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スラップ/ SLAPP/ 恫喝的訴訟

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労働争議や不正の告発などで…「スラップ」

 「スラップ」 とは、経済的に余裕のあるもの、権力を持つ強者 (多くの場合、行政や企業などの組織、団体) が、相対的に弱者となる個人などを恫喝、威圧、あるいは疲弊させるのを目的として、法的手段をちらつかせたり、法的措置を行うことです。

 言葉としては、「Strategic Lawsuit Against Public Participation」 の略、「SLAPP」 で、欧米などで公共関係団体などが行う戦略的な法務処理全般を指す言葉です。 しかしえてして悪用されるケースもあり (少なくともターゲットにされた側はそう感じる)、日本語では 「スラップ訴訟」 のほか、「威圧的法務」「恫喝的訴訟」「報復的訴訟」 などと呼ぶ場合もあります。

 よくあるケースとしては、一般市民やジャーナリストなどが国や自治体などの公の組織、団体などの不正行為やそれによる被害を指摘・告発すると、それを取り下げさせるために訴訟の勝ち負けは度外視して名誉毀損や業務妨害などで相手を告訴する、あるいは弁護士名で告訴すると通告するなどの方法となります。

 また問題が生じた初期の段階で、それをもみ消すための恫喝としてこうした方法が使われる場合もあれば、報復、見せしめ的に後で裁判を起こす場合もあります。 さらに裁判になったら、無駄な裁判の引き伸ばしを繰り返し、告発者の裁判費用増加を始めとした経済的・時間的・精神的な圧迫を誘って疲弊させるなどの方法も、同じ考え方の訴訟戦略のひとつでしょう。

法治国家では、裁判で決着をつけるのが 「正しい姿」 なのですが…

 こうした訴訟戦略は、もちろん法に則ったもので法律的には何ら問題のない正しいものです。 法治国家では争いごとや事実認定は、当事者間の話し合いで解決しない場合、最終的には裁判で行うこととなっていますから、自分たちを守るために国民や市民が国や自治体を訴えることも自由なら、その逆も自由でなければなりません。

 また国や行政の側に客観的正当性があり、悪意を持った市民やマスコミが捏造や 飛ばし記事 でデタラメを吹聴しているだけの場合もあり、それに法的な対抗をするのは、国や行政が管理する国民の税金や国の資産、名誉を守るためには、当然のことでもあります。

 しかし経済的弱者や高齢者などは、「長期に渡る裁判を維持するのは無理だ」 と、不本意な和解に応じざるを得ない状況に追い込まれたり、告発そのものを取り下げざるを得ない、泣き寝入りせざるを得ない状況に追い込まれるケースもあり、結果的に不正行為や損害の有無をうやむやに隠してしまう場合もあります。

 建前の上では、法律は平等で裁判も公平なものです。 しかしお金も時間もノウハウも持っている組織や団体が、それを持っていない、あるいは持ち得ない個人と同じ立場・条件で争うことに本当の平等性はあるのか、結果的に国や自治体による不正告発意見・反対意見の封じ込め、単なる 表現の自由 の抑圧の道具になっているのではないかとの意見もあります。

様々な 「スラップ」 の形

 国や行政などの公の組織や団体だけでなく、大企業や民間団体などが、こうした方法を取る場合もあります。 ニュースなどでよく見かけるものは、企業と労働者との不当解雇や給料未払いなどの労働問題でしょう。

 企業の側と労働者の側、どちらが正しいのか、揉めてしまった以上は裁判で決着をつけるのが本来は正しい姿ではあるのですが、専門の法務部スタッフを揃え業務として行う企業と、仕事を失い経済的にも逼迫しているケースの多い労働者の側で平等な裁判を行うのは難しく、裁判のあり方を含め、難しい問題が山積している状態と言って良いでしょう。

 なお一人ひとりは小さく力のない個人が寄り集まって、逆に集団で裁判を起こして国や自治体、企業、場合によっては敵対する個人やジャーナリストなどを訴えるケースもあります。 またジャーナリストやマスコミなどが力を合わせ大きな圧力に対抗することを メディア・スクラム と呼びますが、メディアの力が強まり、逆に権力化すると、これが 「報道機関による弱者攻撃」 の意味に転じている状況もあります。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2010年8月29日)
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