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画面が小さい…色が少ない… そこで 「ドット絵」

 「ドット絵」 とは、ドット (Dot)、すなわち 「点」 で描かれた のことです。

 ただし、美術の世界でいう点描画 (線や面を使わず点だけで描かれた 絵画) ではなく、同人おたく の世界では、CG (Computer Graphics/ コンピュータグラフィックス) において、ドット (ピクセル/ ただし厳密にはピクセルは画像情報の最小単位、ドットはそれ以前からあるデバイスの物理的な最小単位) の組み合わせで図画を表現したものを指す言葉となります。

ゲームなどで使われる典型的なドット絵
ゲームなどで使われる
典型的なドット絵

 ところでコンピュータの画面や画像 (ビットマップ画像) は元々方眼状に配置されたドットで構成されているため、本来ならばCGは全て究極的にはドット絵だとも云え、わざわざこの名前で呼ぶ必要はないはずです。

 これはひとつには、旧来のアナログ的な絵や イラスト (紙やカンバスに絵の具などの 画材 を使って描画したもの) と区別をするためCGという呼び名の他に 「ドット絵」 という言葉を使ったこと、さらにパソコンの性能が上がり、いちいちドット1つ1つを意識する必要がなくなって来た時に、「ドット1つ1つを強烈に意識しないと成立しない絵」 をそれと区別するために、こう呼ぶようになったからです。

 コンピュータの性能・スペック が低く、色 (同時発色数) や画面サイズ (解像度) に強い制約を受けていた頃の図案 (例えば ゲーム における キャラクター) や、同じく色数が少なかった時代のCG (モノクロや8色、16色しか使えない時代もありました)、さらに絵を描くスペースが極めて小さいアイコンの制作などでも、こうしたドット単位の編集や調整が必要となり、言葉として使われるようになっています。

画面が小さい (解像度が低い) 場合のドット絵

 画面が小さい (解像度が低い) 場合の図案としては、初期のゲームやデスクトップ用のアイコンなどがその代表でしょう。 縦横ともに、わずか数ピクセルから数十ピクセル程度の寸法しかない画面で絵やデザイン、キャラや文字をきちんと読めるように描くためには、やはりドット単位の描写や調整は必須となります。

 もちろん大きな画像を フォトショップ などの画像編集ツールで縮小してしまう方法もありますが、縦横32ピクセルなどの小ささでは、潰れてしまって何が描写されているのかわからなくなってしまいます。 また大きな画像を縮小しただけの画像などは、通常ドット絵とは呼びません。

 さらにゲームのキャラなどは、単に画面上で表示するだけでなく、ゲーム中でプレイヤーの操作に合わせリアルタイムに動かさないといけません。 その場合、初期のゲーム機やコンピュータは性能が低すぎて大きく複雑な絵柄では軽快な動きができなかったり、処理落ちする、カクる などの問題も生じました。 この場合、素材となる小さな画像をたくさん用意し、それを必要に応じて組み合わせて画面に合成して動かす仕組み (スプライト/ 負荷が軽減する) にも、ドット単位の絵が必要とされます。

細部がわからないから、想像力が掻き立てられる…ドット絵キャラの魅力

 こうした極端に小さい絵やキャラの場合、特徴を際立たせ、簡略化されながらもメリハリのついたデザインやパターンが必要になります。 一方、全てが見えてしまう現在の大画面フルカラーに比べると、クオリティの低さが逆に見る人間の想像を掻き立てたり、自分の 脳内 で補完ができるなど、むしろ強い思い入れを見る者に与える場合もあります。

 ファミコン (Family Computer/ 1983年7月15日発売) やスーファミ (Super Famicom/ 1990年11月21日発売) のゲームのキャラなどは、たった数ドットの違いで動きや表情を生き生きと描写しているものもありましたが、足りない部分は 妄想 でふくらませ、多少は 思い出補正 が掛かってるにしても、「あの頃は良かった…」 なんて懐かしい感傷を呼び起こしたりもしますね。

発色数が少ない場合 (画面のサイズもあまり大きくない)

