同人用語の基礎知識

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一世を風靡した PC-98 互換機用グラフィックソフト、マルチペイント

 NECのパソコン PC-9801 シリーズとその互換機 (EPSON PC286/ 386シリーズ) 用のグラフィックソフト (ピクセルエディター/ ビットマップツール) で、(株)シー・ラボさん (こちら です) より 1992年7月1日に発売されました。 発売されたパッケージは、本体の 「マルチペイント (Multi Paint System)」 (販売価格 14,800円)と、拡張ツールやサンプルCG、店頭デモ用オートデモプログラム集である 「マルチペイントお楽しみセット vol.1」、「マルチペイントお楽しみセット PLUS!」 (販売価格 6,400円) の3つがありました。 稼働 OS は MS-DOS 3.3 以上です。

マルチペイントパッケージ画像  元々はフリーウェアソフトとしてパソコン通信上で公開されていたもので (作者は200x40 Pixel サイズの 「バナー」 の生みの親としても知られる Woody-RINN さん)、パソ通から生まれた画像フォーマットの一つ、「MAG」 作成専用のツールとして生まれました。 ちなみに 「マルチペイント」 と呼ばれる前は、「鮪ペイント」 と名づけられていました。

 当時のハードウェアの制約から、発色数はインデックスカラー 4096色中の 16色だけ (後に256色まで拡張)、画像サイズも 640x480 Pixel まで (後に 640x800 Pixel まで拡張) と、今の基準から見るとかなりショボイ仕様なのですが、フリーソフトが生まれだけに多くの愛用者から機能拡張の為の支援プログラム (内部実行可能な子プロセス) が様々発表されていて、それらを取り込む事で自分好みのツールにカスタマイズする事も可能、スペックだけでは分からない自由で高度な画像制作能力を持っていました。

それまでのグラフィックツールを超えたパレットの使いやすさ

 また何と云ってもツールや色のパレットなどを複数同時に開いて作業出来る、“マルチウインドウシステム” を採用していた点が、この種のソフトとしては画期的な点でした。 Windows 時代の今となってはお馴染みで当たり前の機能ですが、当時としては、その使いやすさには他を圧倒するものがありましたね。

 定価 14,800円 (当時の実売価格は1万円前後) と云う発売の際の手頃な価格、それにユーザの惜しみのない使い方やテクニックの開発、発表や、また扱うフォーマット 「MAG」 自体の魅力もあり、1995〜1996年頃までは、日本における通信流通系同人CG作成の、事実上の標準・定番ソフトの座を担っていました。

 “コンピュータで絵を描く” 楽しみを手軽な趣味にしてくれたこのソフトは、まさに電子同人、数多くのパソコングラフィッカーの生みの親と云っていいでしょう。 略称・愛称として、MPS、「マルペ」 とも呼ばれていました。

 …それにしても、この文章書いていて思い出しましたが、画像データの閲覧環境記述でよくあった、「鮪が泳げるなら」 なんて表現、懐かしくて涙が出ますね… (^-^;)。 縦長の 800ラインCGなんて、画面を上下で切り替えて見ていたものです。 そういや色パレットを高速で切り替えて、無理矢理 32色とか 64色とか出すなんて方法もありました。 ご覧下さっている皆さんの中にも、「マルチペイント」 の元愛用者さまが結構いらっしゃるんではないでしょうか? 絵を描くと云うより文字通りのピクセルエディターとして、点 (ドット) を1つ1つ打ってゆく。 当時のグラフィックツールの多くは、マルチペイントを含めそんな感じの独特のツールでした。

 なお 「MAG」 や 「ベタファイル」 形式による 「16色CG」、をサポートしている当時のソフトには、「ダ・ヴィンチ」 や 「似非 (エセ) キース」、「Geh!」、「KID'98」、256色ツールにも 「D.O.JEDAI」、「SuperKID」、「まるちめいと」…などなど、様々なパッケージソフト、フリーウェアソフトが存在していました。 それぞれに魅力はあるのですが、愛用者の多さ、支持の点では、「マルチペイント」 が他を圧倒していましたね。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2000年3月1日)
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