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思想強め

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まず第一に思想が大事! 「思想強め」

ちょっと… それはさすがに し… 思想強めかも…? (寐津菟かき子)
ちょっと… それはさすがに し… 思想強めかも…? (寐津菟かき子

 「思想強め」 とは、何らかの活動を行う際に、その人が持つ思想や信念、とくに政治的な主義主張があまりに強く出がちな人を批判的に指す言葉です。 似た言葉に目覚めた人 (覚醒者・Woke (ウォーク) とか 意識高い系 もあります。 とりわけ度が過ぎた人は 「極まった人」「振り切れた人」 みたいに呼びます。

 もちろん人間である以上、誰でも何かしらの思想を多かれ少なかれ持っているものです。 またそれを意図的に出すこともあれば隠すこともあるでしょうし、知らず知らずのうちに出てしまうこともあるでしょう。 日本には思想信条の自由がありますし、表現の自由 もあるため、それ自体は個人の自由であり、何を信じてもそれをどう表現しても個人の自由です。 本来は何らの批判を受けたり責められるような話ではありません。

 しかしその思想があまりに現実離れした 理想論 や批判を浴びやすい極論だったり、あるいは 日常 の会話や ネット での 書き込み で TPO をわきまえずに執拗に繰り返されると煩わしくも感じられてきます。 思想が強い人はささいなことで突然激昂することもありますし。 揶揄や批判の対象というよりは、関わると面倒な人、取り扱い注意の人みたいな ニュアンス の方が一般には強いかもしれません。

 直接的な対義語は思想弱めとか無思想、ノンポリ (ノンポリシー)、あるいはアンチ・ウォーク (Anti-Woke) などでしょうが、思想強めな人たちからは冷笑家とか冷笑主義者、シニカル、皮肉屋などと呼ばれることもあります。 より 強い言葉 では、無知で何も考えていない 愚民 と呼ばれることもあります。 ただしこれらは、自分たちと異なる主義主張を持つ相手に対して、思想強めな人たちが貼る単なるレッテルの場合も多いでしょう。 この他、思想強めの人たちに反感を覚える層が、皮肉や 自虐的意識低い系 と自らを呼ぶこともあります。

まるでお説教やプロパガンダを見せられているような気にも

 批判されがちな思想については、政治的な右左を問わず一方に極端に偏ったものがそのほとんどです。 右側なら極右と呼ばれるような人たち、左側なら極左です。 どちらも中道や中道右派・左派にとっては主張が過激すぎて受け入れられないものが多いのですが、大手メディアをはじめ社会一般で批判されがちな極右に対し、極左は比較的好意的に扱われがちで、どちらかというと左側の主張や イキり が目につきやすく目障りに感じられるという部分はあります。 ちなみに中道な意見、穏健な意見はあまり目につきません。 尖った部分がないので目立ちませんし、左右どちらからも攻撃を受けるので 「黙して語らず」 が最適解になりがちだからです。

 左側の人たちが主張する内容は平和や 人権環境、いわゆるポリコレやリベラル全般に関するものや、特定の政治団体や宗教に強く関連する考え方などが代表的です。 これらは理念としては正しいものが多く、耳障りも良いのですが、特定の団体への支持や支援を直接訴えるようなダイレクトなもの、やたら海外と日本とを引き比べて日本や日本人を罵倒するもの (出羽守)、あまりに子供っぽい理想論や 陰謀論 に足を踏み入れるほどの偏り方をしていたら、やっぱり好奇の耳目を集めますし、思想強めだなと敬遠・揶揄されがちになるのは仕方がないところではあります。

 一方、思想強めと揶揄はされるけれど、そもそもそれって本当に思想なの? という部分もないではありません。 例えば平和が大事といいつつやたら攻撃的で特定の国の戦争だけ批判してその他の戦争には無関心とか、差別反対といいつつ日本人や日本の地方に対する差別には熱心だったり、ファミニズムといいつつ云ってることは男が悪いばかりとか、性的消費や搾取は良くないと 萌え っぽい マンガ、日本の女性アイドルや ファン を批判しながら自分は女性向けの絵やマンガ、男性アイドルや海外の女性アイドルが大好きだったり。

 それぞれの思想の世界で使われる学術・専門用語や 概念 っぽい言葉を使ってはいるけれど、主張には何らの体系的な一貫性もなく ダブスタ だらけ、矛盾しまくる論のつぎはぎだらけで、その時々に目に入った不快なものに聞きかじったそれっぽい言葉を使ってただ罵詈雑言を浴びせているだけにも見えます。 それは思想や主義主張ではなく、単なる個人の 感想お気持ち や愚痴、もっというと八つ当たりに過ぎないのではとの疑問は多くの人が覚えるものでしょう。 とくに SNS などで注目を集めることで 承認欲求 を満たしたりお金儲けができるようにもなると、過激なだけで何ら思想的な背景を感じさせない感情論や暴論が溢れることにもなっています。