ドット絵の 16色CG (800ライン)
ドット絵の 16色CG (800ライン)
これは高さが800ピクセルあるので
全画面表示できず、上下2画面で
切り替えて見るものでした…

 日本で極端に洗練されたCG表現に、MAG フォーマットCGに代表される 16色CG (もしくはそれ以前までのデジタル8色CG) があります (パソコン通信 の時代にCGといえば、ほぼこれを指していました)。

 前述した通り、コンピュータによる画像表現は、方眼状に配置されたドット (正確には小さい四角形、ピクセル) の集まりによって描画されます。 この場合、縦横の直線は当然ながらキレイに引くことができますが、角度の付いた線や曲線では、ギザギザやガタつきがでてしまいます (ジャギーと呼びます)。

 画面が大きい (解像度が高い) と、線が太くできてこれが目立たなくなりますが、画面が小さいと1ドットで線を引く必要もあり、ドット1つ1つが目立ってしまいます。 また色数が少ないと、色がたくさん使われた複雑なイラストなどを表現するのは難しくなります。

 そこで、主に美少女ゲーム (エロゲーなど) を中心に、ドット単位の編集で 「滑らかな曲線」「豊かな色彩」 を表現する方法が進化することになりました。

 例えば曲線なら、曲がっているカーブ部分に中間色を当てて滑らかに見えるようにするとか (ジャギ消し、アンチエイリアス)、色数を増やすなら、スクリーントーン のようにドットの密度を調整して明暗を表現したり、異なる色をタイル状に並べて、拡大しなければ違う色に見えるような工夫をするなど (タイリング) です。

 一方裏技として、複数の16色パレットを画像データに持ち、専用の画像ローダーで展開すると、このパレットを高速で切り替えて擬似的な 多色CG に見せるなんてツールもありました (2倍速なら32色、4倍速なら64色ですが、透過のためにパレットの1色は事実上使えないことが多かったので、実際はもっと少ない)。 なんつーか、低スペックのパソコンだと目がチカチカするし、涙が出てくる仕様です。 Windows 3.1 をインストールして256色を見たときは、そのあまりの豊かな色彩に目も眩むほどでした…。

職人技が炸裂した 16色 ドット絵

16色CG拡大
ドット絵を拡大するとこんな感じになります
16色CG拡大
タイリングなどはツールもありますが、
最終的には1ドットずつ手打ちになります…

 そもそも 16色など色数の少ないCGは、当時日本でもっとも普及していたパソコン、NECの98 (PC-98) シリーズのハードウェア (グラフィックボード/ モニタ) 的、あるいは基本OS、MS-DOS のソフト的な、使える色 (発色) 数の制約から来ています。

 画面サイズは640×400ピクセル程度、色数は8〜16色ほど (インデックスカラー16色 とか) ですが、この制約の中で 「絵が命」 の美少女ゲームを作るのですから、素人が見たらどうやって描いているのかすら分からないような職人技を発揮した、もう唸るようなものすごいCGがどんどん作られていましたね。

 こうした手間のかかる技術は、Windows パソコンや Macintosh (Apple コンピュータ) の普及と、ハードウェアの劇的な性能向上で、1990年代末頃には下火になります (とくにオタクの界隈では)。

 しかし日本ではその後も携帯ゲーム (ガラケーによる ネトゲ) やコミュニティ系サービスにおけるアバターの人気など、パソコンが大画面フルカラー当たり前の時代になってもドット絵の需要が根強く存在し、今見ても 「これが16色なのか?」「256色なのか?」 と驚くような作品が生まれる土壌ともなっています。

 ここでサンプルとしてご紹介したセーラーVの 800ライン16色CGは、当時筆者が描いて 草の根BBS などにアップしたものですが、絵の出来栄えはともかく、気が遠くなるドット打ち作業を行っていたであろう雰囲気は、感じてもらえるかも知れません。  なおこうした絵を描く職人を、とくにドット打ち職人、ドッターなどと呼んでいました。

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(同人用語の基礎知識/ うっ!/ 2000年1月6日)
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