれる 「登場人物全てが ゲス」「クズ 人間の品評会」 との意見は煽りすぎとも思えますし、加害生徒やその親の写真や個人情報が散布されている状況も肯定はできませんが、正直、筆者 も強烈な嫌悪感は拭いきれません。

 また綺麗事、お題目のような人権教育とアクションプランで、「ストップいじめ」「いじめ撲滅」 を目指すなど、あまりに絵空事すぎて真面目な取り組みなのかを疑います。 今現在、イジメを受けている子供のケアすらできず、将来の 「イジメ撲滅」 を目指すなど、実現できるとでも思っているのでしょうか。

 加害児童やその親の言動も理解できませんが、何より教師や教育委員会、警察などの対応が本当に理解不能です。 これほどまでに事件をもみ消そうとしたり、加害者やその親を擁護せねばならない特別の事情でもあるのでしょうか?

 裁判では、学校内でイジメが行われ教師が見て見ぬふりをしたとのアンケート結果から両親が学校側の管理責任を指摘すると、市側は 「誰が、いつ、どこで、何時何分、どのようないじめを目撃して放置したか具体的に指摘していない」 と突っぱね、あげく 「ではどうすれば自殺回避が出来たかのか」 と逆に説明を求めるなど、法的な主張としてはセオリー通りなのかも知れませんが、全体の状況から見て常軌を逸しているとも感じられます。

 しかもそれによって批判が集中すると発言はさらに二転三転。 あげく、過去の口頭弁論の内容を撤回し遺族に和解を申し込む素振りを見せるなど、場当たり的でデタラメな対応に終始しています。 遺族が 「真実を求めて起こした裁判」 に対し、まるで 「金を払えばいいんだろ」 と突っぱねているかのようです。

そもそも 「いじめ」 とは何なのか

 そもそもの話として、アンケート結果が事実なら、今回の事件が 「いじめ」 と呼ばれることに強い違和感を覚えます。 本来の 「いじめ」 とは、例えば集団で示し合わせて無視する、影で悪口をいう、持ち物をどこかに隠すなど、悪質で被害者に与える心理的な影響は甚大ながらも、「暴行」 とか 「傷害」「恐喝」「強盗」 などのように、刑法犯としては検挙しづらい行為、明確な違法行為だと断定できない行為、あるいはせいぜい軽犯罪法の範囲程度までをやむなく便宜的に指す言葉ではないのでしょうか。

 今回の事件のようなものは、「いじめ」 が深刻化する前の1980年代に吹き荒れた 「校内暴力」 と同じか、むしろリンチ殺人事件などに性格が近い犯罪であって、「校則」 や 「教育現場の当事者」 だけで何とかするものではなく、刑法に基づき警察や第三者機関などが動くべき凶悪犯罪そのものではないかと思います。 「遊びだと思ってやった」 などと卑劣極まる自己弁護を行うなら、相手と同じ立場になってみろと思います。

 もういっそのこと、大津市はいじめ特区にでもなって、口からでまかせばかりの市長の政治主導の元、全国からいじめっ子ばかりを集め、いじめ合い (遊びの範疇のじゃれあい) でもさせたら良いのではないでしょうか。 大津市全体を悪く云うつもりはありませんし、教師や学校、警察までがイジメ加害者の顔色を伺う状況では、他の生徒もみんな被害者だと思いますが、子供と触れ合う行政側の 「大人」 にまともな人はいないのかとの疑問が、どうしても消せません。

 13歳の被害者の味わった絶望感、我が子を失った両親が受けた悲しみや理不尽な仕打ちに対する無念さなど、重すぎて部外者の筆者には想像すらできませんが、人間はこうも残酷で醜くなれるのかとの恐怖くらいは、この事件から感じることができます。

「んふぅふぅ〜、ふふ〜ふ〜♪」 とは?

 この 「やりすぎんなよw」 は、「んふぅふぅ〜、ふふ〜ふ〜♪」 という鼻歌っぽい言葉とセットになる場合もあります。 この 「んふぅふぅ〜、ふふ〜ふ〜♪」 は、雑誌 「フライデー」 2012年7月27日号に掲載された記事 「大津中学生いじめ自殺 SOSすら無視した教師と鬼畜同級生の大罪を暴く 自殺練習を放置した担任は本誌取材に 「鼻歌!」 において、直撃取材の際にこの担任教師がフライデー記者に対して行った質問への返答とされる言葉となります。

 フライデー記者が7月9日早朝、自宅から出勤しようとするこの担任教師を直撃、「いじめへの対応」 の質問をしたところ、この担任は 「何も聞こえない」 と言わんばかりに 「んふぅふぅ〜、ふふ〜ふ〜♪」 という鼻歌で応対。 さらに記者が食い下がると、「ふふぅふ〜、ふふふ〜ふ〜♪」「敷地内に入らないでくださいね〜」 と鼻歌まじりに対応。 その後自家用車に乗り込んで消えたとなっています。

 このことが雑誌の発売によってネットなどで広まると (7月12日)、「やりすぎんなよ」 に 「んふぅふぅ〜、ふふ〜ふ〜♪」 がセットで使われるケースなども生じることとなりました。

 さらにその後、被害者がいじめを相談した際、担任が 「そんなんどうでもいいから。君が我慢すれば丸く収まるから」 と突き放した対応をしていたとの証言も他の生徒から飛び出し、このセリフが複合する場合もあります。

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