原作ありの作品の映像化などで、一方的な思想を注入

 おたく に近いところでは、本来は全く無関係なものに唐突に思想をぶっこんでくる、例えばマンガや アニメキャラクター作者 の思想の代弁者や拡声器のように扱うなどは反発されやすいでしょう。 とくに原作となるマンガやアニメがある 作品 の映画化などで、元々その作品に含まれていない思想や価値観を監督や脚本家らが無理矢理入れたように見える場合は、他人の作品を自らのプロパガンダの道具に使っているようにも見えてファンが受ける違和感や嫌悪が強まる傾向があります。 またその主張そのものも、媒体であるマンガやアニメの表現 (暴力や性的な表現) を批判するものだった場合、ファンにとっては二重の不快感です。

 どんな作品だろうがそこに テーマメッセージ の形で何らかの思想が入るのは当たり前であり、それは思想や社会問題とは無関係な気楽な娯楽作品でも同様なので、思想が入ること自体に問題はないという意見もあります。 というより、人の手による創作物に思想が入っていないものなど皆無でしょう。 これはその通りであり、ちょっと 主語を大きく すると、日本人は思想とか主義主張、哲学といったものへの忌避感情があまりに強すぎるのではという意見もあります。

 とはいえそれは程度問題であり、やりすぎたり他人の作品に後付けで加えるような行為が嫌われるということなのでしょう。 例えば宗教だって、霊感商法などを行う詐欺集団が一部に存在するとはいえ、ほとんどの人はしつこい勧誘や選挙前の電話攻勢、家族が洗脳されて大金を奪われたといったうんざりさせられる迷惑行為や犯罪行為の被害経験さえなければ、存在自体にそれほど強い嫌悪感や偏見など持たないことが多いでしょう。

思想強めな人の目には、周囲が思想弱め、あるいは何も考えてないように見える

 実際のところ日本は教育水準も高いし、それなりの教育を受けている人なら思想や政治、あるいは宗教は信じていなくても道徳的な自分なりの態度や価値観は持っているものです。 ただそれを、「思想強めの人」 のように相手や場所を問わずに常日頃から大声で叫んだりしないだけです。 そんなことをしても意見の違う人と摩擦が生じ、理解や共感も得られずかえって反発を受けるだけだと分かっているからです。 また日々の生活に必死で思想に向き合う時間や余裕がない人、ネットで声を挙げるのではなく 現場 でボランティアなどの 地味 な社会貢献をコツコツとやっている目立たない人だっています。

 声高に思想を叫ぶ人は、思想があって声を上げない人たちの気持ちが理解できないし、声を上げない人は何も考えていないか無知なのだと判断しがちです。 また自分たちの側が 正義 だと思っているので、反論に真摯に耳を傾けることもできませんし、誤りを指摘されても素直に訂正や謝罪することができなかったりします (謝ったら死ぬ病)。

 常識的に考えれば誰だって思想はあるし、自分が支持する思想が社会の多数派を形成していない時点で、無思想なのではなく逆の思想の人、穏健な考え方の人たちがたくさんいるのだと 普通 は理解できます。 また彼らを愚民だ無知蒙昧だ極右だ極左だと罵倒して遠ざければ自分たちの思想の支持者は増えず、それはすなわち自らの理想の実現が遠のくだけなのが分かりそうなものです。 しかしそこに考えが及ばず、それどころか他人を罵倒し優越感に浸ったり、彼らが属する何らかのコミュニティ内での人気取りや権力闘争のために 「周りの人は何も考えてない、自分が啓蒙しなくては」 などと傲慢で分不相応な態度でしばしばお説教を始めてしまうのが、「思想強め」 などと揶揄され嫌われる原因のひとつなのでしょう。

 なお私的な SNS であっても、あまりに特定の思想や主義主張に染まった 投稿 をする人、年がら年中あれもこれもと片っ端から口を挟んで 他責他罰的 で他人を口汚く罵倒するような主張をしがちな人も、やっぱり 「取り扱い注意な人」 だと思われがちです。 「対話が大事」「話し合いましょう」 といいつつ他人との議論を避け一方的に批判ばかりする人、平和が大事といいつつ攻撃的・暴力的な主張ばかりする人は 言行不一致 の不誠実な人だと感じられ、その人の 属性 や思想、主張の好き嫌い以前に、人としての態度から不快感や嫌悪を受けてしまうこともあります。 もちろんミクロな個人の話とマクロな社会や世界の話とは レイヤー が違うものですが、彼ら自身が個人的な問題を社会問題化したり、個人のことは政治的なことと声高に叫んでもいるため、あまり説得力はないでしょう。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2016年5月21日)
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